バラのつぼみが開く前に枯れてしまったら、それはクロケシツブチョッキリのしわざかもしれません。彼らはバラゾウムシという別名を持ち、よくバラに寄生してつぼみを枯らす厄介な害虫です。大切なバラを守るためにも、しっかりと駆除しましょう。

この記事では、クロケシツブチョッキリの駆除方法について紹介します。生態や発生時期、被害にあわないための予防と対策についても詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

今回は、有限会社モストップ取締役の白井良和さん監修のもと、クロケシツブチョッキリについて詳しく解説していきます。

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白井良和

害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役、医学博士。1994年に京都大学農学部を卒業し、1996年に京都大学大学院修了。殺虫剤メーカーを経て、2001年に富山医科薬科大学大学院修了。害虫駆除会社にて、ゴキブリ、ネズミ等の駆除作業を行う。現在、虫よけ剤の試験、害虫駆除、メディア協力、Web記事監修、動画投稿を行っている。

クロケシツブチョッキリはどんな昆虫?

クロケシツブチョッキリの特徴と生態

クロケシツブチョッキリは、一般的にはバラゾウムシと呼ばれ、広く言えばゾウムシの仲間ですが、ゾウムシ科ではなくオトシブミ科に属します。小型の甲虫で、大きさは2〜3mmほど。体は黒色で、細長い口吻(こうふん)が特徴です。さまざまな植物に寄生しますが、とくにバラを好みます。

クロケシツブチョッキリは植物の新芽やつぼみを吸汁する害虫です。それだけでなく、新芽やつぼみの茎に卵を産みつけ、その数を増やします。孵化した幼虫はつぼみを食べて大きくなり、つぼみが枯れて地面に落ちる時に一緒に落ちます。その後地中に潜ってサナギとなり、やがて新たな成虫となって被害を広げていくのです。

クロケシツブチョッキリの発生時期・場所

クロケシツブチョッキリの発生時期は春から秋にかけてです。具体的には4〜10月ごろに見られ、この期間に2〜3回繰り返し発生します。最もよく見られるのは、バラのつぼみがつき始める4〜5月ごろです。そして、この時の幼虫が成虫になる7〜8月ごろに再び数が増えます。

クロケシツブチョッキリは、日本全国のさまざまな場所で見られます。草むらや森林、農園、市街地など、幅広い環境に生息していますが、山地ではあまり見られません。

クロケシツブチョッキリの被害

クロケシツブチョッキリが及ぼす被害

クロケシツブチョッキリは、長い口吻を使って植物のつぼみを吸汁します。さらにつぼみの内部に卵を産みつけ、その後つぼみの付け根を傷つけて折ってしまいます。被害を受けたつぼみは枯れ、最終的に地面に落ちてしまうでしょう。新芽にも同様に被害を与えますが、卵は産みつけません。

クロケシツブチョッキリが狙うのはつぼみや新芽です。そのため、大量発生しても植物全体が枯れることはほとんどありません。仮にその年の花が全滅してしまっても、適切な駆除を行うことで、次の年には新たな花を楽しめますよ。

クロケシツブチョッキリが発生しやすい植物

クロケシツブチョッキリは主にバラに発生します。バラ以外で寄生する植物は、サルスベリやクヌギ、コナラ、アベマキ、ラズベリー、キイチゴなどです。4月はバラ、5月はサルスベリ、秋にはクヌギ、コナラ、アベマキと、時期によって寄生する植物を変えて繁殖します。

クロケシツブチョッキリの駆除方法

赤色のバラ

叩き落として捕殺する

最も簡単なクロケシツブチョッキリの駆除方法は、植物から叩き落として捕まえることです。クロケシツブチョッキリは衝撃を与えられると、驚いて植物から離れて死んだふりをします。この特性を利用して、植物から叩き落として捕殺しましょう。手順は以下の通りです。

必要なもの

駆除の手順

  1. 植物のトゲなどから手を守るためにガーデニング手袋、もしくは軍手を着用する
  2. 植物の下にビニールシートを引く
  3. 植物をやさしく叩いてクロケシツブチョッキリを下に落とす
  4. ビニールシートに落ちたクロケシツブチョッキリを回収、処分する

コツは、植物を揺らすのではなく、叩いて衝撃を与えることです。ただし、強く叩きすぎると植物を傷つけてしまいますので、十分注意しましょう。つぼみがつき始めたころに繰り返し行えば効率よく捕獲できますよ。さらに、この方法は薬剤を使用しないため、手間はかかりますが、無農薬栽培にこだわる方にもおすすめです。

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白井さん

叩き落としたあと、シート上の虫を殺虫剤で殺虫して、逃がさないよう確実に退治するのもひとつの方法です。殺虫剤を使わずに落としたのに、落としてから殺虫剤を使用すれば二度手間かと思われるかもしれませんが、植物に殺虫剤をかけずに済みます

殺虫剤を散布する

クロケシツブチョッキリは非常に小さな害虫で、体長はわずか2〜3mmほどしかありません。このような小さな害虫を確実に駆除するには、殺虫剤の使用がおすすめです。

効果的な薬剤は、ベニカR乳剤やスミチオン乳剤です。どちらも浸透移行性の殺虫剤で、有効成分が植物全体に浸透し、害虫を寄せ付けなくする効果があります。安全性も高く、幅広い植物に使えますよ。

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白井さん

有効成分が異なる薬剤を、ローテーションで散布するのがいいでしょう。同じ有効成分の薬剤を連用すると、薬剤抵抗性が発達して、薬剤が効かなくなる可能性があるからです

クロケシツブチョッキリが発生する4月ごろから定期的に散布するとよいでしょう。葉の裏や根元付近など、植物全体にまんべんなく吹きかけるとさらに効果が高まります。

クロケシツブチョッキリの天敵を利用する

クロケシツブチョッキリの天敵を利用して、自然に捕食してもらう方法です。クロケシツブチョッキリの天敵はクモ、とくにハナグモを苦手としています。

ハナグモは腹部に褐色の斑紋がある緑色のクモです。毒は持たず、植物に悪影響も与えない益虫として知られています。栽培している植物にハナグモを見つけたら、そのままにしておきましょう。クロケシツブチョッキリを食べて被害を減らしてくれますよ。

クロケシツブチョッキリの予防と対策

ピンク色のバラとその他植物

植物のつぼみ・茎をこまめにチェックする

クロケシツブチョッキリの被害を最小限にするには、植物のこまめなチェックが重要です。とくに、つぼみ周りに黒い吸汁痕などがないかを注意深く確認します。植物の異変をいち早く見つけ、迅速に対処するように心がけましょう。

あらかじめ薬剤を散布する

クロケシツブチョッキリの発生を予防するために、あらかじめ薬剤を散布しておきましょう。ベニカR乳剤やスミチオン乳剤は、予防にも駆除にも効果的です。発生時期に合わせて定期的に散布することで、クロケシツブチョッキリを寄せ付けません。

植物の茎に粘着剤を塗布する

植物の茎に粘着剤を塗ると、クロケシツブチョッキリがつぼみにたどり着く前に捕獲できるため、被害を未然に防げます。茎を移動するアブラムシやヨトウムシなどにも効果がありますよ。

あまり殺虫剤を使いたくないという方にもおすすめの方法です。専用の粘着剤が販売されていますので、ホームセンターや通販などで手に入れましょう。

枯れたつぼみ、落ちたつぼみは回収する

クロケシツブチョッキリはつぼみに卵を産みつけ、つぼみを食べて成長します。被害を受けて枯れたり落ちたりしているつぼみの中には、クロケシツブチョッキリの幼虫が潜んでいるかもしれません。被害にあった箇所は速やかに取り除きましょう。

クロケシツブチョッキリの駆除・予防におすすめのアイテム

アース製薬 アースガーデン 花いとし 1000ml

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白井さん

ジノテフラン、エトフェンプロックス、ミルベメクチン、ペンチオピラドの4つの成分を配合する殺虫殺菌剤で、害虫退治と、植物の病気対策ができます。幅広い花や観葉植物に使用でき、幅広い害虫に効果があります

クロケシツブチョッキリの駆除方法・まとめ

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