窓側に付いているグレーの素材が断熱カーテンライナー
最近ますます値上がり傾向にある電気料金。特に夏や冬など冷暖房を頻繁に使う時期は、できる限り電気代を抑えたいところです。そろそろ暑さが気になり始めた昨今、冷房費を抑えるための工夫も理解しておきたい……!
そんなときに頼れるアイテムが「断熱カーテンライナー」。
一見地味な存在ですが、カーテンの裏側に取り付けるだけで、外からの熱気や冷気をシャットアウト。室内の空調が効率よく保たれ、冷暖房費の節約にもつながるお手軽&効果的な省エネアイテムなのだとか。
今回はカインズのカーテンのバイヤーを務めている橋本明香さんに、断熱カーテンライナーの効果や使い方を聞いてみました。
断熱カーテンライナー
断熱カーテンライナーは布製のカーテンとは違い、薄いビニールシートのような素材(塩化ビニル樹脂)です。上部には穴が空いていますが、カーテンのようなドレープやヒダはありません。
橋本さん
断熱カーテンライナーは主にカーテンの裏に取りつけて使用し、部屋の断熱性能を高めるものです。電気代の節約にもつながるので、一年中利用している人もいらっしゃいますよ。
なぜ、カーテンと一緒に吊り下げて使うのでしょうか。
橋本さん
室内の熱の出入りは、夏は70%以上、冬は50%以上が窓から出入りしています。カーテンの内側(窓側)に断熱カーテンを取り付けると、窓の隙間などから入ってくる外の熱気や冷気を効果的に防げるようになるんです。
一方、室内側は暖房で温めた空気や、冷房で冷やした空気を外に逃さないようにできるので、冷暖房効率を高めることにつながります。
カインズで販売している断熱カーテンライナーの色はグレー、クリア(半透明)、ホワイトの3種類で素材の特性から断熱効果は同じ。クリアの場合は適度に外の光も取り込むことができて、室内の明るさも確保できそうです。
サイズは100×150、100×200、100×225、150×225cmと展開されており、大半の窓に使用できます。
橋本さん
どのカラーも防菌・防カビ加工がされており、結露や湿気によるカビの発生も抑える効果も期待できます。遮光(グレー)やUVカット(ホワイト・クリア)などの機能もあるので、光の通し方で選ぶのもおすすめです。
カインズのオリジナル商品には取り扱いがありませんが、断熱ロールスクリーンや断熱ブラインドもあるそうです。ただ、ロールスクリーンやブラインドは単体で使うもので、断熱カーテンライナーのように、カーテンと一緒に使うものとは少しタイプが違います。
断熱カーテンライナーは、通常のカーテンの裏側に追加して使うアイテム。実際にはどこに・どうやって取り付けるのが正解なのでしょうか?
断熱カーテンライナーの取り付け位置
断熱カーテンライナーは、窓ガラスに一番近い位置に垂らすように付けて使います。窓側から断熱カーテンライナー、レースカーテン、ドレープカーテンの順番です。中でも、サイズ(長さ)の選び方が断熱効果に大きく影響します。
橋本さん
断熱カーテンライナーは、特に“長さ”を意識して選んでほしいです。裾を床に10~15cm程度垂らすことで、下から入る冷気や熱気をより遮断でき、さらに断熱効果が高まります。購入時はカーテン丈より10~15cm長いものを選ぶのがポイントです。
断熱カーテンライナーは、床に垂らして使う
もし、適切なサイズの断熱カーテンライナーがない場合は、カーテン丈より少し長めのものを購入し、ハサミでカットして使うのもOK。塩ビ素材なので加工もしやすく、部屋の窓に合わせて微調整できます。
床に垂らして使用するとなると、気になるのが結露です。結露がたまってしまい、カビが発生しやすくなるのではないかと心配です。
橋本さん
カーテンがあると空気の流れが滞り、窓の間に水蒸気が溜まりやすくなります。ただ、結露の原因は、カーテンだけでなく周辺環境の影響が大きいです。
断熱カーテンライナーの素材は塩化ビニル樹脂なので、布製のカーテンと比べるとよりはカビが生えにくく、お手入れもしやすいです。
実際に断熱カーテンライナーを取り付けていきましょう。一番簡単なのは、S字フックで窓側のカーテンレールに直接取り付ける方法です。
付属のS字フックで窓側のカーテンレールに取り付けた断熱ライナー
ご自宅の窓にカーテンレールが2本ついていて、かつドレープカーテンのみしか使用していない場合は、窓に近いカーテンレールに、S字フックで断熱カーテンライナーをぶら下げます。
橋本さん
カーテンレールに取り付けられるように、S字フックが付属品で付いているので、特別なパーツを用意する必要はないですよ。
その際、注意したいのが断熱カーテンライナーの裏表。
が正しい向きです。
断熱カーテンライナーの表と裏
橋本さん
一応表と裏はあるのですが、素材自体は同じなので、逆に設置したとしても、効果に大きな変化はありません。
ご自宅の窓にカーテンレールが2本ついていても、ドレープカーテンとレースカーテンの両方を使用していたら、断熱カーテンライナーを取り付けるレールがありません。その場合は、カーテンと断熱カーテンライナーをフックで共有する方法があります。
断熱カーテンライナーにカーテンフックを取り付ける
カーテンフックのアジャスターが付いていない方に、断熱カーテンライナーのフックを差し込みます。
レースカーテンにカーテンフックを差し込む
次に断熱カーテンライナーを差し込んだまま、さらに上からレースカーテンを差し込んでいきます。
カーテンフックを横から見たところ
カーテンフックに、断熱カーテンライナーとレースカーテンの両方が付いている状態です。
断熱カーテンライナーの装着完了
全部のカーテンフックにカーテンを通してから、カーテンレールに吊り下げます。一度取り付ければ、普通のカーテンと同じように扱えます。
ただ、断熱カーテンライナーの表面がツルツルしているので滑りやすく、断熱カーテンライナーやレースカーテンを大きく動かすと、先に差し込んだ断熱カーテンライナーが抜けてしまう場合もあります。
フックを取り付ける際は、レースカーテンと断熱カーテンライナーを、広い部屋の床に広げて重ね、1つずつ丁寧に差し込んでいくと、ずれにくくきれいに取り付けられますよ。
断熱カーテンライナーは布製のカーテンと比べると、あまり汚れがつかないような気がしますが、お手入れ方法はどうすればいいのでしょうか。
橋本さん
もしも汚れが気になるときは、硬く絞ったふきんで表面を拭いてください。汚れがひどい場合は、中性洗剤を使うといいですよ。
また、気になるのが寿命の話。交換の目安となる見た目の変化などはあるのでしょうか。
橋本さん
カーテンと同じく、およそ1~2年くらいで目に見えない汚れが付いてくる可能性はあります。基本的には裾を垂らして使用する商品なので、裾が破れたり、汚れたりしてきたら交換の目安になります。
断熱カーテンライナーを吊るすだけで、冷暖房効率が上がり夏も冬も省エネで過ごしやすい空間に。サイズ展開もあり、カラーも部屋の雰囲気や光の取り込み方にあわせて選べます。
電気代が気になるこれからの季節に、まずは1枚、取り入れてみませんか?
橋本さん
窓に取りつけられているカーテンに組み合わせるだけで、夏の暑さをシャットアウト! 夏だけでなく、冬の寒さにもしっかりと応えてくれる優れものです!