窓際や天井から観葉植物が吊るされた空間は、どことなくオシャレですね。今回は、そんなハンギングディスプレイに最適な観葉植物「リプサリス」をご紹介します。
北アメリカ南部から中南米、アフリカの森林を原産地とするリプサリスは、高温多湿の日本の夏にもよく耐え、室内であれば冬越しもできます。水やりの頻度は少なくて済み、病害虫にも強いので、日常の手入れもしやすい植物です。
ホームセンターなどでお気に入りのリプサリスを見つけて、育ててみてはいかがでしょうか?
リプサリスは、サボテン科リプサリス属の多肉植物です。北アメリカ南部から中南米や東西アフリカ、マダガスカル、スリランカなどの熱帯雨林を原産地とする植物で、樹木の幹や枝から生える着生植物から「森林サボテン」とも呼ばれます。
リプサリスの品種は60種類にものぼりますが、日本で人気の品種は、筒状の茎が奔放に伸びてボリュームのある株をなす「ケレウスクラ」(別名「青柳」)や、扁平の茎が紫外線に当たると真っ赤に色づく「ラムローサ」などです。
他にも、楕円形の茎をもつ「エリプティカ」、茎の先端付近に花が咲いた後、ピンク色の実をつける「フロストシュガー(シュガー)」、産毛に覆われた「ホリダ」など、ユニークで目を楽しませてくれる園芸改良品種が数多くあります。
生長スピードが緩やかで、開花時期の4月から6月には茎の先端にかわいらしい花をつける品種も多く、観葉植物として親しまれています。リプサリスの品種の多くが、伸びてくると下に垂れ下がる性質をもち、ハンギングプランツにも適しています。
「森林サボテン」の呼び名が示すように、リプサリスは木漏れ日のような光を好みます。直射日光を嫌い、半日陰で育てるとよいでしょう、特に真夏の直射日光は嫌います。
屋外で育てるなら直射日光が当たらない事を確認しましょう。耐陰性があるため、日の当たりにくい室内でも育ちますが、日光不足が続くと茎が徒長して葉緑素が光合成をできなくなり、体色が薄くなったりします。1週間に2回ほどは、ほどよい光が入る場所に置いて日光浴させるようにしてください。
リプサリスは、暑さに強い反面、寒さには弱いです。品種によっては5℃くらいまでは耐えられますが、だいたい10℃を下回らない環境が理想です。屋外で育てている場合は、最低気温が12℃から13℃くらになりだす頃に屋内に移動させてください。
リプサリスは多肉植物なので、ある程度の保水力があり、毎日の水やりは必要ありません。春から夏は5日から1週間ほどのサイクルでたっぷり水を与えましょう。
真夏の水やりの注意点は、夕方の涼しくなった時間帯をねらうこと。朝に水をやると、昼間、鉢の中の水分が高温になり根に負担を与え、腐るおそれがあります。
逆に、暖房で気温が上がっていない場所では、水やりは午前中に行うのが望ましいです。夕方に水を与えると、夜間に地中の水分が冷え込み、根を傷めてしまうことがあります。ただし、室内で管理する場合は、暖房の影響で比較的乾燥しやすいため、3週間から1か月に一度程度の給水を行うとよいでしょう。
また、冬はリプサリスの生育が非常に緩やかになります。この時期は株の吸水力が弱まり、根に過度な負担がかかったり根腐れの原因になったりします。室内管理での冬の水やりは、3週間から月に1回程度に留めて、葉水中心に切り替えるとよいでしょう。
リプサリスは、比較的乾燥に強いものの、土にひびが入るほど乾燥していては枯れてしまいます。また、茎がしぼんだようになったり、皺が入ったりしていたら、水切れのサインです。冬は葉水をこまめに行い、夏は水やりの頻度を上げるなどして、調節してみてください。
リプサリスは、水はけのよい土壌を好みます。基本的には、市販の多肉植物用の用土で問題なく育ちます。自作する場合は、赤玉土:鹿沼土:日向土を4:4:2で配合するとよいでしょう。株がグラグラ安定しない場合は、日向土の比率を上げると株が落ち着きます。
リプサリスは、樹木の枝や幹から生える性質をもつことから、コルクやヘゴ板などに水苔で着生させて育てることもできます。やや上級者向けになりますが、ユニークな見た目に磨きがかかる植え方です。葉挿しで増やしたリプサリスを使ってチャレンジするのもいいかもしれません。
リプサリスの肥料は、2000倍に希釈した液体肥料または緩効性化成肥料が適しています。施肥の時期と頻度は、4~5月に1回、9~10月に1回です。株の状態を見ながら、施肥の量や頻度を調節してください。
リプサリスの栽培におすすめの土と肥料
リプサリスの根が根詰まりを起こしている場合は、大きめの鉢に植え替えます。
土の表面や鉢の下から根が飛び出しているようなときは、根詰まりを起こしています。また、水やりの際、染み込みが遅い場合は根詰まりのサインです。
植え替えを行う際には、古い根を清潔なハサミで切り取って根を整理するとよいでしょう。根の整理と剪定をした結果、株をサイズダウンすることができれば、鉢の大きさは植え替え前のものと同じでも問題ありません。
植え替え後の1週間から10日ほどは水やりを控え、株が落ち着いてから水やりするようにしてください。
植え替えの適期は4~6月または9~10月。生育が緩慢になる冬場や真夏、梅雨時期に植え替えをすると、乾燥するのに時間がかかってしまい、植え替えで傷んだ根の回復がしにくくなるので、避けたほうが無難です。
リプサリスは、ほとんど剪定を必要としません。
ただし、茎が繁りすぎたり垂れ下がって邪魔になってきたりしたら、清潔なハサミで好みの長さに剪定してください。剪定した茎はとっておいて、葉挿し用に使うこともできます。
リプサリスは、葉挿しで簡単に増やすことができます。なお、厳密にいうと「茎挿し」ということになります。
まず、ハリのある健康そうな茎を選び、茎の節(茎と茎の継ぎ目)に清潔なハサミを入れて切り取ります。切り取った茎を1週間から2週間、日陰に放置していると、乾燥した切り口付近から根が出てきます。
発根までの期間は、1週間から2週間ほど。根が出てきたら、葉挿し用の茎を鉢に植えつけます。鉢に用土を入れたら、茎全体をねかせるようにして用土の表面に置き、発根している部分に土をかぶせます。発根した茎を用土に挿してしまうと根が傷つき、腐りの原因となってしまいます。
土をかぶせた後すぐに、水勢のやわらかいジョウロでたっぷりの水を与えて、葉挿し完了です。以降の育て方は、生長したリプサリスと同様です。
リプサリスは、病害虫に強い植物です。特に気をつけるべき病気はありませんが、根腐れと水切れには要注意です。水やりの後は、受け皿にたまった水を必ず捨てること、風通しのよい場所で管理し、排水性の良い用土を使用してください。
リプサリスは、他の観葉植物と比べて害虫もつきにくいです。ただし、風通しの悪い乾燥した場所では、まれにハダニやカイガラムシ、アブラムシがつくことがあります。
ハダニもカイガラムシも、乾燥したホコリっぽい場所を好みます。冬でも室温が高い屋内では増殖しやすいので、油断禁物です。リプサリスの置き場所は、風通しのよい場所を選び、こまめに葉水をしてハダニやカイガラムシの発生を防ぎましょう。春先の屋外では、アブラムシの飛来に注意が必要です。
おすすめの殺虫剤
今回は、リプサリスの育て方を紹介しました。気をつけたいポイントは、夏場の直射日光と冬場の寒さ、そして水やりの頻度(根腐れと水切れに注意)くらいです。品種によって形や花・実のつき方が異なるので、何種類かのリプサリスを飾るのも楽しそうですね。ユニークな見た目でありながら、初心者でも育てやすい観葉植物「リプサリス」を、ぜひお部屋のインテリアに取り入れてみてください。
岩瀬さん
ただし直射日光は避けましょう。日焼けを起こします。