執筆:カインズ グリーン・ガーデン部
夏に爆発的に増えるメヒシバ。生命力・繁殖力がとても強く、増えてしまうと取り除くことが難しい厄介な雑草です。
メヒシバを生やしたままにしておくと、他の植物の生育は阻害されますし、庭の景観も損ねてしまいます。手が付けられなくなるほど増える前に、適切な対策が必要です。
ここでは、メヒシバの駆除方法を紹介します。他にも、メヒシバの特徴や予防と対策についても触れていきますので、ぜひ参考にしてメヒシバの駆除に役立ててください。
メヒシバ(雌日芝)はイネ科の一年生雑草です。草丈は30〜70cmほど。先端についている穂から、種をたくさんまき散らします。
春に芽を出し、夏から秋にかけて勢いよく拡がります。冬には枯れますが、まかれた種が翌年の春に芽吹きます。とても繁殖力の強い雑草なので、放っておくと手に負えないほど増えるでしょう。
メヒシバは生える場所を選びません。日本全土に分布し、庭や畑、道端などどこにでも生えます。よく日が当たる乾燥した環境を好み、栄養のない痩せた土地でもぐんぐん育ちます。
メヒシバに似た植物に「オヒシバ(雄日芝)」があります。草丈はほとんど同じですが、メヒシバよりも穂が太いのが特徴です。オヒシバもイネ科の一年生雑草なので基本的な駆除方法はメヒシバと同じです。
メヒシバは根絶が難しいと言われています。その理由は、高い生命力・繁殖力を持つ雑草だからです。
メヒシバは、栄養のない痩せた土地や日陰でも成長できる雑草です。加えて、暑さや寒さ、湿気や乾燥にも強いので、基本的に土があれば自生します。庭や畑に限らず、鉢植えやアスファルトの隙間に生えているのもよく見かけます。
他にも、メヒシバは他感作用(アレロパシー)を持つ植物で、同じ場所に生えている他の植物の生育を化学的にも抑制する可能性があります。放っておくと、他の植物は育たずにメヒシバだらけになってしまうかもしれません。畑や庭にメヒシバが生えたら、なるべく早く手を打ちましょう。
除草剤を使うと手軽かつ確実に駆除できます。特に大量発生してしまった場合は、葉から吸収させるタイプの除草剤をかけるとまとめて枯らすことができます。一年生イネ科雑草に適用のある除草剤を選ぶと効果的です。
除草剤は場所ごとに使い分けるのがポイントです。
小西さん
除草剤のラベルには使用できる場所や作物の記載があるので、よく見て利用したい場所にあった除草剤を選びましょう。周囲に植栽や枯らしたくない植物がある場合は、散布するときの薬剤の飛散にも注意しましょう。
※非選択性の除草剤なので付近に他の植物がある際は飛散による薬害に十分注意してください。
少量のメヒシバは手で抜いてもよいです。メヒシバの根は浅く、手でも引き抜けます。ただ茎が残ると再生してくるので、根元から引き抜くようにしましょう。
種のついたメヒシバは、不用意に抜くと周囲に種が散らばります。種が作られる前、可能であれば開花前には抜きましょう。既に種ができているときは、種が土に落ちないよう慎重に作業してください。落ちた種は取り除き、土に残さないようにします。
小西さん
メヒシバの種の寿命は2年程度なので、数年間種が落ちる前に抜くことを徹底すれば、メヒシバの発生量をぐんと減らすことができます。
抜いたメヒシバを地面に置いておくと種が落ちるおそれがあります。除草後は放置せず、すぐ袋にまとめてゴミに出しましょう。もし種が落ちてしまったときは、残さず取り除きます。
メヒシバを放置しておくと、際限なく繁殖して拡がっていきます。庭や芝生に生えてしまうと、荒れて見た目も悪くなり、害虫の発生源にもなります。畑では、育てている野菜に水分や栄養が行き渡らなくなり、最悪の場合枯れる恐れもあります。
メヒシバが生え放題になって土地が荒れると、元に戻すために時間も労力もかかります。対策は早ければ早いほどよいです。メヒシバを見つけたらすぐ駆除を始めましょう。
メヒシバを生やしたままにしておくと、人によってはアレルギー疾患を引き起こします。メヒシバは開花期の7〜10月頃に花粉を飛ばします。この時期に、近くにメヒシバが生えていると鼻水が出たり目がかゆくなったり花粉症の症状が現れるようであれば、メヒシバ花粉によるアレルギーを疑いましょう。。その場合はメヒシバを取り除くことで改善が期待できますので、放置せずに駆除しましょう。
メヒシバの予防には、防草シートを敷くと効果的です。シートが日光を遮るため、種が落ちていても生長できず生えてきません。
防草シートを敷く前に、地面に生えている雑草はしっかり除去して地面を均しましょう。下処理を怠ると、シートの端に隙間ができたりシート上の凸凹に土が溜まり、そこから雑草が生える可能性も。除草剤で処理した後に防草シートを敷くと安心です。経年劣化しますので、定期的に張り替えてください。なお、ピン穴付近や端部からは雑草が発生しやすいので定期的に点検すると防草効果も長持ちします。
じゃりやレンガを敷き詰めてもいいでしょう。土の表面が覆われるので、メヒシバが生えにくくなります。見た目もおしゃれになるので、庭などにおすすめの対策です。
じゃりやレンガを敷き詰めるときは、防草シートと併用するとより効果的です。しっかりと除草をした後に防草シートを敷き、その上にじゃり・レンガを乗せましょう。
場所によっては、コンクリートで舗装してしまうのも一つの手です。コンクリートで埋めてしまえば、メヒシバはもちろん他の雑草も生えなくなります。ただ時間もお金もかかり、輻射熱等による周辺環境への影響もあります。簡単には元に戻せないため、よく考えてから実施しましょう。
メヒシバは生命力・繁殖力が強く、繁茂すると駆除が難しい雑草です。除草剤を上手に利用して確実に駆除しましょう。手で抜くときは茎を残さないように注意します。抜いたメヒシバは、種を落とさないように処分しましょう。
メヒシバの予防対策には防草シートやじゃり、レンガが効果的です。コンクリートで舗装すると全く生えなくなりますが元へは簡単に戻せません。
小西さん
繁茂したメヒシバの駆除は難しいので、増やさないための予防と対策が重要です。見つけたら早めに取り除き、被害を最小限に抑えましょう。
小西さん
メヒシバはとてもたくさん種をつけます。環境によっては1個体で万単位の種をつけ、簡単に穂から落ちて翌年にはそこから大量のメヒシバが発生します。さらに、メヒシバの出芽は長期にわたります。先に出芽した個体を駆除しても、残っている種からの発生が続くため完全な駆除は困難です。