シソ科の多年草である「ニホンハッカ(日本薄荷)」は、日本で古くから親しまれてきた和種ハッカです。食用をはじめ、虫除けや、除菌・消臭など、さまざまな使い方がされてきました。
元々日本の在来種であるため、栽培がとても簡単です。苗からでも種からでも育てることができて、失敗することもほとんどなく、園芸初心者にもおすすめできます。
ここでは、ニホンハッカの育て方を、日当たり、水やりの頻度など詳しく紹介。収穫の時期や方法についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
ニホンハッカ(日本薄荷)は、爽やかな香りと強い清涼感が特徴のシソ科の多年草です。湿気がある草地に自生し、国内では北海道から九州まで広く分布しています。
ミントやハーブよりもメントールの含有量が多く、除菌や虫除け、芳香剤などにも広く利用されています。また、暑さや寒さに耐性があり、病気や害虫にも強いので、初心者でも安心して育てることができるでしょう。
一方、繁殖力と生命力の強さが問題になることも多く、近くに植えてある植物の養分を奪って枯れさせてしまうほどです。そのため、地植えする場合は注意が必要です。
ニホンハッカは、苗から育てるのが一般的です。苗から育てた方が効率よく増やすことができ、短期間で収穫できます。
ニホンハッカは挿し木や水挿し、株分けなど、さまざまな方法で簡単に増やせます。植え付けの手間をはぶき、できるだけ早めに収穫したい方は苗から育てると良いでしょう。
春先になるとホームセンターや園芸店などで、たくさんの苗が並びます。苗を選ぶ際は、茎がまっすぐで間延びしていない、葉色が濃いものを選びましょう。
ニホンハッカの繁殖力はとても強く、地植えにすると地下茎を伸ばしどこまでも広がっていきます。そのため、あまり増やしたくない場合は、プランターでの栽培がおすすめです。
もし地植えにするなら、高さ30cm以上の板を地中に差し込み、苗の四方を囲い、地下茎が広がらないよう対策が必要です。十分な敷地が確保できる場合は、雑草を軽減するグランドカバーとして役立ってくれますが、それ以外はプランターで育てる方が良いでしょう。
ニホンハッカは、日向から半日陰の環境を好みます。暑さや寒さへの耐性はありますが、極端な気候は苦手です。真夏の直射日光が長時間当たると葉焼けになり、完全な日陰は葉の香りがなくなるため、どちらも避けましょう。
気温が高い夏は成長が止まりますが、枯れることはありません。その一方、冬になると地上に出ている部分はすべて枯れます。しかし、土の中で根は生きていて、3月中旬頃になると新芽が出て、5月になると再び急成長をはじめます。冬に枯れたからといって、処分しないよう注意しましょう。
ニホンハッカは極端な乾燥が苦手です。特に夏場は土の表面が乾燥しやすく、水切れも起こしやすくなります。乾燥具合に応じて、朝と夕方の涼しい時間にたっぷりと水を与えましょう。
地植えの場合は、雨が当たる場所であれば水やりの必要はありません。根付くまでは水やりを行い、その後は自然に増えるのを待ちましょう。
ニホンハッカは乾燥が苦手なので、保水性の高い土に植えましょう。市販のハーブの土や観葉植物の土に、赤玉土を2割ほど混ぜ込むと保水性の高い土が作れます。
地植えの場合は、腐葉土と堆肥を土によく混ぜ込んでください。腐葉土には保水性をアップする働きがあり、ニホンハッカに適した土を作ることができます。
ニホンハッカは肥料がなくても育ちますが、より元気に育てるために、春と秋に緩効性の肥料を与えると良いでしょう。
ニホンハッカは5月頃から急成長します。そのため3月頃に肥料を与えると、効率よく栄養を補給できます。また、9月頃に肥料を与えれば、夏の暑さで弱った株を元気にすることができるでしょう。
ただし、肥料の与えすぎは葉の香りが弱まる原因となるため注意が必要です。
ニホンハッカを健康に保つには剪定が必要です。剪定をすることで、株元に日を当てることができ、新芽の成長を助けられます。また、風通しをよくすると、病害虫の予防になります。
ニホンハッカは生命力が強い植物なので、強めに剪定しても問題ありません。切ったところから枝分かれして茎が伸び、こんもりとした姿を楽しむことができます。
また、新芽が出てきたら古い茎を切り取って、新しい茎へ世代交代すると、長い間栽培できますよ。
ニホンハッカは生長が早く、根詰まりを防ぐために1年に1回の植え替えが必要です。根詰まりを起こすと生長が遅くなり、収穫量が減ります。また、病害虫への抵抗も弱くなるため、植え替えは必ず行いましょう。
植え替えのタイミングは、春が理想です。夏は暑さで株が弱っているため避けるようにしましょう。
植え替えの方法は、今よりひと回り大きい鉢に新しい土を入れ、そこに植え替えるだけです。もし鉢から出した時に、鉢の形に沿って根がびっしり伸びていたら、根詰まりを起こしているので、根っこを軽くほぐしてから植え替えましょう。
それ以外の場合は、根っこをほぐす必要はなく、そのまま新しい鉢に植え替えます。
ニホンハッカはさまざまな方法で簡単に増やすことができますが、一番確実なのは水挿しです。ここでは水挿しのやり方を4つの手順で紹介します。
以上の工程で、簡単に増やすことができます。ぜひ試してみてください。
ニホンハッカの収穫時期は、初夏から秋。収穫は、葉を1枚ずつ収穫する方法と、根本から刈りとる方法の2通りあります。
葉を1枚ずつ収穫する場合は、必要な枚数だけちぎって使います。フレッシュハーブティーや料理のアクセントとして使うと良いでしょう。
根本から収穫する場合は、茎を間引くようなイメージで、数本刈り取ります。日当たりと風通しがよくなり、他の株の生長にも繋がります。
また、ニホンハッカは花が咲くと葉が固くなり、風味や収穫量も落ちるので、遅くても花が咲く8月〜10月より前に茎ごとカットしましょう。
収穫したニホンハッカは、フレッシュでもドライでも楽しむことができます。
フレッシュの場合は、レモンの輪切りと葉っぱをミネラルウォーターに入れ、フレーバーウォーターとしてスッキリ味わうのがおすすめです。
ドライの場合は、乾燥させてハーブティーにしたり、ドライポプリやモイストポプリにして香りを楽しむのも良いでしょう。
また、ニホンハッカに含まれるメントールには、抗菌作用があり風邪予防に役立ちます。さらに、リラックス効果や血行促進、胃腸の働きをアップし消化を促す作用なども期待できます。
ニホンハッカに含まれるメントールは虫除けの効果があり、あまり害虫はつきません。しかし、弱っている苗にはアブラムシがつくことがあるので、見つけ次第殺虫剤で駆除します。
風通しが悪いと「うどんこ病」にかかることがあります。糸状菌というカビが原因で発生し、白い斑点が広がっていく病気です。軽症であれば殺虫剤で治りますが、症状が進行している場合は、すみやかに葉っぱを切り取る必要があります。
アブラムシも、うどんこ病も、日当たりと風通しをよくすれば防ぐことができます。丈夫な苗に害虫はつかないので、しっかり剪定を行い、病害虫を予防しましょう。
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