セスキ(セスキ炭酸ソーダ)は、洗浄力の高さと水への溶けやすさで注目されるエコ洗剤のひとつです。幅広い場所に使えるため、重曹やクエン酸と並ぶ万能洗剤として多くの人々に愛用されています。
ここでは、そんなセスキを使った掃除方法について紹介します。場所ごとに適した掃除方法や、掃除以外の使い方も解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
今回はそんなセスキについて、お掃除のプロである錫村聡さんに解説してもらいます!
錫村聡
YouTube【お掃除の錫村商店】チャンネルにて、誰でも真似できるお掃除の方法やオススメの掃除グッズを紹介している。お風呂掃除動画は1000万回再生を突破。
セスキとは、「セスキ炭酸ソーダ」もしくは「セスキ炭酸ナトリウム」と呼ばれる化合物です。さらさらとした白色の結晶で、ほとんど臭いはありません。変質しにくいため、常温で長期保存もできます。水に溶けやすく、溶かすと弱アルカリ性の洗剤として機能します。
セスキはさまざまな汚れを落とす万能洗剤です。自然由来の成分でできているため、人にも環境にも優しいのが魅力。価格も手ごろで、ホームセンターやドラッグストアなどで手に入りますよ。
セスキは基本的に、水に溶かしてセスキ水として使います。スプレー容器などに入れておくと、使いやすくて便利ですよ。セスキ水を作るために必要なものと手順は以下の通りです。
必要なもの
作り方
セスキ水は保存がきかないため、使い切れる量を作りましょう。
手順
頑固な汚れがある場合は、セスキ水の濃度を濃くすると洗浄効果が上がりますよ。またスプレー後、長めに放置しておくのも効果的です。
手順
つけ置き洗いは頑固な油汚れにも効果的です。また、ステンレスのカトラリーなども、セスキでつけ置きすると輝きが復活しますよ。
手順
蒸発したセスキ水が汚れに浸透し、こびりついた汚れも簡単に落とせます。
手順
冷蔵庫を清潔に保つためにも、およそ3カ月に1回の頻度で掃除するのがおすすめです。
手順
タバコのヤニ汚れなど、なかなか汚れがある場合は、セスキ水の濃度を上げて試してみてください。
手順
他にも、エアコンのリモコンやテレビのリモコン、ゲームのコントローラーなどの掃除もできますよ。落ちない汚れがある場合は、キッチンペーパーをセスキ水で湿らせて汚れをパックすると落ちやすくなります。
手順
窓掃除は外側からはじめるのがおすすめです。外側から掃除すると内側の汚れが見えやすくなり、効率よく掃除できますよ。さらに晴れの日は太陽光が反射して汚れが見えづらいため、窓掃除はなるべく曇りの日に行いましょう。
手順
アルカリ性のセスキは酸性の汚れに強く、お風呂の湯アカ汚れやトイレの皮脂汚れなどをきれいに落とします。黒カビや赤カビの予防もできるため、こまめにスプレーするとよいでしょう。
ただし、トイレ・バスルームに多い水アカや尿石などの汚れは、セスキでは落とせません。こうした汚れには酸性のクエン酸が効果的ですので、汚れに合わせて使い分けるのをおすすめします。
セスキは幅広い場所で使える洗剤ですが、すべての素材に適しているわけではありません。素材によっては変色するおそれがあるため注意しましょう。とくに天然素材には使わないようにします。
セスキが使えない素材・場所
セスキには消臭作用もあり、住まいの嫌な臭いを和らげてくれます。なかなか洗えないソファやカーペット、クッションなどに効果的です。生ゴミの臭いやゴミ箱の臭いも消臭できますよ。
セスキは洗濯にも使えます。とくに、こびりついた皮脂汚れや時間のたった血液汚れなど、厄介な汚れにも効果的ですよ。洗濯の仕方は以下の通りです。
手順
それでも落ちない汚れがあるときは、大きめの容器にセスキ水を作って1時間ほどつけ置きしてみてください。
自然由来の成分からできたナチュラル洗剤は、セスキを含めて4種類あります。セスキ、重曹、過炭酸ナトリウム、クエン酸です。それぞれの特徴と得意な汚れをまとめましたので、上手に使い分けましょう。
得意な汚れ:油汚れ、皮脂汚れ、手アカ、血液など
得意な汚れ:軽い油汚れ、皮脂汚れ、コゲなど
得意な汚れ:黒カビ、排水口のぬめり、洗濯槽の汚れなど
得意な汚れ:シンクやお風呂の水アカ、トイレの尿石汚れなど
──“ナチュラルクリーニング”とはなんでしょうか?
錫村さん
自然由来のものから作られた、肌に優しい掃除方法のことです。手肌への影響があまりないものですね。ポピュラーなものだと、重曹やクエン酸もナチュラルクリーニングになります
錫村さん
セスキは水に溶けやすく、スプレーにして使うのがおすすめです。水溶液は弱アルカリ性ではありますが、結構アルカリ度は高く、汚れ落ちもまあまあいいんですよ
──とくにどんな汚れを落とすときに、使用した方がいいでしょうか?
錫村さん
セスキの水溶液は弱アルカリ性なので、油汚れに強いです。ほかにも、手垢や皮脂汚れ、生ごみの臭いなど、日常的な汚れに対応できます
──重曹も弱アルカリ性ですよね。違いはどこにあるのでしょうか?
錫村さん
セスキの方が、重曹に比べて水に溶けやすいです。重曹は溶けにくいため研磨の力があります。汚れを削って落とすという特徴があるので、蛇口や水垢、シャワーヘッドの掃除に適しています。セスキは溶けてしまうので、重曹のように研磨の力は持っていません
錫村さん
セスキはメーカーによって違いはそこまでありませんので、家庭に合わせたものを選んでいただければ大丈夫だと思います。スプレータイプなども販売していますが、コスパ重視なら粉剤のタイプもおすすめです
錫村さん
重曹はセスキと同じ弱アルカリ性なのですが、アルカリ度数が違います。重曹のアルカリ度数はおおよそ8.2〜8.4くらいです。一方セスキは9.8くらいのアルカリ度数になります。度数は1違うだけでも、汚れを落とす力はかなり変わってきますね
錫村さん
プロのハウスクリーニングの現場でも、セスキで落とせる汚れは結構ありますよ
──クエン酸はセスキに比べて、どうなのでしょうか?
錫村さん
クエン酸は水溶液が酸性なので、アルカリ性のセスキとはまた別物になります。クエン酸は、水垢などの掃除に適したものになりますね。逆にアルカリ性のものは油汚れの掃除に適しています
錫村さん
1番オーソドックスな使い方は、水に溶かしスプレーにして使用する方法です。水500mlに対して、5ccのセスキを入れて溶かしてください
錫村さん
壁紙、照明のスイッチまわり、レンジフードなどはセスキのスプレーを使用するのがおすすめです。少し汚れてきたな、と感じる程度でしたら、スプレーをふきかけて拭き上げると汚れが落ちます
──セスキ水のスプレーはいつまで使えますか?
錫村さん
洗浄能力が維持できるのは1か月程度と言われていますが、個人的には3日〜1週間で破棄するべきかと思います
錫村さん
セスキは洗剤の代わりに使うこともできます。30リットルの水に対して、大さじ2のセスキを入れて洗濯をすることも可能です
錫村さん
セスキとはまた別なのですが、似たような性質で過炭酸ソーダというものがあります。オキシクリーンなんかがそうですね。オキシクリーンは染み抜きをしたいときに適しています。セスキより過炭酸ソーダの方が、若干落ちるかなという印象です
錫村さん
セスキは洗濯だけではなく、部分的な衣類の汚れにも使用することができます。たとえば、ワイシャツの襟元の黄ばみにですね。1リットルのぬるま湯に対して、大さじ1のセスキを入れて漬けます。30分〜1時間ほど置いて、すすいでください
錫村さん
あとは、キッチンの“ごとく”も、つけ置きをするのがおすすめです。40度〜50度くらいのお湯1リットルに対して、大さじ1〜2のセスキを入れます。1時間置いて、それでもまた落ちないようでしたらスチールたわしでこすりましょう
錫村さん
魚焼きグリルなんかも、同様の方法で掃除するのがおすすめです
錫村さん
これはセスキに限った話ではないのですが、温度が高い方が汚れが落ちます。ですので、水よりもぬるま湯、ぬるま湯よりも40度くらいのお湯、さらに60度くらいのお湯の方が、汚れが落ちるんです
錫村さん
換気扇フィルターなんかもそうですね。40度〜50度のお湯に大さじ1〜2のセスキを入れて、10分置きます。そしてブラシでこすってあげると、汚れが落ちますよ
──セスキを溶かすときは、温度を高めに設定するのがポイントですね。
錫村さん
給湯器の温度設定を1番高い温度に設定して、セスキを溶かして掃除をするのがおすすめです。ただ、やけどなどには十分気をつけてください
錫村さん
油汚れに関しては温度が高い方がいいのですが、壁掃除やゴミ箱など、臭いに関する掃除のときは温度は関係ないので、そのときは水に溶かして使用してください
錫村さん
排水溝やゴミ箱などに3プッシュほどかけて拭き上げると、消臭もできます。また、消臭関連でとくにおすすめの箇所は壁ですね
錫村さん
目立つ汚れがないのに、なぜか臭う場合はだいたい壁を掃除すると臭いが解消されることが多いです。とくにトイレの壁ですね。尿が飛び散ったりしたときに染み付いて、悪臭の原因になってしまっていることがあります
錫村さん
油汚れや日常の汚れに使用できるのですが、レザー、シルク、畳への使用はあまりおすすめしません。あとはソファなどですね。染み込んでしまう素材のものは、セスキを使用すると黄ばみの原因になる可能性があるので、キッチン周りやゴミ箱、排水溝、壁などに使用してください
セスキは、その高い洗浄力と幅広い使い道から、家中の掃除に使える万能洗剤です。セスキを正しく使うことで、効率よく掃除を進められますよ。使うときは、安全のために手袋の着用を忘れずに。家事の頼もしい味方・セスキをぜひ活用してみてくださいね。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※効果は使用環境や使用状況により異なります。
錫村さん
まずセスキは洗剤というよりかは、ナチュラルクリーニングの粉剤という認識をしています。洗剤は、界面活性剤が含まれているものという認識ですね