木材を主に扱った木工DIYは作る楽しさがあり、家具などの完成品として残る、とても魅力的な趣味の1つです。そんな木工DIYですが、工具を揃えることでできる作業も増えるのでなるべくはいろんな電動工具を揃えたいところ。ですが、一気にすべてを揃えることは難しいですよね。
この記事では、私が木工職人として働き、DIYを趣味とする立場から、電動工具を揃える際のオススメの優先順位をお伝えします。
最初に揃えるべき電動工具はドリルドライバーもしくはインパクトドライバーです。これらはネジを締めたり穴を開けたりする電動工具です。なぜドリルドライバーとインパクトドライバーを最初に揃えるべきかというと、他の電動工具に比べて手作業では大変な作業だからです。
2つ目以降に紹介する電動工具は手加工でも頑張ればできることはありますが、ネジを締めたり穴を開けたりする作業は手作業だとすごく大変です。細くて短いネジならなんとかドライバーで締めることができるかもしれませんが、コーススレッドのような木材用のしっかりしたネジは手の力だけでは限界があります。
DIYの最後には組み立てを行います。他の工程はホームセンターでやってもらったり省略することも可能ですが、組み立ては必ずやる作業です。したがって、組み立て時にネジを締める工具として、最初にドリルドライバーやインパクトドライバーを揃えておくと便利です。
ドリルドライバーとインパクトドライバーはどちらもネジを締めたり穴を開けるたりすることができるので、ほぼ同じ作業内容を行うことができます。この2種類の何が違うのかというと、大きく違うのは「打撃機能があるかないか」です。
打撃機能とはネジを締めるときにガッガッガッとネジを強く締め込んでくれる機能のことで、この打撃機能の効果で太いネジでも力強く締めることができます。反対にドリルドライバーには打撃性能がありません.。強く締めることは苦手ですが打撃機能がないため、細かい力加減がしやすく精密な作業に向いています。つまり、大型の家具を作るような方はインパクトドライバーが向いているし、合板や薄い板など木箱を作るような方にはドリルドライバーを選ぶといいでしょう。
打撃機能以外にも違いがあるので、詳しくは過去に書いた下記の記事を参考にしてください。
ドリルドライバー、インパクトドライバーは最初に揃えるべき電動工具であり、たくさんの商品が販売されています。
数千円で購入できる安価なドリルドライバーやインパクトドライバーが木工DIYに適しているかどうかは、扱う木材の種類によって答えは変わります。
ツーバイ(2×4)材や角材のような厚みのある木材を扱う場合、長いネジで固定をするので、十分なパワーがないとネジを締めることができず、安価なものでは力不足で使えません。
しかし、合板や4mm程度のベニヤ板を固定するなど、薄い木材や桐材のような柔らかい材種の木材であればそれほどパワーがなくてもネジを締めることができるので、安価でパワーのないものでも使用できます。
このように、自分がどのようなものを作るのかで判断することが重要です。
電動サンダーは木材を研磨するための電動工具です。「木材は研磨をした方がいいの?」と思う方もいると思いますが、木材を使用するDIYでは、木材の研磨は必須と言えます。なぜなら、ホームセンターなどで売っている木材は表面に細かい傷や凹み、汚れなどが付着しているからです。木材を研磨することで表面が綺麗になるし、滑らかな触り心地になるので必ず研磨をするようにしましょう。
また、表面が汚れていると塗装の仕上がりにムラが出る原因になるので、塗装をする場合も事前に研磨を行いましょう。
研磨は電動サンダーを使わずにサンドペーパーをホルダーなどに挟んで自力で行うこともできます。ただし、自力で研磨をするより電動サンダーを使った方が、作業スピードが上がり全体的に均一な仕上がりを得ることができます。
つまり、スピード面でも仕上がり面でも電動サンダーを使った方がいいということです。また、研磨を自力でやると木材を擦る作業が大変なので、特に電動サンダーの利用をオススメします。
電動サンダーの価格は商品によって異なりますが、最初は安価なものから入るのがいいでしょう。高価な電動サンダーほどパワーや振動、回転数の調整やダストパックの付属などが充実しています。しかし、安価であっても電動サンダーなのには違いありません。自力より安価な電動サンダーを使った方が何倍も便利になります。つまり、高価なものをわざわざ購入せず安価なものでもDIYでなら十分事足ります。
電動サンダーは他の電動工具ほど高価ではないため、1万円前後で高性能な電動サンダーを購入することができます。
過去に、電動サンダーとサンドペーパーの選び方に関してまとめた記事を書いているのでよろしければ参考にしてください。
3つ目に揃えるべき電動工具は、ジグソーや丸ノコなどの木材を切断する電動工具です。3つ目にということで、揃える順番としては少し後です。なぜなら、木材を切るのは電動工具がなくてもホームセンターでやってくれるからです。また、木材の切断は寸法を揃えたりまっすぐ切らなければ組み立て時に隙間ができたりしてしまいます。このことから、DIYに慣れるまでは自分で切るよりホームセンターでカットしてもらうのがいいでしょう。
ホームセンターにお願いすれば低価格で精度よくカットしてくれるのでとても便利です。
ただし、カットしてくれるのはその場で購入した木材に限るので、購入時に事前にどの長さでカットするのかを設計してからお願いしましょう。
切断作業は刃物が高速で回転することで木材を切断するので、他の作業に比べて危険を伴います。だからこそある程度DIYに慣れてから導入することをオススメします。また、最初は安全面から手作業で使えるノコギリを使用するのがいいでしょう。
ジグソーと丸ノコ、どちらも木材を切断する電動工具ですが、それぞれ特徴があります。簡単に説明すると、ジグソーは円形にカットしたり曲線など多用途に使用することができます。
丸ノコは曲線などのカットはできませんが、直線に切る精度があり、ジグソーに比べて綺麗に切ることができます。これにはジグソーは上下運動、丸ノコは回転運動と木材を切断する構造の違いが大きく異なるからです。
比較的安全性が高いのはジグソーなので、DIY初心者はジグソーを選択するのがいいでしょう。
トリマーは本体と先端に取り付けるビットを組み合わせることでいろんな作業をすることができるようになります。たとえば、木材の角を面取りしたり、溝を掘ったり、くり抜いたりするなど様々な作業が可能になります。これまで紹介した3種類の電動工具に比べたら、トリマーは必須とは言い切れませんが、非常に便利なツールの1つなので、ぜひ取り入れてほしいと思っています。
トリマーに関する具体的な加工方法は、過去の記事でまとめていますので、参考にしてください。
トリマーにはいろんなビットがあります。最初は、比較的簡単に使える面取りビットを取り入れてみましょう。面取りビットはガイドとなるベアリングと面取りに合わせた刃がセットになっているビットです。ガイドベアリングが木材に沿って動いてくれるので、初めてトリマーを扱う方でも問題なく扱うことができます。
トリマーはほとんどの方が未経験で、実際に使用している光景を見たことがないでしょう。そのため、使うまでの準備や実際の使い方がイメージしにくく、最初の導入時に他の工具に比べて少し苦労するかもしれません。
たとえば、それぞれ形の違うビットで何ができるのか、ビットの取り付け、ストレートガイドなどの装着、ビットの深さを合わせる、加工する進行方向を守ったりなど、最初は何が何だかわからないと思います。トリマーは非常に便利なツールですが、最初の導入時はわからないことだらけだと思うので、よく使い方を学んでからご使用ください。
ここまで、最初に電動工具を揃える順番を4種類からお伝えしました。再度お伝えすると、
この順番でした。
この順番は、作業に置き換えるとこのようになります。
つまり、この順番はDIYで頻繁に行う作業順に基づいており、手作業では替えが効かない、もしくは大変というポイントを総合的に考慮して決めています。
何本も太いネジをドライバーで締めるのはほぼ無理ですし、手作業での研磨はできるかもしれませんが非常に手間がかかります。また、切断作業はホームセンターでやってくれるし、ノコギリでも切ることはできます。トリマーは前述の3種類を揃えたあと、あれば便利という程度のものです。
もしDIYを始めたばかりで、どの電動工具から揃えたらいいのか悩んでいる場合は、この記事を参考に選んでいただければ幸いです。
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。