手触りのある旅をしたい

よく、旅に出かけている。移動するのが無性に好きなのだ。国内・国外を問わず、月に一度は色んな場所へと積極的に足を延ばしている。

そんな日々の中でつくづく思う。最近の旅の味わいって、なんだか「ツルッ」としてはいないか、と。

知らない土地で道に迷ったり、タクシーの値段交渉にぐったりしたり、宿が見つからず途方に暮れたり。そのような「どうにも上手くいかない」という手触りこそが旅のひとつの醍醐味である。しかし、テクノロジーやネットワークの発達によってそれはいまや味わうことが難しくなってしまった。

エジプトのピラミッド

たとえば一年ほど前にエジプトを旅した時。

カイロ空港に着いたら、SIMを入れ替え、アプリですぐに配車完了。乗車中にGPSで現在位置をチェックしながら、ついでに本日の宿も予約。そしたらもう目の前にはピラミッド。

スムーズだ、あまりにもスムーズすぎる。いや、道中の苦労がなくなったことはとてもよいことなんだけど、でもなんだか予定調和すぎて味気なさを感じてしまうのも事実。昔のような、「どうにも上手くいかない」旅の手触りを得ることって、もうできないんだろうか。