春の訪れとともに咲くウメ。もともとは中国が原産で薬用として渡来し、日本最古の和歌集である万葉集にはウメの句が180も登場するなど、古くから日本人に愛されてきた花です。白、ピンク、赤などの可愛らしい花を咲かせるウメは、庭先ではもちろん盆栽用として育てることができます。
ウメは日当たりが良い場所を好みます。水はけの良い土、緩効性肥料、梅の苗もしくは種を用意します。花柄の摘み取りや枝の切り戻しなど、定期的に管理をすると成長が良くなります。
ウメの花が咲くのは2月から3月にかけてで、種から育てる場合は11月以降に種まきをします。庭植えの場合、肥料は冬の寒い時期に有機質肥料を株元に、鉢植えの場合は花が開花した後に化成肥料を追肥として与えます。
土は水はけが良く、有機質の多い土が適しています。中玉の赤玉土に腐葉土を混ぜた土がおすすめです。鉢植えの場合は素焼きなどの通気性の良い素材を選ぶといいでしょう。また、日当たりと風通しの良い場所で育てると良く成長します。
植え付けてまだ2年未満の株は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。2年以上経っているものは特に水やりの必要はありませんが、庭植えで夏の雨の少ない時期は、土の表面が乾いたら水を与えるようにし、乾燥に気をつけましょう。
ウメを育てる上で注意したいのが、病気です。葉が茂りすぎて風通しが悪くなると、うどんこ病にかかりやすくなります。うどんこ病とは、その名の通りまるでうどん粉をまぶしたように葉が白くなる病気です。春や秋などの涼しい時期に発生しやすく、剪定をせずに風通しが悪くなることが発生要因といわれています。
新しい枝に葉っぱが10枚ほど出てきたら、その先を切って成長を止めるなど、うどんこ病にかからないように対策をするようにしましょう。ウメは成長が早いので、切りすぎてしまってもあまり気にする必要はありません。6月に1回、冬季に1回など、少なくても年に2回ほど思い切った剪定をするようにしましょう。
Q.ウメの苗木を選ぶときのポイントは?
A.幹が比較的太めで、根は太根なものを選ぶようにしましょう。また、側根の多い根張りのいいものを選ぶと土に根付きやすくなるでしょう。
Qウメを育てる際に気を付けるべき害虫はいますか?
A.うどんこ病以外にも、ウメは害虫の被害に遭いやすいといわれています。特にアブラムシ、オビカレハの幼虫、コスカシバに注意しましょう。アブラムシは芽吹きの時期に多く発生するほか、オビカレハの幼虫は「ウメケムシ」と呼ばれるほどよく発生します。そのまま放置してしまうとウメの実も食べられてしまうため、幼虫のうちに取り除くようにしましょう。また、コスカシバは幼虫がふ化して幹や樹皮の下などに侵入するため、虫のふんやヤニを見つけた場合はすぐに対処する必要があります。
Q.病気や害虫の対処法について教えてください
A.うどんこ病は放置するとすぐに伝染するため、早めに対処する必要があります。あらかじめ薬剤をまいておいたり、日当たりや風通しの良い場所で管理するなど、発生しない環境作りを心掛けましょう。また、害虫を発生させないためには、あらかじめ薬剤を散布し、予防するのが一番です。もし虫がついた場合はテープなどを使ってすぐにとるようにしましょう。
学問の神様が愛したことでも知られるウメ。2月頃に丸みを帯びた可愛らしい花を咲かせ、春を感じさせてくれます。庭植え、もしくは鉢植えともに、風通しの良い日が当たる場所で育てるようにしましょう。ウメは病気や害虫が発生しやすいので、あらかじめ薬剤を用意し、予防することが大切です。