土を使わず、室内で野菜などを栽培できる「水耕栽培」。プランターのような専用の容器を用意する必要もなく、使い終わったペットボトルを加工して栽培容器として使うことも可能です。マンションなど集合住宅での簡単な家庭菜園としても人気が高まっています。
ここでは、水耕栽培について詳しく解説していきます。水耕栽培のメリットや、水耕栽培におすすめの野菜、種や苗から育てる方法や、与える肥料の種類などにも触れていきますので、どうぞ最後までご覧ください。
水耕栽培は、水に液体肥料(養分)を混ぜ、根から吸収させることにより植物を育てる栽培方法です。土を使わないため、菌や害虫被害を受けにくく、無農薬での栽培が可能です。また、マンションのベランダでも手軽に楽しむことができます。
さらに水耕栽培は、土が根の成長を妨げず、肥料の吸収効率も高いため、土を使った栽培の2倍の速さで成長するといわれています。また、太陽光の代わりにLEDライトなどを当てて日照時間を伸ばすことで季節に関係なく栽培が可能になり、年間を通してさまざまな野菜を栽培することもできます。
水耕栽培は基本的に室内で栽培するため、季節や育てる品種によっては日照が不足しがちです。そんなときは、太陽光の代わりにLEDライトや白熱灯を当てて育てることができます。中でもLEDライトは、白熱灯に比べて安価で電気代も安く、発熱量も少ないため植物の栽培に向いています。
LEDライトは、スタンド型や、容器とライトがひとつになったものなどが販売されています。栽培する品種によって必要な光の強さや栽培スペースが変わるため、育てる植物に合わせて選びましょう。
サラダや料理の添え野菜として食卓に彩りを与えてくれるレタス。土耕栽培では害虫トラブルが多く、季節にも左右されやすいとてもデリケートな植物です。水耕栽培であればそれらの影響を受けないため、初心者でも失敗なく育てやすい植物といえます。
レタスは太陽光による紫外線によって栄養素が作られるため、LEDライトを用いて栽培します。環境さえ整っていれば、種を撒いて発芽してから45〜50日ほどで収穫できますよ。
国吉さん
本葉が出るようになったら液体肥料を少しずつあげましょう。成長したら外葉から1枚ずつ収穫し、そのタイミングでまた液体肥料をあげると何回か収穫することができます。
料理にアクセントをつけてくれるバジルも、水耕栽培しやすい植物です。ペットボトルやコップサイズの容器での栽培が可能で、ベランダなどの広いスペースがなくても、日当たりの良い窓際で育てられます。
国吉さん
ただし、日光が大好きなので日当たりが悪いと成長せず、また葉の色が悪くなります。バジルの成長温度は20度以上と比較的高いので、朝晩の温度が寒すぎないように室温を調整しながら育てましょう。逆に真夏は室温が高すぎて水が濁りやすく、葉も蒸れやすくなるので注意が必要です。
バジルは繁殖力が強く、切り落とした茎も水に浸けておくだけで新しい根を生やし、新たな株ができます。室温を10度程度に保ちながら、毎日水を入れ替えを行い清潔を保てば、1年を通して収穫を楽しめますよ。
国吉さん
茎の先端にある新芽を摘み取る「摘心」を行うと、どんどん上の方に伸びてしまうのを防ぎ、わき芽が増え、よりたくさん収穫することができます。
鉢やビニールハウスでの土耕栽培のイメージが強いミニトマトですが、実は初心者でも水耕栽培に挑戦しやすい植物。気温が上がりやすい5〜8月は成長速度がやや遅くなるため、9月ごろ種を植え4月まで栽培を楽しむのがおすすめです。
国吉さん
春から夏にベランダで育てたミニトマトのわき芽を切って、水の入ったペットボトルに入れておくだけで、勢いよく根が伸び、成長していくでしょう。
また、種を撒いて育てることもできます。ある程度の大きさになるまでは日当たりの良い窓際で、換気を忘れずに。光が足りないと思ったら、LEDライトを当てるようにしましょう。水は根の2/3程度かぶるように入れて、酸素を補うように水を足していくと良いでしょう。
国吉さん
1週間に一度は水を全部取り替えるようにすると雑菌の繁殖を抑えることもできます。成長に合わせて液体肥料もあげます。背が高くなるため紐などで、倒れないようにする工夫と、わき芽も取るようにしましょう。
水耕栽培は、土耕栽培と比べ肥料の吸収がよく生育も速いため、甘くみずみずしいミニトマトを自宅で作れますよ。
アボカドは、スーパーで売られているものから水耕栽培することができます。種を取り出したら、種の甘皮を丁寧に剥き、果肉や油を落としてから使いましょう。
種には向きがあり、栽培時は種の尖っている部分を上向きにします。肥料は与えず、毎日水を交換して、雑菌のない清潔な水で育てましょう。およそ1〜2ヶ月ほどで発芽します。
国吉さん
一度、冷蔵庫で保管したアボカドは発芽しにくい場合があります。水耕栽培にチャレンジしたい場合には、室温で管理しておいたものをそのまま使いましょう。
栽培するときは、種を支えるために爪楊枝を種の外面からお尻に向かってやや斜めに4本刺して、容器に固定します。
種を支えるために、爪楊枝を種の外面からお尻に向かってやや斜めになるように4本ほどさすと容器に固定することができます。種のお尻部分が水にほんの少し触れる程度に水量を調整して、容器にセットしたら完了です。
国吉さん
ただし、アボカドは水耕栽培で育てるには限界があります。ある程度成長したら、鉢と培養土を用意して植え替えてあげましょう。
アボカドは種から育てて実際に実を収穫するまでに10年ほどかかります(個体差はあります)。種から発芽して成長する過程や涼しげな枝葉を楽しむ観葉植物として室内で育てると良いでしょう。
ブロッコリースプラウトは、肥料なしで年間を通して栽培可能なことから、自宅でも気軽に水耕栽培が始められる植物です。種まきから1週間から10日ほどで収穫できるため、初めての家庭菜園にもおすすめです。
こんな簡単な容器でもできます
ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽で、ビタミンやカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。栽培したものは、サラダや炒め物などに加えて食べられます。
ピリッとした辛さとゴマのような風味が特徴のルッコラは、水耕栽培での発芽率が90%と高く、初心者でも挑戦しやすい植物です。ペットボトルを使った容器でも栽培できるため、専用容器などを揃える必要もありません。
種まきにおすすめの季節は、春(4〜6月頃)と、秋(9〜10月)です。水と肥料の管理に気をつけていれば、4〜5日で発芽し、30〜40日ほどで収穫できます。
水耕栽培用の容器は、ホームセンターや100円均一でも購入できますが、使い終わったペットボトルで自作することもできます。
ペットボトルでの栽培は、単なる代用でなく、根を伸ばしやすいことから栄養の吸収効率が高まるメリットもあります。成長スピードが早くなるため、おすすめの方法です。
水耕栽培は、種と苗どちらからでも栽培できます。ただ、中には種からの発芽率が低い植物もあるため、そういった品種は苗から育てたほうがよいでしょう。
種から育てる場合は、専用の「スポンジ培地」に種まきをします。スポンジ培地に水分が十分に含まれていなかったり、気温が低いと発芽しにくくなるので、乾燥と温度(15〜20℃が適当)に気をつけましょう。
苗から育てる場合は、ホームセンターなどで販売されているものを購入するのが一般的です。植え替える際は、根についた土をしっかり落とします。土を落とせたら、水を吸収しやすいように根を1/2くらいにカットして、水耕栽培用の容器に移し替えましょう。
植物は茎や葉だけでなく、根からも酸素を吸収しています。そのため、根は全て水に漬けずに、1/3程度は空気に触れさせましょう。
芽出しニンニクも栄養価が高く簡単なのでおすすめです
水耕栽培は害虫や病気になりにくい反面、水が汚れていたり、気温によって水温が高まると、カビが発生したり、根が腐りやすくなります。
ペットボトルや小さなポットは毎日、大きな容器は2〜3日に1回水換えを行いましょう。特に、雑菌が繁殖しやすい夏〜秋にかけては、清潔な水を保つように注意してくださいね。
水耕栽培では、土から栄養分が得られないため、基本的に肥料が必須です。液体肥料を水で薄めたり、粉末肥料を水に溶かしたりして与えます。ただし吸収が良いので極薄めにあげることがポイントです。
肥料を選ぶ際は、水耕栽培用の物を使いましょう。これは、土耕栽培用の肥料には、土から得られる栄養が含まれていないためです。
なお、与えすぎは厳禁です。水耕栽培は根からの吸収効率が高いため、枯れてしまったり、根腐れしてしまったりします。また、コケが発生しやすくもなるので、肥料は適量を守って与えましょう。
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国吉さん
また結球レタスと違い、リーフレタスは開いた葉に光が当たり光合成を行うことができるため結球レタスより栄養価が高く、少しウェーブのある葉はサラダのベースとしても活躍します。