色鮮やかで華やかな花を咲かせるエキナセア。丸く膨らんだ花の中心が特徴的で、咲いている期間が長いため、夏の花壇では存在感があります。可愛らしいだけでなく丈夫で育てやすいので、ガーデニングが初めての方にもおすすめのハーブです。
今回は、エキナセアというハーブの基本情報、育て方、活用方法を詳しく解説します。
エキナセアはキク科ムラサキバレンギク属の多年草で、北米のロッキー山脈東側の平原が原産地です。花の中央はボール状にふっくらと盛り上がり、ハリネズミのように棘状の突起が密集しているのが特徴。その周囲を一重の花びらが取り囲みます。エキナセアという名は、ギリシャ語でハリネズミを意味する「echinos」に由来するとされています。
エキナセアには「Echinacea purpurea」「Echinacea pallida」「Echinacea angustifolia」の3種がハーブとして知られ、薬効のある植物に分類されます。ただし、園芸店で販売されているもののなかには品種改良された観賞用も多く、こうした品種には薬効は期待できません。飲食にも適さないため注意が必要です。
エキナセアは6〜10月頃に花を咲かせます。花の色はピンク、赤、白、グリーン、オレンジ、黄色と豊富です。爽やかなグリーンの花が目を引く「グリーンジュエル」や、咲き始めはグリーンで、徐々に中央がピンクに変化していく「グリーンツイスター」が特に人気です。
北アメリカの先住民であるネイティブ・アメリカンのあいだでは、エキナセアは薬草として傷や炎症の治療など色々な用途に利用されていました。
エキナセアは日当たりと風通しがよく、水はけのいい場所を好みます。日光が不足すると花が咲きづらくなってしまうので、十分に日を当ててあげましょう。
小早川さん
品種によって花の高さが様々です。Echinacea purpureaと Echinacea pallidaは60~120cmほど、Echinacea angustifoliaは30cmほどなので、育てる場所に合った品種を選びましょう。
年に2回あり、春栽培の4月から5月か、秋栽培の10月から11月がよいでしょう。
春に種蒔きをするか、苗を植え付けるか、どちらかの方法を選べます。種蒔きからの発芽率は60%前後と言われており、初めての栽培の場合、苗から育てるほうが成功の確率はぐんと高まるでしょう。時短栽培にもなります。
小早川さん
最近人気の鉢はプラスティック製のスリット鉢です。鉢の底部から側面にかけて細いスリット(隙間)があり、通気性・排水性に優れているため根腐れしにくいこと、根の張りが良くなることで、根の成長を促し、根が鉢の中でぐるぐる回るのを防ぎ、植物の生育に良い影響を与えます。
小早川さん
地植えの場合は、掘りかえした土を柔らかくして、3割程度の腐葉土を混ぜると水はけのよい土になりますよ。
エキナセアは、プランター栽培でも地植えでも育てられます。
ベランダで苗から栽培する場合、プランターは苗よりも1.5〜2倍ほど大きなものを選んで植え付けます。
庭や畑に地植えの場合は、日当たりと水はけに注意し、風通しのよい場所を選びましょう。株同士の距離が近いと風通しが悪くなって蒸れやすくなるため、複数のエキナセアを植える場合は、20~30cmほど間隔を空けて植えるようにしましょう。
エキナセアの種は硬く、5mmほどのサイズです。直径3~5cmの小さなポットやセルトレイと呼ばれる育苗箱に3cmほどの植え穴を作って種をまき、土をかぶせておくと、通常2~3週間後に発芽します。
発芽までは、直射日光の当たらない場所に置き、毎日ジョウロで水を与えて管理します。土がしっとりと湿った状態を保つようにしましょう。発芽後は、日の当たる場所に移動させてください。
本葉が3〜4枚ほど育ったら、ポットやセルトレイから直径10cm前後の育苗ポットに植え替えるか、約60cmの細長いプランターに20cm間隔で3株を目安に定植します。
エキナセアは乾燥気味の環境を好みます。常に土が湿っているよりも、やや乾いた状態で育てるほうが生育に適しています。水の与えすぎには注意が必要です。ただし、茎が伸びて蕾が見え始めてから開花までは水分を必要とするため、極端に乾燥させないよう気を配りましょう。
プランター栽培での水やりのタイミングは、土の表面が完全に乾いてからです。冬も夏と同様に水やりをして構いませんが、2週間に1回のペースに落としましょう。
地植えの場合は、基本的に水やりは必要ありません。ただし、夏場に土がひび割れるほど乾燥したり、雨が降らない日が何日も続いたりしたときは、たっぷり水をあげましょう。
エキナセアは、基本的に肥料を与える必要はありません。肥料が多すぎると株が弱り、花が咲きにくくなるためです。
ただし、生育が極端に悪い場合は、開花前の5月〜6月や秋の10月頃を目安に施肥を行いましょう。地植えの場合は、土の上に固形肥料を月に1〜2回置き、プランター栽培では週1回を目安に液体肥料を与えます。
エキナセアはとても生育がよく寿命の長い植物のため、根詰まりを起こしやすい特徴があります。鉢植えやプランターで育てている場合は、1年に1度植え替えをしましょう。植え替えの時期は植え付けと同じ春か秋、4~5月、もしくは9月末~10月頃に行います。ひと回り大きな鉢に植え替え、土を入れ替える際は根をよくほぐして古い土を取り除いて新しい土で植え直しょう。
冬になって気温が下がると、地上に出ている部分は枯れてしまいます。しかし、エキナセアは多年草なので根は生きています。土が凍らない程度の寒さであれば、地植えでも越冬することが可能です。春になるとまた芽吹いてくれます。寒冷地の場合は、鉢植えで育てて室内に取り込むとよいでしょう。地植えしている場合は、霜対策のためにも株元に腐葉土、わら、落ち葉などをかぶせマルチングすることで、土表面の保温が可能となり、防寒対策ができます。
エキナセアがかかりやすい病気に、カビが原因となって発症する「うどんこ病」「灰色かび病」「白絹病」があります。
小早川さん
多湿を避け、水はけと風通しで防止できるとは言うものの、風に乗ってカビが飛んでくる場合は予防が難しく、そのままにしておくと枯れてしまいます。薬を使って治療するか、全体的に剪定する必要があります。
また、「ハダニ」と「アブラムシ」にも注意が必要です。葉が密集して風通しが悪くなり、湿度が高くなるとつきやすくなるため、適度に剪定して、空気の通りが悪くならないように注意しましょう。
害虫がついてしまった場合は、市販の薬剤を散布して駆除しましょう。
植え替えの際に株を2~3糖分に分けて、増やすこともできます。その際、等分した株が小さすぎると枯れやすくなるため、ひとつの株に4~6個程度芽がつくようにして、あまり株を細かく分けないように気をつけましょう。
株分けのやり方は、スコップを使って、株元を掘り上げます。無理に手で引っ張らず、ナイフやはさみを使用しても問題ありません。また、サイズが小さいままの株は根付かず枯れてしまうこともありますので、ぐんぐん成長している大きい株を選ぶと良いでしょう。新しい場所に植え付けた後は、水をたっぷりと与えましょう。
エキナセアは、花の咲く6〜10月頃に収穫します。使用する部位は花・葉・茎・根で、必要に応じて園芸用のハサミで切り取って収穫しましょう。6〜10月の間は長く花を咲かせるため、花壇にたくさん咲いたときは、一部を切り花にして花瓶に飾るのもおすすめです。
剪定を行う際は、花だけでなく茎の部分から切ると、株姿を美しく保てます。花びらが落ちたあとの花も、ドライフラワーとして楽しむことができます。
咲き終わった花を放置すると、株が弱ったり、害虫や病気の原因になりやすいため、頃合いを見て取り除きましょう(花がら摘み)。花が終わったあとは、花茎ごと切り取ることで、種に栄養を使わず株に栄養が回り、次々と新しい花を咲かせてくれます。
翌春の種まきに備えて種を採取したい場合は、開花を続ける株と種取り専用の株を分けて育てる方法もあります。枯れた花をこまめに摘み取ることで、花の見頃を長く楽しめます。
エキナセアは花、葉、茎、根っこと全草丸ごと使える珍しいハーブです。根部分の薬効が特に強いとされていますが、根の収穫は育て始めた3年目以降が良いと言われています。
フレッシュのエキナセアはハーブティーにして飲んでみてください。苦味とかすかな芳香が特徴です。また、フレッシュを1週間ほど陰干しし、乾燥させたドライエキナセアを瓶に詰めることで、保存が効きいつでもエキナセアティを楽しめます。チンキ剤と呼ばれるハーブ濃縮液を作る場合は、フレッシュ、ドライ共にどちらからでも作れます。
エキナセアは免疫力を高める効果があるとされています。そのため、体調が優れなかったり、体力が落ちているときに、ハーブティーとして飲まれています。
小早川さん
エキナセアのみのシングルハーブだと苦くて飲みずらいので、カモミールやレモングラスといった優しい風味を持つハーブとブレンドするとぐんと飲みやすくなります。コーディアルと呼ばれるシロップジュースにする場合は、砂糖やフルーツと一緒によく煮込むと飲みやすくなります。
小早川さん
埼玉県寄居町の特産物としてエキナセアうどんが一時取り上げられたこともありました。また、えぐみのあるエキナセアをスープの素に使うケースもありますが、いづれも珍しいケースでしょう。
小早川さん
メディカルハーブを使いこなすハーブ専門家の家庭には、「緑の薬箱」が常備されていると言われています。ハーブや植物などの自然素材を使った家庭用の救急箱を指すものですが、その中には、手作りのエキナセア軟膏が収まっていることが考えらえます。
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小早川さん
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