酒造メーカーが作るアルコール除菌スプレー「パストリーゼ77」(以下、パストリーゼ)。
醸造アルコールや精製水など、口に入っても害のない材料で作られているため、手指の除菌はもちろん、食品の防カビ対策や家の掃除、衛生アイテムのお手入れなど、さまざまなものに使用することができ、その汎用性の高さに注目を集めています。
今回は、そんなパストリーゼの商品特徴やあらゆる場面への活用方法について、ドーバー酒造株式会社の齋藤さんに教えてもらいました。
ドーバー酒造株式会社 パストリーゼ事業部 齋藤さん
パストリーゼを製造しているドーバー酒造株式会社は、主にブランデーやラム酒をはじめ、洋菓子に使う製菓用洋酒のメーカーとして広く知られています。
そんな酒造メーカーのノウハウをいかして開発したのがパストリーゼ。1986年に洋菓子店や百貨店などの食品売り場などで心置きなく使えるアルコール除菌剤として誕生しました。食品を取り扱うプロの現場や南極観測隊携行品の必需品に採用されるなど、はじめはプロユースのアルコール除菌剤として支持されます。次第にお客様の口コミや家事アドバイザーさんによる紹介、TVなどメディアでの露出も増えて、今では一般家庭でも広く愛用されるようになりました。
原材料には、100%サトウキビ由来の醸造アルコールや純度の高い精製水など、お酒造りと同じ良質素材を採用。パストリーゼは厚生労働省認可の「食品添加物」に分類された商品のため、口に入っても害はなく、食品に直接噴射できることが大きな特徴です。
パストリーゼのアルコール濃度は名前の通り77%。菌やウイルスに対して最も優れた除菌力を発揮する濃度に調整されています。
高濃度のアルコールに加えて、さらに緑茶カテキンが配合されているので、除菌や抗ウイルス、防カビ、食品保存など幅広い効果を発揮。スプレーするとアルコールはすぐに揮発しますが、緑茶カテキンは残留してくれるので抗菌効果が長続きします。
まずは、パストリーゼの用途や使用が適していないものを確認しておきましょう。
除菌・抗菌はもちろん、食品の防カビ対策や肌に触れる衛生グッズのお手入れなどに使用できるほか、キッチン、シンク、浴室、窓ガラス、玄関などあらゆる場所の掃除に適しています。
これらは変色、溶解、亀裂などの変化が生じる危険性があるので、使用を避けるか、使用前の確認が必要です。
齋藤さん
ワックス塗布がされているフローリングは、アルコールとワックスが反応すると白濁してしまう恐れがあります。無垢のフローリングは使用できますが、目立たないところで試してから使うと良いです。
ここからは、どのようなシーンでパストリーゼが活用できるのか、その例を一つ一つ見ていきましょう!
食品にも心置きなく吹きかけることができるパストリーゼ。食品の鮮度維持や除菌などに最適です。
野菜や果物、魚、肉などのさまざまな食品の鮮度を保つのに役立ちます。防腐・防カビの効果が期待できることから、パンや餅など、カビが発生しやすい食品の保存にも効果を発揮します。
齋藤さん
洋菓子店ではいちごの除菌にも使用されています。箱入りのみかんも開封後すぐにスプレーを吹きつけておくと、カビの発生を防げますよ!
卵の殻には、食中毒の原因になるサルモネラ菌が付着していることもあります。スーパーで買ってきてすぐ、卵の殻に吹きかけて除菌を。
調理器具や食器にも使用することができます。スプレー後は洗い流し不要で、自然乾燥させて置くだけなので手軽です。
まな板で生肉や生魚などを切ると、雑菌の繁殖が気になります。使用前後に直接吹きかければ、食中毒予防に。ザルなどの調理器具にもおすすめです。
夏場など気温が高い季節は、食べるまで数時間の間に雑菌が繁殖して食中毒の危険性が高まります。お弁当の空の容器にもおかずを詰めた状態でもパストリーゼを吹きかけてしっかり対策を。
自家製のジャムは防腐剤などの保存料を使わないため、カビや雑菌が繁殖しやすいことも。仕込んだジャムを保存瓶の中に入れる前に、保存瓶にパストリーゼを吹きつけてキッチンペーパーで軽く拭き取り、しっかり除菌しておきましょう。梅酒作りや保存食作りの際にもおすすめ。
毎日使うふきんは雑菌の温床になりやすいもの。食事のあとのダイニングテーブルをふきんで水拭きすることは雑菌を広げてしまう危険性もあります。水洗いしたあとにパストリーゼを吹きかけてお手入れしましょう。嫌な臭いのもとになる菌の繁殖も防ぐため、防臭効果も期待できます。
乾いたふきんにパストリーゼを吹きかけたり、ダイニングテーブルに直接吹きかけたりしてから拭けば、清潔さをキープすることができます。
齋藤さん
ダイニングテーブルの塗装が剥がれてしまう可能性があるので、材質を確認し、目立たないところで試してから使用してください。
意外かもしれませんが、パストリーゼは水垢や油汚れを落とすのにも適しています。キッチンのガスコンロやシンク周りでの活用法を見ていきましょう。
アルコール濃度が高いので、油を溶かす溶解作用にも優れています。コンロ周りや換気扇などの油汚れには、ウエスやキッチンペーパーに吹きつけて拭き掃除を。温めるときに食材が飛び散りがちな電子レンジ内など、水洗いしにくい場所にも効果的。
齋藤さん
コンロ周りは、調理後のまだ温かいうちに拭き取れば、汚れがゆるんでいて、するする落ちます。
水を使用するキッチンのシンク周りは、雑菌が繁殖したり、水垢がたまりやすいところ。1日の終わりにシンクや三角コーナー、排水口のゴミ受けなどの汚れを落としたあと、全体にパストリーゼを吹きつけてお手入れします。
齋藤さん
生ゴミの腐敗防止にもなるので、生ゴミに直接吹きつければコバエの発生なども防げます!
食材を入れる冷蔵庫の掃除に使用しても大丈夫。汚れが気になるところに直接吹きつけてからクロスなどで拭き取っていきます。冷蔵庫内の壁面やチルド室なども以外と汚れているので要チェック!
毎日使用するバスルームやトイレも、パストリーゼで清潔な状態を保ちましょう。
湿気が多く、カビや雑菌の繁殖が気になる浴室内。壁や浴槽、床など、できるだけ水気を切ってからパストリーゼを吹きつけるとカビ予防になります。お風呂を使ったらリセットされてしまうので、お風呂に入った後やお風呂掃除後の習慣にして。
便器の汚れや尿はね汚れなどで発生する嫌な臭いにも、パストリーゼで除菌・防臭しておきましょう。床や壁は直接スプレーし、ウエスで拭きあげてください。便座はパストリーゼを吹きつけたクロスで拭きあげ、便器内は汚れを洗剤で落としてから、仕上げに吹きつけてキレイをキープ。
齋藤さん
「便器内に黒ずみリングができなくなった!」という口コミもありました。
良質な原材料だから肌に直接触れる衛生用品にも使用可能。スプレーするだけでお手入れできるので手軽です。
ブラシやパフなどのメイク用品を使用したまま放っておくと肌荒れの原因に。水洗いして乾かした後、パストリーゼを吹きかけて清潔に管理しましょう。
歯ブラシやカミソリなどは、生乾きが原因で菌の繁殖につながる恐れも。水気を拭き取ってからパストリーゼで除菌しておくと良いでしょう。
長時間つけていると衛生面が気になるマスクの除菌にも。後述の携帯スプレーで持ち歩けば、食事などでマスクを外した時にサッとお手入れできます。
洗濯しづらいクッションなどのリビング雑貨やペット用品のお手入れも、パストリーゼで簡単に行えます。
リビングやソファ周りで毎日使うクッション、ぬいぐるみは意外と汚れが溜まっているもの。掃除機をかけて表面のホコリを吸い取ってから、全体がしっとりするくらいにたっぷりとパストリーゼを吹きつけます。その後、風通しの良いところでよく乾かしましょう。
何でも口に入れてしまいがちな子ども。おもちゃには直接噴射はせず、クロスなどにパストリーゼをスプレーし、やさしく拭きあげましょう。
齋藤さん
おもちゃは塗料が剥がれてしまったり、変色の恐れがあったりするので、材質をよく確認してから使ってください。特にゴム製や木製で塗料がついたものには注意が必要です。
ペット用品にも安心して使えるパストリーゼ。トイレの拭き掃除やペットベッドなどにスプレーするだけで気になる臭いを防いでくれます。アルコールの揮発が早いので、大切なペットにも刺激を与えにくく心配がありません。
靴や押入れも湿気がたまりやすく、カビが生えやすい場所。特に梅雨などの湿気が多いシーズンには臭いも気になります。
帰宅時や来客時など、清潔感のある気持ちの良い空間を目指したい玄関。スニーカーや革靴、ブーツなどはクロスに吹きつけて内側を吹くだけ。また、臭いが気になる布製スリッパや玄関マットなどには、直接スプレーして風通しのよいところでよく乾かせば、防臭効果も期待できます。
押し入れやクローゼットなどの収納スペースも、カビの発生が気になるポイントです。水拭きはさらなるカビの原因になるので要注意。揮発性が高く、除菌ができるパストリーゼでの拭き掃除がおすすめです。ホコリなどを取り除いてから、パストリーゼを吹きつけたクロスで拭きましょう。
齋藤さん
服をかけた奥のほうや壁の隅にも湿気がこもりやすいので、お忘れなく!
パストリーゼはガラス製のものと好相性。ミネラルなどの不純物を取り除いた精製水を使っているため、ガラスに拭き跡が一切残りません。
窓ガラスに直接スプレーして、マイクロファイバークロスなどの窓ガラスを傷つけづらいクロスで上から全体を拭いていきます。サッシ部分なども汚れやカビがつきやすいので、しっかり拭きあげて。
齋藤さん
できれば毎朝行うことで、窓ガラスが結露しやすい冬の防カビ対策にもなります。
スマホのガラス画面についた指紋や皮脂、ファンデーションなどの汚れの拭き掃除にも最適! ウエットティッシュなどで拭くと水滴の跡が残りがちですが、パストリーゼなら拭き跡は残りません。柔らかいクロスなどに噴霧して、やさしく拭きましょう。
家庭内だけでなく、キャンプなどのアウトドアシーンでも大活躍してくれます。キャンプ中はお皿やカトラリーなどの汚れを拭き取り、パストリーゼを吹きつければ毎回水洗いをする手間が省けるでしょう。帰宅後はテントや寝袋などの道具をしまう前に、全体的にスプレーして乾燥させてからしまうと防カビ・防臭に。
齋藤さん
キャンプ道具もしっかりお手入れしてあげれば、長持ちするはずです!
愛用者考案で、はっか油を混ぜて虫除けスプレーとして活用するアイデアも。耐アルコール性のスプレーボトルに、パストリーゼ+はっか油またはペパーミントを3〜9滴混ぜるだけで完成。蚊やハエ、ゴキブリが嫌うミントの香りで、肌に直接吹き付けたり、窓や玄関にスプレーしたりして使用します。
カインズや東急ハンズの店舗/オンラインショップをはじめ、ドーバーの公式オンラインショップ、ドラッグストアなどで取扱があるパストリーゼ。2種類のスプレーヘッド付きボトルのほか、置き型のポンプボトル、詰め替え用、持ち運びに便利な携帯用スプレーを展開しています。
500mL(左)、1,000mL(右)のスプレーヘッド付きボトル
家庭で使いやすいのは500mLのスプレーヘッド付きボトル。ボトルの後ろに持ち手がついているので、持ちやすく、使わないときはフックなどで吊るして収納することができます。
1,000mLサイズの噴射時の様子
1,000mLサイズは、スプレー部分が500mLと異なります。噴射量も多く、広範囲にスプレーできるのが特徴です。どちらも噴射口にはON・OFFの切り替え付き。
ポンプタイプ(800mL)
上からプッシュして使うポンプタイプは、店頭の入り口や玄関などで活躍してくれます。
スプレーヘッドだけを付け替えて使える500mL、1,000mLの詰め替え用も。
灯油ポンプで詰め替えるのがコツ
最近は一般家庭でも多く愛用されているスチール缶。内容量にしてなんと17.2L! ここまで大容量ではなくてもいいという方は、5Lのサイズがおすすめ。
齋藤さん
高温を避けて密閉して保存すれば、使用期限はありません。大容量でも安心して使い切ることができるはずです。
パストリーゼを詰め替えて使用する携帯サイズのスプレー(空容器での販売)。ポーチにすっぽり収まるので外出先に持ち歩くのに便利です。非常用持ち出し袋や災害用のリュックの中に入れておくのにも丁度いいサイズ感。
インテリアとしてそのまま置いておいても様になる、デザイン性の高いパッケージも人気の秘密。1986年の開発当初から変わらないドーバー酒造株式会社のロゴとパストリーゼの特徴が英語表記されたデザインは、ヨーロッパ文化を背景に持つ洋菓子店や、百貨店の売り場に馴染むように考案されたものです。
マルチな活用方法があるパストリーゼも正しい使い方が必要です。使用上の注意点を確認しておきましょう。
高濃度のアルコールが含まれるため、消防法上では危険物第4類(引火性液体)に分類されています。蒸気は空気より重く引火しやすいので、火の近くでは使用しないこと。
皮脂汚れや油汚れには効果を発揮しますが、がんこな汚れやキッチンのコゲなどには専用の洗剤を使って掃除してください。
アルコール度数の高い成分があまりにも大量に揮発すると、気分が悪くなる可能性があります。使用の際は換気した空間で使用してください。
暮らしのさまざまなシーンで大活躍してくれるパストリーゼ。食品などの口に入れるものや肌に触れるもの、子供用品やペット用品にも使用できて、家じゅうのキレイをキープしてくれる頼もしい存在です。それぞれの暮らしにあったパストリーゼの使い方で、毎日を清潔に、豊かに過ごしましょう!
齋藤さん
除菌効果はアルコールの濃度で変わってきますが、濃度が低くても高すぎても、十分な除菌効果は期待できません。効果的といわれている70〜80%の間を目指した結果、「77%」という濃度に落ち着きました。