エキゾチックな雰囲気の葉やユニークな株姿が魅力の観葉植物です。丈夫で育てやすいのも魅力的です。近年は徐入手できる品種も徐々に増え、スタイリッシュで格好良い植物として人気が高まっています。
この記事では、ビルベルギアの特徴と性質、主な仲間と品種、多く花を咲かせるための育て方などを詳しく解説します。
ビルベルギア属の仲間は、約60種が知られています。メキシコからブラジル、アルゼンチン北部までの熱帯アメリカが原産で、主に木の上などに着生します。開花期には苞が赤やピンク、青色など美しくカラフルに色づきます。開花期間が短いものが多いですが、比較的長く観賞できる種類もあります。開花した株は枯れてしまいますが、株元にできる子株を分けて育てます。
硬質の葉は放射状につき、葉の基部は重なりあって株の中央部は筒状になります。筒状の部分には水がたまり、このような形態のパイナップル科の着生植物はタンクブロメリアと呼ばれます。タンクブロメリアはたまった水や溶け込んだ栄養分を吸収して利用することができます。近年ビルベルギアなどのタンクブロメリアは、個性的な株姿や美しい葉などから人気が上昇しています。
成長期は筒の部分に水をためるようにしますが、乾燥に強く少々水やりを忘れても問題ありません。冬は室内に置けば、ほとんど失敗なく越冬します。日当たりのよい環境が適しますが、環境適応性が高く栽培は容易です。
アメリカの育種家ドン・ビードル氏により魅力的なビルベルギアの交配種が多数作られました。以来、愛好家が増えて育種が盛んになり、さらに人気が高まっています。
ドン・ビードル氏により作られた、やや紫がかった赤い葉が美しい人気の品種です。葉にスポットが多数入ってアクセントになり、引き締まった株姿です。性質も丈夫で育てやすいです。
様々な色の発色が入った美しい葉が魅力の品種です。
黒紫色の細長い葉に、横縞が多く入ります。日光によく当てると黒さが増します。ラノーチェ×ドミンゴマルチンス( Bill. 'La Noche' × Bill. 'Domingos Martins')の交配種です。逆交配した類似品種に‘オビ・ワン’(Bill. 'Obi Wan')があります。
ブラジル原産の小型種で、葉先がカールします。葉は緑色で長さ20㎝~30㎝になり、白いスポットが入ります。
ブラジル、アルゼンチンが原産で、寒さに強く丈夫です。霜が降りにくい関東南部などでは、水はけのよい砂地の土壌などで地植えでも育ちます。垂れ下がって咲く花は、冬から春に開花します。超小型の選抜種(Bill. nutans 'Mini')などもあります。
ブラジル原産の花の美しい種類で、鉢花として楽しむことができます。ピラミッドのような形の赤い花序は1か月ほど観賞でき、ベニフデツツアナナス(紅筆筒アナナス)の和名があります。寒さに強く、丈夫で育てやすいです。
日なたから明るい日陰で育てることができます。ただし葉焼けしない範囲で直射日光によく当てるようにすると株が間延びせず、葉色がよく発色して観賞価値の高い株に育ちます。
5月から10月は、風通しのよい戸外の日なたで育てると理想的です。ただし真夏の猛暑で葉焼けすることがあるので、暑さが厳しい場合は30~50%の遮光下や朝だけ日光が当たる場所に移動するとよいでしょう。
引き締まった株に育てるには、風通しのよい場所に置くことも大切です。コンクリートの上などに直接鉢を置くのは避け、台の上など高い位置に鉢を置くとよいでしょう。吊り鉢にして育てるのもお勧めです。
霜が降りる前に室内に移動するようにしてください。種類や品種によってはー5℃近くの低温に耐えますが、屋外では寒さで傷むこともあります。室内で5℃以上保てる場所に置けば失敗がなく、美しさを保てます。
関東南部などの霜の降りにくい地域などで屋外で越冬させたい場合は、冷たい北風や雨の当たる場所は避けたほうがよいです。建物の南側近くの軒下のような場所に置くとよいでしょう。
乾燥に強く、2週間くらい水やりしなくても枯れることは少ないです。一方春から秋の生長している時は、毎日のように水やりしてもよいくらい水分を好みます。水はけのよい用土を使い、やや多めに水やりする管理がお勧めです。
5月から10月は、1週間に2回の頻度で水やりします。雨が多い時などは週に1回でよいでしょう。また筒の中に水をためるようにしてください。ただし水が腐ったりして悪臭の原因にもなることがあります。たまった水が新しい水に入れ替わるくらい、株の上から筒の部分にたっぷり与えるとよいでしょう。
冬は1週間に1回水を与えますが、筒の中に水をためないようにしてください。低温時に筒の中に水をためると株が腐りやすく、耐寒力も低くなります。
肥料は控え気味に与えてください。肥料が多いと葉色が悪くなったり、株姿も間延びします。肥料を全く与えなくても問題なく、引き締まった株に育ちます。
小さな株を早く大きくしたい場合などは肥料を与えます。5月から10月に3要素が等量の緩効性化成肥料を規定量の半分程度与えてください。または液体肥料を規定の半分の倍率で1か月に2~3回与えるとよいでしょう。大きく育ってきたら肥料を与えないようにすれば、株が間延びすることもないでしょう。
病害虫の発生は少ないです。室内などの風通しの悪い場所や日照不足になると、カイガラムシが発生することがあります。薬剤が効きにくいので、ブラシなどでこすり落としてください。その後にオルトラン粒剤を少量鉢土にまけば、発生を防げます。
鉢が小さくなったら、一回り大きな鉢に植え替えます。植え替えは4月から9月の長期間行うことができます。過湿を嫌うので、鉢はやや小さめのサイズがよいでしょう。ただし安定が悪く倒れやすいので注意してください。
水はけがよければ、特に用土を選ばず育ちます。市販の多肉植物用や洋ラン用の培養土、ミズゴケなどが使えます。自分で配合する場合は、赤玉土6、鹿沼土2、軽石2を混ぜた用土があります。小株は、ミズゴケで植えると早く育ちます。
水はけのよい用土を使った場合、水やりを忘れると乾燥が厳しすぎることがあるので注意してください。
株元にできる子株を株分けしてふやします。親株の3分の2くらいの高さに育ったら、株分けすることができます。
株分けする際は、株の付け根の硬い部分を切るようにしてください。筒の根元付近がしっかりついてないと枯れてしまったり、発根が遅くなります。作業は4月から9月に行うことができます。
多くのビルベルギアは寒さに強く、乾燥にも耐えます。春から秋に雨が当たる屋外に置けば、ほぼ放置状態で育つことも珍しくありません。耐陰性もあるので、室内でもよく育ちます。観賞価値の高い株に育てるにはコツがありますが、育てること自体は簡単です。スタイリッシュで魅力的なビルベルギアは、初心者にもお勧めの観葉植物です。