ガーデニングできれいな花を楽しみたい、自分で植物を育ててみたいと思っている人も多いでしょう。さまざまな植物がありますが、この記事ではシャクナゲ(石楠花)の栽培に興味がある人に向けて、シャクナゲ(石楠花)の栽培方法について詳しく解説します。シャクナゲ(石楠花)の基本情報から植え付け、開花時期や害虫対策など幅広く解説するので、参考にしてください。
シャクナゲ(石楠花)は「花木の王様」とも呼ばれています。ここでは、春の花木として人気の高いシャクナゲ(石楠花)の基本的な情報を解説します。シャクナゲの学名や園芸分類、原産地や大きさなどについて紹介します。
シャクナゲ(石楠花)は街中でもよく見かけるツツジやサツキの仲間です。そのため、似たような手入れをすると育てることができます。シャクナゲ(石楠花)というと大きな木になるというイメージを持たれることもありますが、庭でコンパクトに楽しめる矮性(わいせい、背丈が低いこと)の品種もあります。
シャクナゲ(石楠花)は、ネパールやブータンなどのアジア大陸のほか、日本にも自生している植物です。園芸植物としては19世紀に中国からヨーロッパに伝わった華やかな種が注目を浴び、品種改良が進みました。こうした品種が再びアジアや日本にも導入され、日本では「西洋シャクナゲ」と呼ばれることもあります。西洋シャクナゲは比較的大きな木になりますが、近年は小型のヤクシマシャクナゲを交配したコンパクトな品種も。シャクナゲ(石楠花)の代表的な種類としては、以下のようなものがあります。
近年は暑さや寒さにも強い種を使って品種改良が進み、日本でも育てやすい品種が増えています。小型で扱いやすいものや、花付きのよいものなどもあり、華やかなシャクナゲ(石楠花)のよさを存分に楽しむことができる品種も続々登場。
以下では、開花時期や花色、園芸分類や大きさといった詳しい特徴について解説します。栽培カレンダーも紹介するので、栽培の際の参考にしてください。
シャクナゲ(石楠花)は春から初夏を彩る花木として親しまれています。そのため、植え付け・植え替え時期は春になる前の3~4月、もしくは10~11月頃が適しています。
シャクナゲ(石楠花)の剪定は花が終わった5~6月頃が適しています。ただし、シャクナゲ(石楠花)は強く枝が伸びるようなことがあまりない樹木なので、芽を摘むことで樹形をコントロールすることができます。
肥料を与える時期は、鉢植え・地植えともに変わりません。花が終わった後の5~6月、寒くなる前の9~10月頃に与えましょう。基本的には年2回の肥料で問題ありませんが、2月頃に寒肥として肥料を追加しても構いません。
シャクナゲ(石楠花)は春から初夏を彩る花木で、4月下旬~5月中旬ごろに美しい花を房状に咲かせます。
シャクナゲ(石楠花)にはさまざまな種類があり、花色も豊富にあります。代表的な花色としては以下のとおりです。
このようにピンクや赤などの暖色系から、パープルなどの寒色系とバリエーションが豊富で、自分好みの花色を選びやすいです。
シャクナゲ(石楠花)は少し暑さが苦手なところがありますが、関東地方以西の都市部のような暑い地域でも夏を越せる品種が多くあります。今流通している品種には紅山性の種も交配に使われていることもあり、寒さには強い植物です。
シャクナゲ(石楠花)は地植えでも鉢植えでも育てることができます。用意できる環境やスペースに合わせて地植え・鉢植えどちらにするか選びましょう。
シャクナゲ(石楠花)は開花時期になるとさまざまな種類が出回ります。その中から花色や形などが自分の好みにあっているものを選ぶとよいでしょう。実店舗だけでなくネットなどの通販でも購入できます。葉が濃い緑色で幹が太く枝数の多いもの、花軸がしっかりしているものを選びましょう。
シャクナゲ(石楠花)は春から秋の間は西日が当たらず、冬は風が吹き抜けないような場所で育てます。庭植えにするのであれば、家の東側で風が吹き抜けないような場所がよいでしょう。鉢植えであれば、春から秋は西日が遮れる場所に置き、冬の間は家の南側の日だまりなどに移動させます。
シャクナゲ(石楠花)は水はけのよい酸性土壌を好む植物です。庭に植えつける際は、深さ30cm、直径30cmほどの植え穴を掘り、植え穴の底に5〜10cmほどの軽石を敷きます。掘り上げた土に酸度未調整ピートモスと鹿沼土を5リットルずつ混ぜ込んでから植えつけます。鉢植えの場合は、コツブツ赤玉土、小粒鹿沼土、酸度未調整のピートモスを等量配合した用土や、市販のブルーベリー用土とコツブツ赤玉土を半分ずつ混ぜ合わせた用土などで植えつけます。
シャクナゲ(石楠花)は地表近くに細い根を張るため、土が乾きすぎると乾燥で根を傷めやすい性質があります。鉢植えの場合は、土が乾きかけたらたっぷりと水やりをします。夏は朝と夕方水を与えます。庭植えは春と秋はあまり気にする必要はありませんが、暑さで土が乾きやすい夏と、空気が乾燥している冬は要注意。夏は土が乾きそうになったら水を与えましょう。冬も雨が降らない日が続くようであれば、土の乾きを気にしておいて、乾く前に水を与えます。夏と冬は株元を腐葉土などで覆っておき、土を乾きにくくするのも有効です。
初夏の開花後と、暑さが落ち着いた9月中旬に与えます。固形の油かすや緩効性化成肥料(ゆっくり効く粒状肥料)などを使いましょう。庭植えは株元から30cmほど離れた地面を軽く耕し、土に肥料を混ぜ込みます。鉢植えは鉢の縁に沿って肥料を置いて与えます。
シャクナゲ(石楠花)の植え替えに適した時期は3〜5月上旬、9月下旬〜10月です。水やりをしても水がしみ込みにくくなってきたり、鉢土の表面や鉢底から根が見えてきたようであれば、植えかえのタイミングです。植えかえは、根を傷めないように丁寧に鉢を外し、根鉢を軽く揉んでほぐしたら、全体の土を1/3ほど落として新しい鉢か、元の鉢に植えつけます。庭植えは植えかえは必要ありません。
シャクナゲ(石楠花)は挿し木で増やすことができます。その年に伸びた枝を10cmほど切り、市販の挿し木用土か新しい小粒赤玉土やパーライトなどを使って、土が乾かないように管理します。
そのほかにも、季節ごとの作業を丁寧に行うことで健康に生育し、翌年もたくさんの花を楽しむことができます。
花が終わったら、花茎を切り取ります。そのままにしておくとタネがついてしまい、体力を消耗してしまいます。タネがついたらタネまきで増やすこともできますが、開花までは10年近くかかり、元の木と同じ花が咲くとは限りません。
春から伸びた芽が5〜7cmになったら芽かきをします。芽の先端を指で摘み取ると、葉のつけ根から複数の芽が伸び、枝数が増えます。枝数が増えることで花数も増えます。
シャクナゲ(石楠花)はあまり枝が出ないので、基本的に芽摘みで樹形をコントロールしますが、枝が混み合っているようであれば、花後に剪定をします。
シャクナゲ(石楠花)は夏の西日に弱いので、梅雨明け以降、鉢植えは午後からは日ざしが当たらない場所に移動させます。また、冬は乾いた寒風が吹き抜けない、家の南向きなどの日だまりに移動させます。庭植えは夏の西日と冬の寒風が避けられる場所に植えますが、そうした場所に植えてしまった場合は、夏であれば遮光ネットを張ったり、シャクナゲ(石楠花)の西側に落葉樹などを植えて日ざしを避けます。冬は寒冷紗などで株をくるんでヒモで縛り、風よけをします。
シャクナゲの葉にはロードトキシンという毒があります。吐き気や下痢、呼吸困難といった症状を引き起こす毒ですが、触れても問題はありません。ただし、葉をお茶として飲用すると中毒を引き起こす可能性があるため注意しましょう。
シャクナゲは、葉やつぼみが灰色になる灰色かび病や、葉に黒いすす状のかびが付くすす病などにかかりやすい花木です。注意したい害虫としては、アブラムシやハダニ、グンバイムシなどが挙げられます。
灰色かび病やすす病をみつけた場合には、病斑のある部分を速やかに取り除きます。その後、1週間置きにかびに効果のある薬剤を散布するとよいでしょう。湿った環境だと病気になりやすいため、風通しを確保するのも重要です。
アブラムシはみつけ次第駆除します。粘着テープで駆除すると手軽です。ハダニは水に弱いため、週に1回ほど株全体に水をかけるようにしましょう。グンバイムシは薬剤で駆除しましょう。オルトランやスミチオンなどが含まれている薬剤が効果的です。
シャクナゲの花言葉には、「警戒」や「危険」「荘厳」などがあります。シャクナゲはもともと、鉱山に自生している花木でした。そのため、シャクナゲの採取には危険がともなっていたことから、危険や警戒といった花言葉がついたといわれています。また、高山の奥地に自生している姿の神々しさから、「荘厳」といった花言葉もつけられています。
シャクナゲは花木の王様とも呼ばれる、春を代表する花木の1種です。美しく大ぶりな花を房状に咲かせるため、庭木としても人気が高くなっています。さまざまな品種や花色があり、地植えでも鉢植えでも栽培できるため、自分好みのシャクナゲをみつけやすいでしょう。
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