宿根イベリスはこんもりとした草姿に、小さな花がリースのようにまとまって咲くかわいらしい花です。一つ一つの花は小さいのですが、まとまって咲くためにボリューム感もあり見ごたえがあります。一度植えると何年も楽しむことができ、横に広がりながら育っていくので、グラウンドカバーとしても活用出来ます。
白い花を咲かせるものが一般的ですが、ピンク、赤、紫などの花色の品種もあり、イベリスだけでもメリハリのあるお庭を作ることができるんですよ。花言葉には「初恋の思い出」「甘い誘惑」などがあります。
そのほかにもガーデニング用のグローブやハサミ、土入れやスコップ、じょうろやホースなども用意しておくとよいでしょう。
では、実際に宿根イベリスを育てる方法について解説していきます。
宿根イベリスを育て始める時は、苗が出回る3〜4月に苗を購入して植えつけます。タネをまいて苗を作る場合は、9月にタネをまいて苗を作り、10月中に植えつけるのがおすすめです。
宿根イベリスは日当たりのよい場所で、水はけのよい土で育てます。
日陰に植えると、葉や茎が弱々しく伸びてしまうので注意しましょう。また、軟弱に育つと病気や害虫が発生しやすくなるので、よく日が当たり、風通しのよい場所で育てるようにしましょう。
寒さには比較的強いのですが、夏の暑さにはあまり強くありません。日本で流通しているイベリスは西ヨーロッパや西アジア、北アフリカなどが原産。これらの地域は地中海性気候で、冬に雨がよく降り、夏にはあまり雨が降りません。
日本は気温が高くなる時期に梅雨が訪れ、高温多湿になりやすいので、庭植えをする場合は水はけよくしておく必要があります。水が溜まりやすいくぼんだ場所は避け、出来ればレンガやブロックで囲んだ花壇やレイズドベッドを作って高植えにするのがおすすめです。
庭植えにする場合は土に腐葉土や牛ふん堆肥などの有機質を混ぜ込んでおきますが、土が粘土質で水はけに不安がある場合は中粒の赤玉土や軽石などを1㎡あたり20リットルほど混ぜ込んでおくとよいでしょう。あるいは、花壇をつくったら庭土をよく耕し、その上に赤玉土6:腐葉土4などの配合の用土を10cmほどの厚さで敷き詰めてしまうのもおすすめです。
宿根イベリスは高温多湿が苦手です。特に気温が高いときに過湿になるのがよくありません。夏の午後に夕立が来て、雨上がりに日がさすと、高温多湿になりやすいので、午後からは日ざしがあまり当たらないような場所が最適です。西側に壁や塀、落葉樹などがあるような場所だと最適です。家の東側などもよいでしょう。
鉢植えは、秋〜春はよく日の当たる場所に置き、夏は午後から直射日光が当たらない場所に移動させるのがおすすめです。
春と秋の成長期は、土の表面が乾いたら鉢底から流れ出すまでたっぷりと水を与えます。
梅雨の時期からは乾かし気味に水を与え、株が蒸れないように注意します。もちろん、土がパサパサに乾ききる前には水を与えて下さいね。
4〜5月、9〜10月に月に1回ほど緩効性化成肥料(ゆっくり効く粒状肥料)を与えます。高温期に土に肥料分が残っていると根が傷みやすくなるので、6〜8月は肥料を与えません。5月に肥料を与える際、たくさん肥料を与えてしまうと、イベリスが苦手とする梅雨の高温多湿に肥料が多すぎる状態が重なってしまうので、6月には肥料分が残らないよう控えめに与えるようにしましょう。
鉢、プランターでの栽培であれば、2週間に1回ほど液体肥料を与え、梅雨入りから9月中旬までは肥料を与えないというやり方もできます。
Q.宿根イベリスを育てる際に気を付けるべき害虫や病気などはありますか?
A.害虫はアブラムシが主につきやすく、そのほかコナガやアオムシなどがつくこともあります。見つけたらすぐに駆除しましょう。病気は、多湿になると灰色かび病にかかることがあります。風通しがよく、日の当たる場所で管理しましょう。
Q.宿根イベリスの品種にはどのようなものがありますか?
A.多年性の「宿根イベリス」として流通しているのは、センペルビレンスです。そのほかにも一年性のアマラ、同じく一年性で香りがよいオドラータなどもあります。
Q.宿根イベリスの増やし方は?
A.一般的には「株分け」か「挿し芽(挿し木)」で増やします。
株分けは株ごとに根がつくように切り分けて植えつけます。適期は3〜4月、9月下旬〜10月です。そのまま植え場所に植えつけてしまってもかまいませんが、一度ポリポットなどに植えつけ、苗を作ってから植えつけると確実です。その場合は、ポリポットの底から根が見えるくらいまで育て、次の3〜4月、9月下旬〜10月に植えつけます。
挿し芽は4〜5月、9月下旬〜10月に行います。葉を4〜5枚つけて茎を切り、一番下の葉を切り取って挿し穂にします。十分に湿らせた市販の挿し木用土か新しい小粒鹿沼土などの清潔な用土に、上下を間違えないように茎が半分ほど土に入るよう、挿しておきます。挿し穂から新しい芽が出てくるようであれば発根しています。株を大きくしてから、次の植えつけ適期(2〜4月、9月下旬〜10月)に植えつけます。
開花後にタネがつくようであれば、タネを取って9月下旬〜10月にタネをまいて苗を作り、翌春に植えつけます。
別名で「キャンディタフト」と呼ばれるように、砂糖菓子のような可愛らしい花が春の花壇を彩る宿根イベリス。夏の暑い時期に過湿になると傷みやすいので、用土や植え場所の土に赤玉土や軽石などの粒状の土を加え、水はけよく育てて花を楽しんでみて下さい!