プリンセチア パールは、花束のように華やかな見た目が特徴です。白地にほんのりピンクが差した苞(ほう)が可憐で、贈り物としても人気があります。
この記事では、プリンセチア パールの栽培方法を詳しく解説します。花が咲いた後のお手入れや害虫対策についても紹介するので、美しい姿を長く楽しむための参考にしてください。
プリンセチアは、2009年にサントリーフラワーズ株式会社が開発したポインセチアの一種です。メキシコ西部から中央アメリカを原産地とし、プリンセスのように華やかな印象から「プリンセチア」と名付けられました。日本フラワーオブザイヤー最優秀賞(2009年)やフラワー大賞グランプリ(2015年)を受賞するなど、高い評価を得ています。
その中でも「プリンセチア パール」は2014年に登場した品種で、世界最大の花き展示会「IPM ESSEN」でIPM Innovations 2014・Flowering House Plants部門のグランプリを受賞しました。白地に淡いピンクが差した苞(ほう)が特徴です。
プリンセチア パールは種から育てるのが難しいため、苗から育てるのが一般的です。苗は秋の終わり頃から出回るので、ホームセンターや花屋をチェックしてみましょう。
また、挿し木で増やすこともできます。新芽のついた茎を10cmほどに切り、吸水させたあと、上の3枚ほどの葉だけを残して残りは取り除き、用土に挿します。
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ただし注意点として、プリンセチアはすべて種苗法に基づいて品種登録されており、パテント(特許権)が付与されています。そのため、挿し木で増やした苗を販売目的で増殖・販売することは法律で禁止されています。もちろん、個人で楽しむ分には問題ありませんので安心してくださいね。
プリンセチア パールは鉢植えで育てるのが一般的ですが、日当たりの良い場所であれば地植えでも栽培できます。
ただし、寒さには弱く、霜に当たると枯れてしまいます。そのため、寒冷地では地植えには向きません。最低気温が10℃を下回る地域では、鉢植えで管理するのがおすすめです。
プリンセチア パールは日当たりの良い場所で育てましょう。プリンセチアは短日性植物で、日照時間が一定以下になると苞が色づきます。苞をピンク色に変えたい場合は、色づかせたい時期の約2ヶ月前から日照管理を行いましょう。日中は日に当てて構いませんが、17時~翌7時の間は光を遮断してください。夜の時間が13時間以上続くことで花芽が形成され、新しく出てくる葉が色づいていきます。
適した温度は15~25℃で、5℃を下回ると枯れる恐れがあります。冬は日中は室内の窓辺、夜は部屋の中央に置くとよいでしょう。
プリンセチアはユーフォルビア属に分類され、暑さに強いのも特徴です。クリスマスの花というイメージがありますが、寒い時期以外は戸外に置いたほうが元気に育ち、新しい葉もぐんぐん伸びますよ!
プリンセチア パールの水やりは「土が乾いてから」が基本です。土の表面が乾いたのを確認したら、鉢底から水が流れるくらいしっかり与えましょう。特に夏は水切れを起こしやすいため注意が必要です。
冬も同じく、土の表面が乾いてから水やりを行います。ただし、寒さに弱いので工夫が大切です。水やり後は鉢底から余分な水分を出し、下にタオルを敷いて吸水させると、鉢の中が過湿にならず適度な水分量に保てます。
冬場は暖房を切った夜間に鉢内が冷え、根を傷めやすくなります。タオルを活用することで、萎れや黄葉の防止につながります。
プリンセチア パールは、水はけと水もちのバランスが取れた土を好みます。市販の観葉植物用培養土を使えば手軽に育てられます。
自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)6:腐葉土3の割合がおすすめです。さらに、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:パーライト1にすると排水性が高まり、根が傷みやすい冬場の管理に適した土になります。
プリンセチア パールの栽培におすすめの土
プリンセチアの生育期間にあたる5月~10月は追肥が必要です。5~7月は1ヶ月に1回、ゆっくりと効く緩効性化成肥料を与えるのがおすすめです。
8~10月は2週間に1回、液体肥料を与えると元気に育ってくれるでしょう。生育期間外は肥料焼けを起こすリスクがあるため、追肥は避けてください。
プリンセチア パールの栽培におすすめの肥料
プリンセチア パールの剪定は、年に2回行うのが理想です。
5月中旬頃には枝の各節から新芽が芽吹きます。新芽が膨らんできたら、枝のつけ根近くの芽を2つほど残して剪定しましょう。花がついている枝もすべて切ってかまいません。
さらに、秋に短日処理を行う予定がある場合は、その2週間ほど前に再度剪定します。各枝に新しい葉を2~3枚残して切り戻すのがポイントです。
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短日処理の前に剪定をするのは、その期間に芽吹いた新しい葉が色づくためです。年に2回剪定を繰り返すことで株全体がこんもりと育ち、見ごたえのあるボリュームに仕上がります。
プリンセチア パールの植え替えに適した時期は 4~5月の春 です。冬の植え替えは株に大きな負担をかけるため避けましょう。
植え替える際は、鉢から株を抜き、根を全体の1/4ほどほぐします。傷んでいる根は切り落としてから新しい鉢に植え付けます。作業後1ヶ月ほどは、10~15日に一度のペースで液肥を与えると株が安定しやすくなります。植え替え直後は日陰で1週間ほど養生し、その後、日当たりの良い場所に移動させましょう。
基本的には春がベストシーズンですが、根詰まりを起こしている場合は株が弱る前に、冬を避けて植え替えを行うと安心です。
プリンセチア パールの開花時期は 11月~1月 で、適切に管理すれば4月頃まで色づいた苞を楽しめます。枯れた葉はその都度摘み取りましょう。
春になり最低気温が15℃程度になったら、鉢を戸外に出して日光に当てます。最初は日陰に置き、1週間ほどかけて環境に慣らしてから日向に移動させてください。ただし地域によっては春でも霜が降りる場合があるため注意が必要です。
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室内から屋外へ移すときや植え替えをした直後は、必ず日陰で1週間ほど養生するのが基本です。急激な環境の変化や植え替えによるダメージを和らげ、株を回復させるためです。人間が新しい環境に慣れるのに時間がかかるのと同じように、植物にとっても「ひと休み」の時間が必要です。
プリンセンチアパールに黒いすす状の粉がついていたら、「すす病」の可能性があります。すす病とは、害虫の排せつ物にカビが生えた状態のことです。害虫が植物の汁を素って、排せつ物をまき散らすことによって誘発され、やがて枯れてしまいます。
プリンセンチアパールが過湿状態になると害虫が集まりやすいため、風通しの良い場所に置いて、水のやりすぎにも注意する必要があります。
プリンセンチアパールにつきやすい害虫は、アブラムシ、カイガラムシ、オンシツコナジラミなどです。先ほども解説したように、これらの害虫がつくことによってすす病になる可能性があります。
風通しの良い場所に置くことで害虫予防になります。アブラムシなどを見つけたときは殺虫剤の使用を検討しましょう。
プリンセチア パールは、花のブーケのような可愛らしい姿が特徴で、贈り物としても人気の植物です。特にクリスマスシーズンのイベントにもよく映えます。
開花時期は 11月~1月 で、適切に管理すれば4月頃まで色づいた苞を楽しめます。種から育てるのは難しいため、苗からの栽培が一般的です。寒さに弱いため、冬は屋内の窓辺などに移動させて育てましょう。
水やりには少し注意が必要ですが、基本は 土の表面が乾いてからたっぷりと与える ことを心がければ大丈夫です。
ぜひこの記事を参考に、プリンセチア パールの栽培に挑戦してみてください。
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苞とは、葉が変色したもので花びらのように見える部分のことです。その中央にある小さな粒が本来の花で、「サイアチア」と呼ばれます。