現在、日本国内で販売されている除草剤は、環境に十分配慮しつつ、効率よく雑草を枯らしたり、新しく生えてくることを防除できるように薬品を配合しています。そのため、使用方法を守って使えば危険ではありません。
しかし、草の葉や茎についた除草剤を、子どもやペットが舐めてしまう可能性がある場合は、配慮する必要があります。
そういった場合、手作りの除草剤が注目されるようです。酢や重曹など食品として使われる材料を使ったり、熱湯を使ったりすることで、子どもやペットへの健康被害を未然に防ぐ狙いがあります。
まずは、手作り除草剤の種類からみていきましょう。
手作りの除草剤として、もっとも簡単な方法が熱湯をかける方法です。お湯を沸かして、やかんなどから直接枯らしたい雑草にかけていきます。
お湯をかけると、葉ものの野菜が茹で上がるのと同じ理屈で、葉っぱがしなしなになってしまいます。根本までしっかり染み込むようにかければ、根っこもある程度まで枯らすことができます。
酢を使って手作りの除草剤を作ることもできます。
酢の場合、酢酸の濃度が5%になるよう希釈して使います。食用の酢はそのままで酢酸濃度が5%程度なので、希釈せずに使えますが、園芸用の酢の場合は濃度が濃いので水で希釈して使いましょう。
作った除草剤は、市販のスプレーボトルに入れて使うのがおすすめです。枯らしたい雑草の葉や根本にしたたり落ちるくらいたっぷりと噴射しましょう。ただし、ツンとしたニオイがするため、近隣への配慮が必要です。
クエン酸を使った手作りの除草剤は、クエン酸濃度を5%ほどに調整して使います。酸が植物の葉緑素(クロロフィル)を退化・減少させ、光合成を阻害し、最終的に植物が枯れます。
こうした仕組みのため、クエン酸がかかったところのみに効果が出ます。こちらも酢と同じく、スプレーボトルに入れてたっぷり雑草に吹きかけるとよいでしょう。
即効性があり、早ければ1日ほどで枯れはじめますが、効果は長続きしません。そのため、雑草が気になったらこまめに使う必要があります。
また、クエン酸もニオイが強く、また酸性のため金属につくと錆びることがあります。十分注意して使いましょう。
重曹を使って手作りの除草剤を作ることもできます。重曹は、濃度が5~10%程度になるように水に溶かして使います。
重曹を使った除草剤には即効性がありません。そのため、浸透しやすいよう、雑草の葉や茎に傷をつけてから散布する必要があります。事前に雑草を大まかに刈っておくとよいでしょう。
また、重曹の希釈液をじょうろで撒くと重曹で穴が目詰まりすることがあります。
なお、重曹の主成分は炭酸ナトリウムで、これには殺菌効果があります。灰色かび病など植物の「カビ」や、うどんこ病などへの対策にも効果が期待できますが、この場合500倍程度まで希釈する必要があります。
塩を水に溶かして撒くことで、雑草を枯らすことができます。実は、酢やクエン酸、重曹を使うよりも高い効果を得ることができます。
しかし、塩が混ざった土壌は他の植物まで育たなくなってしまいます。また、住宅の基礎部分や水道管などの配管まで影響が及ぶ可能性もあります。「塩害」という言葉もあるほどで、雨で塩分が流れていってしまうと、他の家に被害が出ることも考えられます。
そのため、特に住宅の庭に塩を使うのはおすすめできません。
手作りで除草剤を作るメリットは、基本的に、人やペットに無害なことです。何が入っているかが作りながらわかるので、不安を抱くことも少なくなります。
また、酢やクエン酸、重曹などはあまり高いものではなく、コストを抑えられます。これらの原料は、他の用途ですでに家にあることも多いので、使いたいときに手軽に作れることもメリットです。
グリホサート系など市販の除草剤に比べると、効果が限定されます。特に、ドクダミやスギナなどの地下茎で繁殖する強力な雑草の駆除は基本的にできません。
そのため、雑草の種類によっては、手間をかけて手作り除草剤を撒いたけどほとんど効果が得られなかった…ということもあります。
また、手作り除草剤は基本的に今ある植物を枯らすことが目的なので、顆粒タイプの「土壌処理剤」のような、新しく生えてくる雑草を抑制する効果は得られません。
最近は、子どもやペットがいても使える除草剤がほしいという声に応えて、各メーカーから食用可能な成分のみでできた除草剤などが販売されています。
こうした除草剤には、お酢をメインの成分とした除草剤や、食品にも含まれるペラルゴン酸という直鎖飽和脂肪酸を主成分にしたものなどがあります。これらは、手作りの除草剤に比べると、効果が安定していて扱いやすいでしょう。
自身で除草剤を手作りするのも1つの方法ですが、市販のものでも、自分で薄める手間なくそのまま散布できるお酢が主成分になっている除草剤もあります。使用量などによって、使い分けるのもおすすめですね
塩は植物にとってとても被害があります。一度撒いてしまうと半永久的に植物を植えることができなくなる“塩害”になってしまうので、塩を使用するのは避けた方がいいでしょう