料理をするときに出る水蒸気や匂いを吸い取ってくれるレンジフード(換気扇)。キッチンに設置されているものだから、いつも清潔に保ちたいのに気づいたら汚れているときもありますよね。
レンジフードの多くがガスコンロやIHクッキングヒーターの上に設置されています。高い位置に設置されているので手を伸ばすだけでは届かず、椅子の上に乗ってファンを取り外したり、フード部分を拭いたり……。掃除が大変だと思っている人も少なくないでしょう。
そこで今回は、「おそうじ本舗」の尾崎真さんにレンジフードの掃除方法と、汚れをこびりつかせないポイントを教えていただきました。
ちなみに、レンジフードと換気扇は形こそ違えど、掃除方法は基本的に同じです。換気扇のプロペラファンはレンジフードのシロッコファン(レンジフード内に取り付けられている筒状のファン)と捉えて、掃除をしてください。
調理の場にあるレンジフードだから常に清潔にしたい!
レンジフードはどうして汚れるのか。原因として思い浮かぶのは油でしょう。レンジフードはガスコンロやキッチンヒーターの上にあるので、炒め物や揚げ物など調理をしているときに油が出ます。その油が付着しているのではと思っていましたが、尾崎さんによると、油が直接レンジフードに付着するのではないとのこと。
水蒸気と混じってレンジフードに付着した油はサラサラしています。しかし、酸化するとだんだん固くなって接着剤のようになり、室内に漂うほこりを吸着してしまいます。
また、喫煙者がいる場合は、タバコの煙に含まれるヤニがレンジフードに付着する可能性があります。ただし、ヤニ汚れは水性のため専用の洗剤は必要がなく、油汚れを落とす掃除を行えば一緒に落とすことができます。
自宅で掃除できるのは、フィルター、シロッコファン、カバー部分です。手荒れを防ぐために、ビニール手袋をして掃除を始めましょう。
フィルターは取っ手を引っ張ると、簡単に外れます。
シンクを傷つけるのを防ぐためにタオルを敷きます。スプレーボトル入りの重曹水をまんべんなく吹きかけます。
重曹水は水100mlに対して重曹小さじ1(5g)をスプレーボトルなどに入れて混ぜ合わせて作りましょう。重曹水として市販もされています。
ブラシでこすると、きれいに汚れが落ちていきます。全体を水で洗い流してから乾かします。
シロッコファンを止めているねじは時計回りでゆるむようになっています。ねじを取り、シロッコファンを取り外します。うまく取り外せないときは、危険なので取り外すのを止めましょう。
シンクを傷つけるのを防ぐためにタオルを敷き、その上に二重にしたビニール袋を広げ、シロッコファンとその他の部品を入れます。
ネジなど小さな部品は、排水溝用のネットなどに入れておくと紛失することがありません。
三角コーナー用のネットなどでも対応できる。ネットの口を縛ることもお忘れなく
重曹を大さじ3杯(10~15グラム)程度入れ、45~50°のお湯をシロッコファンが浸かるまで入れます。
ビニール袋の空気を抜いてから、ビニール袋の口をしばります。この状態で15~20分程度つけ置きします。付着した油が分解されて浮いてきます。
ビニール袋から取り出したシロッコファンに残った汚れを、ブラシで取り除いていきます。市販されているシロッコファン用のブラシ、もしくは使い古した歯ブラシを利用します。
汚れが取れたら、水でしっかりと洗い流してから乾燥させ、元に戻します。
シロッコファンが入っているカバー部分は、奥までは手が届かず掃除しにくいので、手が届く範囲を、重曹水をつけたスポンジでこすります。
タオルは一度水でぬらしてから固く絞ります。アルカリ電解水を吹きかけたタオルで全体を拭きます。アルカリ電解水は油汚れを効果的に落とせるほか、水でできているため二度拭きの必要もありません(重曹水でも対応可能)。
レンジフードは喚起をするためのものなので、換気効率をさまたげないようにすることが重要です。そのためには「フィルターの掃除をこまめにすること」だと尾崎さん。
尾崎さん
週1回は重曹やアルカリ電解水を含ませた掃除シートで拭いておけば、レンジフードの中に汚れがたまることを防ぐことができます。週1回の掃除が難しい方は、半年に1回程度しっかりと掃除してください。
シロッコファンの裏側に十字の溝が見える
自宅でも掃除できる方法を紹介しましたが、掃除をする際に、シロッコファンを取りはずすのが難しい場合は、無理矢理はずそうとしないようにしましょう。
シロッコファンの裏側を見ると、十字の溝があるのが分かります。これはシロッコファンが簡単にはずれないように、決まった角度で本体に差し込まなければ、取り付けられないような仕組みになっているからです。扇風機などプロペラがついた家電は、安全に配慮してこのような仕組みになっているものが大半です。
尾崎さん
無理矢理差し込もうとすると故障の原因にもなります。はずしたシロッコファンをご自身で元に戻す自信がなければ、フィルターの掃除だけにしてシロッコファンの掃除はプロに任せてください。
またレンジフードは高い位置に設置されているので、掃除をする際には椅子の上に立ったりして取り外しをすることが多いでしょう。十分に注意して掃除をしてください。
定期的な掃除は自分たちでもできるレンジフード。しかし、掃除をしていても、完全に油汚れを防げるわけではありません。こまめに掃除をしていても、シロッコファンが入っている複雑な形をしたカバーの中や溝などに、油汚れがたまっていきます。
茶色くなった油がポタポタと上から落ちてくるようなことがあったら、カバーの中に油がたまっている証拠です。
尾崎さん
換気効率が少しでも落ちると、油を含んだ水蒸気が全部エアコンに引っ張られてしまってエアコンの故障につながることがあります。年に1回程度はプロに任せて、徹底的に掃除をしてもらうことをおすすめします。
尾崎さん
油は料理をしている時に発生する水蒸気と一緒にレンジフードに吸い込まれます。私たちは油煙(ゆえん)と呼んでいますが、この油煙が付着して徐々に固まっていくと接着剤のようになってほこりを吸着します。