毎日のように使う洗濯機は、実は汚れが溜まりやすい物でもあります。漂白剤の「オキシクリーン」を使って汚れた洗濯槽を掃除するのは、定番の掃除方法のひとつですが、「思ったほど汚れが落ちない」「汚れがなかなかなくならない」「適切な使い方がわからない」という方もいるのではないでしょうか。
オキシクリーンで洗濯槽の汚れをしっかりと落とすためには、いくつかポイントがあります。
そこで今回は、オキシクリーンを使った洗濯機の掃除手順を、失敗しないためのポイントとともに解説します。併せて、洗濯槽をきれいに保つ方法についても見ていきましょう。
オキシクリーンは、粉末状の酸素系漂白剤です。アメリカの家庭用洗剤企業が販売している物で、日本では、株式会社グラフィコが取り扱っています。
衣類の漂白だけではなく、お風呂場、キッチンなど、さまざまな場所の掃除に使える洗剤です。オキシクリーンを使ったつけ置き掃除は「オキシ漬け」とも呼ばれており、多くの家庭で用いられています。オキシクリーンのつけ置き時間を上手に活用すれば、効率的に掃除を進めることが可能です。
なお、日本国内では株式会社グラフィコが販売する日本製のほか、アメリカからの直輸入版を販売しているところもありますが、日本製とアメリカ製では成分が少し異なります。アメリカ製のほうが、洗浄力が強い成分が入っている場合がありますので、特にキッチンで使う際には注意が必要です。
オキシクリーンは酸素系漂白剤ですので、効果を発揮する汚れとそうでない汚れがあります。まずはその違いを見ていきましょう。
オキシクリーンは、下記のような汚れのついた衣類やキッチン用品などに高い効果を発揮します。
<オキシクリーンが効果的な汚れ>
オキシクリーンは弱アルカリ性の洗剤のため、酸性の汚れに効果的です。家庭で発生しがちな汚れの多くが酸性のため、つけ置き掃除をすると漂白、消臭、除菌効果が得られます。また、食器のくすみや茶渋の除去、浴室やキッチン、トイレ、リビングなどの拭き掃除にもおすすめです。
また、オキシクリーンをお湯に溶かすと酸素の泡が発生します。オキシ漬けは、この泡で汚れを包み込んで浮かす掃除方法で、洗濯槽の汚れにも効果的です。
オキシクリーンは弱アルカリ性の洗剤であるため、水垢や石鹸かす、尿石などのアルカリ性の汚れには洗浄効果が期待できません。
こうしたアルカリ性の汚れを落としたいときは、酸性の性質を持つクエン酸などを使いましょう。
オキシクリーンで洗濯機を掃除する際には、オキシ漬けにするのが効果的です。その頻度は、1~2ヵ月に1回が目安となります。
洗濯槽の汚れがどれくらいのスピードで溜まるのかは、家族構成や住環境、洗濯機の使い方などによって変わってきます。洗濯物が多く洗濯の頻度が高い家庭は特に洗濯槽も汚れやすいため、オキシクリーンでつけ置き掃除する頻度も増やす必要があるでしょう。また、洗濯槽の汚れやにおいが気になる場合にも、オキシ漬けの回数を増やすことで汚れやにおいを落とすことができます。
オキシクリーンは、酸素系漂白剤を使える洗濯機であれば問題なく使うことができます。しかし、洗濯機の機種によっては、このタイプの漂白剤を使えない物もあるため、オキシクリーンを使う前に必ず使用可能かどうか確認が必要です。
また、オキシクリーンは金属や革製品、宝石類、シルク、木材に使うと変色や色落ちを起こすおそれがあります。洗濯機の場合、ステンレス槽にオキシクリーンで長時間つけ置き掃除をすると、変色する可能性があるため注意が必要です。オキシクリーンの使用前に、洗濯槽の材質もチェックしましょう。
オキシクリーンを使って洗濯槽をつけ置き掃除する手順をご説明します。掃除方法は「縦型洗濯機」と「ドラム式洗濯機」の2通りに分けてご紹介します。
なお、オキシクリーンで洗濯槽を掃除する際は、下記の物を用意しましょう。
<用意する物>
前述のとおり、オキシクリーンには日本製とアメリカ製がある点にご注意ください。パッケージの文字が日本語なら日本製で、英語のみの場合はアメリカ版となります。
アメリカ製のオキシクリーンには界面活性剤が含まれているため日本製よりも泡立ちが大きく、つけ置き掃除をしても汚れをすくい取りにくいというデメリットがあります。
また、日本製とアメリカ製とでは、付属の計量スプーンの大きさも違います。オキシクリーンの分量を測る際は、計量スプーンのサイズも確認しましょう。
なお、オキシクリーンは、お湯4Lに対して約28gの分量が目安となります。洗濯機を掃除するには、およそ40~50Lの水量になりますから、280g~350g程度のオキシクリーンが必要です。
まずは、縦型洗濯機でオキシクリーンを使ってつけ置き掃除をする手順を見ていきましょう。
5分程洗濯機を回したら、お湯が冷めないように洗濯機の蓋を閉めて6時間程度つけ置きます。つけ置きしているあいだに、洗濯槽のフチや洗剤投入口などを、オキシクリーンとブラシを使って磨くと効率的に掃除を進められます。
排水後に洗濯槽内に汚れが残っていたら、ティッシュで取り除きます。
洗濯機を回しているあいだに汚れが浮いてきたら、都度ネットで取りましょう。浮き上がってくる汚れがなくなるまで、繰り返し洗濯機を回します。
続いて、ドラム式洗濯機のオキシクリーンを使ったつけ置き掃除の手順をご説明します。縦型洗濯機よりもシンプルな掃除方法となります。
オキシクリーンで洗濯槽のつけ置き掃除をしても、それほど汚れが浮き上がってこないこともあります。その場合、原因として下記のようなことが考えられます。
<汚れが浮き出ない原因>
オキシクリーンの効果は、洗濯槽の汚れの度合いや機種によって変わってきます。効果があまり感じられないときは、汚れの程度や水の量に応じて、オキシクリーンの分量やつけ置き時間を調節します。
また、オキシクリーンは40〜50℃のお湯に溶かすことで効果を発揮します。冷水やぬるめのお湯を注ぐと、オキシクリーンと十分に混ざらず効果も半減してしまうため、水温に注意が必要です。
お湯を注ぐ際は、お湯が冷めないうちにバケツで一気に注ぐか、シャワーを使える場合は直接お湯を入れることをおすすめします。お湯を注ぐうちに温度が下がってしまったときは、やかんで沸騰させた熱湯を足すなどして、温度を調整しましょう。
オキシクリーンで洗濯槽のつけ置き掃除をして、何回洗濯機を回しても汚れが浮き出てくる場合は、洗濯槽専用の塩素系クリーナーの使用をおすすめします。
普段からできるカビ対策として、洗濯機メーカーは市販の塩素系クリーナーの使用を推奨しています。塩素系クリーナーは高い洗浄力を持ち、汚れ自体を分解するため汚れごと排水される点が特徴です。浮き出た汚れをすくい取る手間もかかりません。
オキシクリーンを使って掃除をした際に汚れがずっと浮き出てくる状態は、それだけ汚れが溜まっているということでもあります。洗濯槽の掃除頻度やお手入れ方法を見直して、汚れを溜め込まないようにすることも大切です。
洗濯槽には洗濯物に付着していた汚れやゴミ、水垢や洗剤のかすなどが残っています。加えて、洗濯機内部は湿気や温かい温度といったカビや雑菌が繁殖しやすい環境がそろっているため、定期的な掃除で清潔にする必要があります。
ここでは最後に、洗濯機をきれいに保つための洗濯のコツや、お手入れのポイントをご紹介します。
洗濯で使用する洗剤や柔軟剤は、パッケージや洗濯機の表示にあるとおりの分量を守って使いましょう。
洗剤や柔軟剤を入れすぎると、溶けきらずに洗濯槽に残ってしまうことがあります。そうした洗剤の溶け残りが溜まると、カビや雑菌が繁殖する原因となってしまいます。
乾燥機能が搭載されている洗濯機なら、1週間に1回は洗濯槽を乾燥させ、洗濯槽の湿気を除去することでカビや雑菌の繁殖を防ぐ対策になります。
洗濯槽は、月に1回の頻度で洗浄するのが理想です。フィルターやゴミ受けなども、この頻度で掃除します。月に1回洗濯槽を洗浄できれば、カビや雑菌の繁殖リスクを大きく抑えて、衛生的に洗濯機を使えます。
洗濯後はすぐに蓋を閉めずに、蓋を開けたまま自然乾燥させましょう。すぐに蓋を閉めると湿気がこもり、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。
脱いだ衣類や濡れたタオルをすぐに洗濯機の中に入れて、洗濯するまでそのままにしている方もいるかもしれません。しかし、汚れた洗濯物は洗う直前まで洗濯カゴへ入れておくようにします。衣類やタオルを洗濯機の中に入れて放置すると、その衣類やタオルに付着していた汗や水分によって、洗濯槽内の湿度が上がってしまい、雑菌が繁殖してにおいが発生しやすくなってしまいます。
オキシクリーンや塩素系クリーナーなどを使っても洗濯槽の汚れがなかなか落とせないときは、洗濯機クリーニングの専門業者に依頼するのもひとつの方法です。プロのクリーニング業者なら、洗濯機をできる限り分解して、専用の洗剤で洗濯槽の裏まで丁寧に掃除してくれます。
2年に1回などの頻度で定期的に洗濯機を分解洗浄すれば、洗濯機を清潔な状態で維持できる上、洗濯機を長持ちさせることにもつながるでしょう。
オキシクリーンで洗濯槽をつけ置き洗いすると、洗濯槽の奥底や手が届かない部分の汚れも掃除することができます。お湯をたくさん注いだり浮いてきた汚れを取ったりする手間はかかりますが、1~2ヵ月に1回の頻度で定期的にお手入れすれば、清潔に洗濯機を使い続けることが可能です。
オキシクリーンの分量やお湯の温度などにも注意し、洗濯槽のお手入れにオキシクリーンを活用していきましょう。