洗濯物や布団を外に干して取り込むとき、カメムシがついていることありますよね。
カメムシは、刺激を与えると独特の臭いを発する厄介な虫。洋服や手についた臭いは水だけでは落とせないため、油分や熱を使って効率的に落としていきましょう。
今回は、カメムシの臭いの取り方・消し方を紹介します。
カメムシの臭いには、サラダ油や界面活性剤入りの洗剤が効果的。また、日頃からカメムシを寄せ付けないよう対策も施し、悪臭被害を最小限にしていきましょう。
今回は、害虫防除技術研究所代表・有限会社モストップ取締役の白井良和さん監修のもと解説していきます。
白井良和
害虫防除技術研究所代表、有限会社モストップ取締役。医学博士。京都大学農学部卒、京大大学院農学研究科修了、殺虫剤メーカー研究員を経て、富山医薬大大学院医学系研究科修了。2001年、害虫防除技術研究所設立、東京都の企業で害虫駆除を行い、2003年、蚊駆除を柱に有限会社モストップを創業。現在、蚊等の害虫を用いた忌避剤や捕獲器の試験、書籍出版、テレビ・ラジオ等のメディア協力、YouTube動画配信、Web記事監修等を行っている。
カメムシが臭いを出すのは、強い刺激を受けたり、危険を感じたりするのが主な原因です。臭いの主成分であるアルデヒド類は独特な青臭さが特徴的で、その強烈な臭いを嗅いだ外敵は二度と同じカメムシを襲わなくなるともいわれています。
手や洋服についたカメムシの臭いは、水で洗っただけでは落とせない厄介者です。さらに、高濃度のアルデヒド類が皮膚につくと皮膚炎や色素沈着を起こす可能性もあるため、十分に注意しましょう。
ほかにも、カメムシの臭いは、集合フェロモンとして、仲間同士で情報交換をするなど、コミュニケーションの一種としての役割も担っています。
カメムシの臭いは拭いたり、水で洗ったりしただけではなかなか落とせません。ここでは、カメムシの臭いの取り方や消し方を4つ紹介します。
カメムシの臭いが洋服についてしまった場合は、界面活性剤入りの洗剤でつけ置き洗いをしましょう。臭いの主成分には水に溶けやすい物質と油に溶けやすい物質が混ざっているため、油分を分解できる界面活性剤入りの洗剤が適しています。
【手順】
臭いが強いと感じる場合は、その部分に油を垂らしてからつけ置きしましょう。ほかにも、臭いがついた部分にドライヤーの熱やアイロンを当てるのも効果的です。カメムシの臭いには揮発性があり、熱を当てることで消臭効果を発揮します。
手にカメムシの臭いがついた場合は、油分を使って落としていきましょう。サラダ油やオリーブオイル、クレンジングオイルなど家にあるもので対応できます。
【手順】
油分は手にもみ込むようにしてなじませることがポイントです。ほかにも、消毒用アルコールや界面活性剤入りの食器用洗剤でも代用できます。洋服にも同様の効果を発揮しますが、油じみができないよう注意しましょう。
強力な業務用手洗い洗剤を使用して、よく手を洗うのも効果的です。
布団にカメムシの臭いがついてしまった場合、洗えるものであれば界面活性剤入りの洗剤で洗いましょう。洗濯するのが難しいときは、消臭スプレーやアルコールスプレーの活用がおすすめです。
スプレーした布団は天日干しをしたり、アイロンのスチームを当てたりして臭い成分を揮発させましょう。ドライヤーの熱を当てるのも、速効性があって効果的です。
一度では臭いが取りきれなかった場合は、何度か繰り返してみてください。
家具や壁、フローリングなど洗うのが難しいものの場合は、界面活性剤入りの洗剤で拭き掃除をしましょう。速効性はありませんが、臭いを徐々に取り除けます。使用する洗剤は、消臭効果の高い柑橘系の洗剤がおすすめです。
ただし、ワックスが施されている部分に洗剤をつけると、コーティングが剥がれる可能性があります。洗剤を使用するのが難しいときは、部屋を換気したり、室温を高めたりして臭いを揮発させやすくしましょう。
白井さん
カメムシ類の成虫には、胸部に1対の管状分泌腺と付属腺とがあって、分泌物は1度貯蔵嚢に蓄えられますが、その貯蔵嚢が後胸部腹面にあり、その一方の端が後脚の基部に開口しているため、そこから悪臭が発せられます。カメムシの臭いがついた場合には、細かい粒のスクラブが入った洗浄料を使ってみるのも良いでしょう
カメムシは暖かい季節を中心に、年間を通して発生しやすい虫です。カメムシの臭い対策として、避ける方法も押さえておきましょう。
洗濯物に付着していることの多いカメムシを未然に防ぐには、部屋干しが適しています。とくに、カメムシは白色のものを好む傾向があるため、白い洗濯物を外に干すのは避けるのがベターです。
洗濯物を外に干すとき、白色のものは内側に干すなどの工夫をしましょう。
カメムシの侵入を防ぎたいときは、窓や網戸にすき間テープを使いましょう。カメムシは薄くて平べったい形をしており、約2mmのすき間があれば室内に侵入できてしまいます。
部屋への侵入を防ぐには、ほんのわずかなすき間もしっかり塞いでおくことが大切です。窓のサッシや戸当たりのほか、エアコンのドレンホースや換気口のすき間もしっかり塞いでおきましょう。
白井さん
カメムシの臭いは主に、脂肪族不飽和カルボニル化合物によります。その成分としては、n-トリデカン、n-ペンタデカン、2-オクタナール、2-デセナール、n-ドデカン、ヘキサナール、2-ヘキセナール、4-オキソ-2-ヘキセナール、2-オクタナール、4-オキソ-2-オクタナールなどが挙げられます
カメムシは草木の茂った場所を好むため、周辺の雑草を手入れしておくのも有効な対策方法です。とくに、産卵期には葉の裏に卵を産み付ける性質があるので、こまめに除草をしておきましょう。
ただし、刈り取った雑草や落ち葉をそのまま放置しておくのはNGです。カメムシの隠れ家として棲みついてしまわないよう、除草した草は速やかに処分してください。
庭やベランダ、窓にハーブ類の鉢植えを置くのも効果的な方法です。カメムシはハーブ類の臭いが苦手なため、寄り付かなくなります。
ハーブ類のなかでもおすすめなのは、ゼラニウム・ローズ・レモングラス・ミントです。とくに、ミントは香りが強く、害虫対策の効果が高いといわれています。
ハーブ類は初心者でも簡単に栽培できるものが多いので、植物を育てるのが好きな方はぜひ取り入れてみてください。
網戸や窓など、カメムシがよく出る場所には市販の忌避剤を置くのもよいでしょう。忌避剤は天然ハーブや唐辛子成分などを主成分としており、臭いによってカメムシを遠ざける効果が期待できます。
基本的には殺虫成分を含まないため、小さな子どもやペットがいる家庭にもおすすめです。忌避剤は吊るして使うものやスプレーするものなどさまざまなタイプが販売されているので、使う場所に合わせて選んでみてください。
カメムシは光に向かって飛んでくる性質がありますので、多くの光で虫を捕獲する捕虫器を使う方法もあります。ガとかユスリカなども捕獲することができ、玄関の明かりに集まる虫を減らすことができます。
白井さん
カメムシの悪臭は分泌するカメムシにも有害であるとされており、カメムシの一種であるRhoecocorisを多数ひとつの容器に入れておいたところ、大部分が60分ほどで死亡したとする報告があります。また、カメムシの悪臭成分を入れた容器内にアリを放ったところ、60分ほどですべて死亡したと報告されています。このように、カメムシの悪臭はほかの昆虫にも悪影響のある臭いなんです
白井さん
エアゾールですので、レバーを引くだけで、簡単に噴霧できます。カメムシが対象害虫に含まれており、玄関灯、外壁に噴霧しておくと、カメムシをはじめとする不快な害虫がとまるのを防ぐことができます
白井さん
スクラブ入りで、臭いや汚れを強力に落とすことができます。手ごろな価格で購入でき、クリーム状で、必要な分だけ出して使用できます
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
白井さん
カメムシの臭いは、水で洗ったり、石けんで洗っても落ちにくいものです。育てている野菜を触るときはしっかりビニル手袋をして、手に臭いをつけないようにしましょう。もし手についた場合は、消毒用アルコールを使用して何回かこすってみましょう