美しい髪を保つために欠かせないヘアオイル。服につくと落ちにくく、シミ抜きも難しい厄介な汚れに変化します。クリーニングに出すしかないと諦めてしまう人も多いですが、適切な方法で洗えば自宅でもきれいに落とせますよ。
この記事では、ヘアオイルが服についたときの対処法を紹介します。黄ばみになった場合の対処法や出先で服についたときの応急処置、そもそも服につかない方法にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
今回は、洗濯ハカセの神崎健輔さん監修のもと、詳しく解説していきます。
神崎健輔
クリーニング師の国家資格も持つ染み抜き職人。「洗濯ハカセ」として雑誌やFacebook・twitter・instagram等のSNSなどで家庭向けの洗濯のアドバイスを行い、勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。
ヘアオイルは主に「植物性」「動物性」「鉱物性」の3つのタイプにわけられます。服についたシミを適切に落とすためにも、まずは使用したヘアオイルの成分を確認し、その特徴を知ることから始めましょう。
植物性ヘアオイルは、さまざまな植物から抽出された天然のオイルです。サラッとした使用感と、べたつきの少ない仕上がりが特徴です。
さらに髪や頭皮に優しく、素早く浸透する性質もあります。高いダメージ補修効果を持ち、傷んだ髪を内部から修復して健康的な髪へ仕上げてくれますよ。ただし、他の種類のヘアオイルと比べて酸化しやすいため、保管方法に注意が必要です。
例:ホホバオイル、椿油、アルガンオイル、オリーブオイルなど
動物性ヘアオイルは、主に動物由来の成分から抽出されるオイルです。植物性のヘアオイルよりも揮発しにくく、髪によくなじむのが特徴です。
【動物性ヘアオイルの種類】
使用感はやや重めですが、その分髪にしっかりと潤いを与えてまとまりやすくしてくれます。カラーやパーマでダメージが蓄積し、髪が乾燥している人におすすめのオイルです。
鉱物性のヘアオイルは、石油などの鉱物から抽出されたオイルです。肌や髪に浸透せず、表面をコーティングするため、ツヤツヤした髪に仕上がります。
【鉱物性ヘアオイルの種類】
オイルで髪の表面を覆うため、使う人の髪質を選ばないのが魅力です。ゴワついた髪やまとまりにくい髪でもしっとりとまとまり、スタイリングがしやすくなりますよ。
服についたヘアオイルは、その種類によって適した落とし方があります。これから植物性・動物性・鉱物性ヘアオイルそれぞれの落とし方を詳しく解説していきます。
植物性のヘアオイルは、以下の手順で落としましょう。
【必要なもの】
【植物性のヘアオイルの落とし方】
ヘアオイルを落とすときは、洗濯前にもみ洗いすることがポイントです。先に洗濯してしまうと、オイルが服の繊維に定着してしまうため注意しましょう。
植物性のヘアオイルは常温の水温でも落ちやすいのですが、40℃ほどのお湯で洗うことでより落ちやすくなります。ただし服によっては洗う水温に制限があるものもあるため、洗う前に必ず洗濯表示マークを確認しましょう。
動物性のヘアオイルは、以下の手順で落としましょう。
【必要なもの】
【動物性のヘアオイルの落とし方】
基本的には、植物性のヘアオイルと落とし方は変わりません。洗濯前にお湯(40℃ほど)でつけ置き後にもみ洗いするとシミが落としやすくなりますよ。
鉱物性のヘアオイルは、以下の手順で落としましょう。
【必要なもの】
【鉱物性のヘアオイルの落とし方】
鉱物性のヘアオイルはクレンジングオイルやベンジンで効果的に落とせます。ただし、これらを使うときは一切水で濡らさないようにしましょう。クレンジングオイルは水に触れると乳化し、効果が低下してしまいます。
歯ブラシでシミ部分を叩くときは、外側から中心に叩きましょう。中心から叩き始めるとどんどんシミが広がってしまいます。
クレンジングオイルやベンジンは確かに効果的ですが、服に残してしまうと新たなシミの原因になります。使用後はしっかりと洗い流してから洗濯してください。
ヘアオイルを落とすときは、まず洗濯表示マークをチェックしましょう。デリケートな素材だと水が使えなかったり、洗剤が使えなかったりするため注意が必要です。
服を傷めないためにも、必ず洗濯表示マークで洗い方を確認してください。
ヘアオイルを落とすときは、強く擦ったり揉んだりしすぎるのは避けましょう。力任せに洗うと、生地を傷めてしまう可能性があります。
とくに綿やウールなどデリケートな素材で作られた服は、毛玉や毛羽立ちが発生するおそれがあります。焦って強く洗うのは避け、時間をかけてゆっくりと丁寧に洗いましょう。
神崎さん
ヘアオイルの時間経過に関しては、付着して1日程度であれば十分落とせる状態です。1週間以上放置してしまうとヘアオイルの成分が硬化し、より強力な融解力のある材料が必要になってしまいます。できる限り早く、付着したらその日のうちに対処するのが肝心です。
ヘアオイルに限らず、ファンデーションなどの化粧品や食べこぼしなど、付着した日に対処すれば怖くはありません
ヘアオイルが服についたときは、迅速な対応が大切です。とくに襟元や肩周りなど、髪が直接触れる部分は気を付けましょう。
時間が経過するとオイルが繊維に深く浸透し、シミや黄ばみになって普通に洗濯しただけでは落とせなくなります。
服にヘアオイルがついていたら、すぐに応急処置をしてください。応急処置の方法は以下の通りです。
【応急処置の方法】
なるべく早く応急処置することで、大切な服をシミから守れます。日頃からヘアオイルを使うときは十分注意し、もし付着してしまった場合はすぐに対処してください。
神崎さん
ヘアオイルが酸化して黄ばむまでは、比較的時間がかかります。環境にもよりますが、数か月程度かかるはずです。付着して1日で黄ばむわけではないので、慌てずに。その日のうちに対処してしまえば大丈夫です。ただし、洗濯機で洗えない衣類の場合は、数日中にクリーニング店へ相談しましょう
服についたヘアオイルを落とすときは、時間との戦いです。早めの対処が理想的ですが、気づかずに時間が経ってしまい、黄ばみ汚れになることも多いです。黄ばみになると自力で落とすことは難しいため、クリーニング店に依頼しましょう。
クリーニング店に依頼すれば、服へのダメージは最低限に、黄ばみもきれいに落としてくれます。自力での解決が難しい汚れは、ためらわずにプロの力を借りましょう。
ヘアオイルを服につけないように意識することも大切です。
ヘアオイルを使うときは量に注意しましょう。必要以上につけると、髪から服に付着しやすくなります。つけるときに手に取りすぎないことも大切です。たっぷり取ると、手からこぼれて服につくおそれがあります。少量ずつ手に取り、必要に応じて追加すると安心です。
また服の選び方も重要です。ヘアオイルを使用する日は、タートルネックなど首元の高い服を避けましょう。また髪が長い場合は、ポニーテールやお団子にするとヘアオイルがつきにくくおすすめです。
神崎さん
家庭で扱えるもののなかで、1番油に強いものといえば“食器用洗剤”の右に出るものはないくらい油落としに強いのが食器用洗剤です。
ヘアオイルだけではなく、皮脂や食べこぼしに大活躍します。洗濯機の隣に置いておいて、子どもたちが食べこぼした汚れに塗ってから洗濯機に入れるようにすると、食べこぼしのシミには困らなくなります
神崎さん
ちょっとした染み抜きや漬け洗いなどにはバケツを利用するシーンが多々ありますが、折りたたみ可能なバケツであれば収納場所にも困りません
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
※効果は使用環境や使用状況により異なります。
神崎さん
ヘアオイルはその名の通り、オイル(油)という意味です。油を落とすための材料は家のなかにたくさんありますので、とにかく落とすための材料を直接塗って洗ってみれば意外と落ちてくれる汚れです。
クレンジングオイルを使った場合は、そのオイル分が衣類に残る場合もあるため、その際は食器用洗剤などで落としましょう。ヘアオイルがついたままの状態で、乾燥機などを利用すると発火の原因にもなるので、しっかり落とすことが重要です