おとなしく、人懐っこいモルモット
かけがえのない家族の一員として、今、注目を集めているペットがモルモットです。おとなしく、飼いやすい小動物として世界中で人気のモルモットですが、日本では最近までハムスターなどに比べると飼育者が少なく、モルモットの種類や飼育法について知られていないことも多いそう。
そこで、うさぎやフェレット、ハムスター、モルモットなどのエキゾチックアニマル(※ペットとして飼育されている犬、猫、鳥類以外の動物)の診療に力を入れている「ラパスペットクリニック」院長の角田満先生に、モルモットの種類や生態、飼育で気をつけるべきポイントを解説していただきました。
モルモットは、南アメリカ大陸に生息する野生のテンジクネズミ(ペルーテンジクネズミ、パンパステンジクネズミ)を家畜化したものと考えられており、本来は5~10頭程度の群れを作って生活します。
また、モルモットは夜行性で、夜明けや夕暮れ時に食事をします。食べるのは草の葉や茎、根などで、完全草食動物です。一般的にオスのほうが大きく、成長すると体長は30cm前後。体重は、オスは900~1,200g、メスは700~900gになります。
飼育環境などにもよりますが、寿命は5~7歳だと言われています。中には10年以上、健康に生きるモルモットも存在します。
モルモットとハムスターは、大きさ以外にも違いがたくさん
モルモットもハムスターも同じネズミ目ですが、モルモットはヤマアラシ亜目テンジクネズミ上科に属し、ハムスターはネズミ亜目ネズミ上科に属します。ちなみに、ヤマアラシ亜目にはデグーやチンチラ、テンジクネズミ上科にはカピバラがおり、モルモットにとってはハムスターよりも近い動物と言えます。
食性も大きく異なり、ハムスターが雑食なのに対して、モルモットは完全草食動物。身体の大きさも、ハムスターは大きめのゴールデンハムスターでも130~210g程度ですが、モルモットは700~1,200g程度と違いがあります。
また、ハムスターは前歯だけが生涯伸び続けますが、モルモットは奥歯を含むすべての歯が生涯伸び続けます。ハムスターは食べものを保管する“ほほ袋”を持っていますが、モルモットにはないという違いも。ハムスターと違い、モルモットに尻尾としての骨はありますが、外見上は尾がなく見えるのも特徴です。
日本で見かけるモルモットの主な品種は、イングリッシュ、アビシニアン、シェルティ、ペルビアン、テディ、レックス、テッセル、クレステッド、スキニーギニアピッグの9種類です。
もっともポピュラーな種類です。毛は柔らかく、短い直毛。毛質はノーマルか、艶のあるサテンです。首から肩にかけて、クラウンと呼ばれる盛り上がりあります。
硬くて短毛。全身につむじ(ロゼット)があります。毛の長さは、イングリッシュよりも少し長いです。
直毛で毛が長く、つむじはありません。頭部の毛は短いままで、アメリカではシルキーとも呼ばれます。
直毛で長毛。つむじがあり、頭部と背中の毛が長くなります。
テディもレックスも縮毛で短毛、つむじはありません。レックスのほうが、テディよりも若干、毛の巻き具合が少ないです。
縮毛で長毛。頭の毛は短く、つむじはありません。
短毛で頭につむじがあります。つむじが冠毛(クレスト)になっていることから命名されました。
体毛がないのが特徴ですが、頭や鼻の周り、足の先に毛が生えることがあります。
モルモットの種類ごとに決まった毛色はなく、体全体が1色の「単色(セルフ)」と、複数の色をかけ合わせた「複数色(ノンセルフ)」の2タイプがあります。
単色タイプの毛色の多くは、白、黒、茶色です。
複数色タイプの毛色は2・3色(稀に4色)で構成され、ブチ(白ベースに斑模様)、アグーチ(斑模様)、ダルメシアン(犬のダルメシアンに似た斑模様)、ヒマラヤン(白ベースに、耳、鼻、手足が茶色や黒)、ダッチ(パンダ模様)、ローン(グラデーション柄)、二毛(2色模様)、三毛(3色模様)などがあります。
優しい性格ですが、臆病なのでストレスを与えないようにしましょう
モルモットは基本的に温和で従順ですが、警戒心が強く、怖がりな性格です。人に慣れるまでには時間がかかるかもしれません。また、オスのほうが甘えん坊が多く、メスはゴーイングマイウェイな印象を持つ飼い主さんが多いようです。
こまめに掃除できる人が向いています。甘やかしすぎにも注意しましょう
モルモットに限ったことではありませんが、マメにお世話ができる人が向いています。モルモットは排泄量の多い動物なので、掃除をさぼってしまうと不衛生になって健康を損ないやすく、注意が必要なためです。
また、モルモットはエサやおやつの催促が上手です。甘やかしてしまい、おいしいものばかりを与えてしまう方にはおすすめできません。草食動物用の主食(牧草)としてポピュラーなイネ科の植物・チモシーなどにアレルギーがある方は、飼育が困難になる場合があるので、事前に確認しましょう。
一般的に、イングリッシュやアビシニアンは人に懐きやすいと言われますが、種類によるおすすめは特にありません。ただし、お世話の面を考えると、毛がないスキニーギニアピッグは体温調節があまり上手ではないので、室内の温度管理が難しくなります。逆に長毛種は、こまめにブラッシングをしないと毛玉ができて不衛生になりやすいので、注意が必要です。
本来、モルモットは群れで生活する動物なので、複数の飼育が適切です。ですが、排泄物が増えるので世話は大変に。また、体調管理のバロメーターとなる、個体ごとの食餌量や排便・排尿量などの観察が困難になります。初心者の方は1匹で飼育し、慣れてから仲間を増やすほうが良いでしょう。
もともとモルモットは群れで生活する動物
複数を一緒に飼う場合は、個体ごとの相性も重要。仲良く過ごせるかどうかは、一緒に暮らしてみないとわからないのが難しいところです。オスとメスを同時に飼うと子どもができる可能性があるので、注意しましょう。
夜行性の動物なので、午前中や日中は寝ていることが多く、行動が活発になる夕方以降がおすすめです。モルモットが寝ている場合、無理やり起こさないようにましょう。時間に余裕があれば、1日だけで判断するのではなく、何度か足を運んで、様子を観察してみましょう。
モルモットが健康かどうか、以下の部位をチェックしましょう。
モルモットの部位 | チェックポイント |
耳 | ・耳の中や耳の裏側が汚れていないか ・フケがでていないか |
目 | ・目ヤニが出て汚れていないか ・しっかり左右対称に開いているか |
口元 | (見ることが可能なら) ・前歯がちゃんと揃っているか ・口周りがいつ見ても濡れていないか ・口角がカサカサしていないか |
鼻 | ・鼻水などで汚れていないか ・フケがついていないか |
お尻 | ・排泄物で汚れていないか(軟便をしている場合は、お尻だけでなく、便を踏み付けて足が汚れていることもあります) |
毛並み | ・フケがついていないか(白く小さなゴミがいっぱいついている時には、シラミがいることがあります) |
陰部にある2つの穴のうち前方にある尿道開口部が、オスでは丸く、メスではスリット状になっているのが特徴です。ただし、成熟前の若い時はオス・メスの見分けが難しく、間違えた性別で販売されていることも多くあります。成長すると、精巣が大きくなるため見分けやすくなります。
オスとメスの見分けはつきにくいです
ペットショップでの価格は、平均すると5,000円が相場と言われています。珍しい種類の場合は1万円を超えるものもいるようです。
モルモットをお迎えする前に、モルモットが安心できる場所を確保し、必要なものを揃えましょう。ハムスターでは必須の「回し車」は、モルモットは上手に扱えないことが多いので設置する必要はありません。
モルモットは排泄物が比較的多いので、通気性が良いものを選びましょう。低すぎると飛び出てしまうことがありますが、高く飛び跳ねることはないので、高さは30㎝程度で大丈夫です。床面積は2,500㎠程度が理想です。
ボトルタイプとお皿タイプに分けられますが、ボトルタイプがおすすめです。ボトルタイプは、飲み口の大きさの違いによって水の出る量が変わり、過剰摂取したり大量にこぼしたりすることがあります。使用中のモルモットの様子をよく観察し、合うものを選びましょう。
お皿タイプは水が汚れやすく、ひっくり返して水をこぼすことが多いです。お皿タイプを検討するなら、重量があり、土台がしっかりしている、低めのものがおすすめです。モルモットは1日に80~150mlほどの水を飲むと言われています。こぼれてしまう分も考慮し、少し多めに入るものを用意すると良いでしょう。
モルモットは、トイレトレーニングが難しい動物です。トイレを購入しても、自発的にそこで排泄を行うことはほとんどありませんが、途中でトイレを覚えるのはさらに難しくなります。お迎えした時点から用意しておいたほうが良いでしょう。
床材選びで重要なのは、衛生面の管理のしやすさと、モルモットが足を怪我しないかどうか。野生のモルモットは土と草の上で生活をしているので、牧草を敷きつめる方法がもっともおすすめです。水はけの良いバミューダグラスなどが良いですが、コストが高くなるのとゴミが大量に出るのが少し難点です。
金網などのスノコタイプは、足を怪我する危険性があるので使う時は気をつけましょう。クッション性を高めるために柔らかいタオルを敷くのも良いのですが、タオルをかじって食べないかどうか注意が必要です。ペットシーツを直接敷くのは足の裏にあまり良くなく、食べてしまう可能性も高いのでやめましょう。
お皿をひっくり返したり、動かしたりすることが多いので注意しましょう。高さがあるエサ入れは食べづらいので、低めのものがおすすめです。
体を隠してリラックスするために巣箱は必要です。ゆったり寝そべることができるくらいの大きさのものを用意しましょう。かじっても心配ないよう木製がおすすめですが、布製の袋を複数用意し、交換しながら使用するのも良いでしょう。布製の袋はキャリーバッグにも入れられ、ペットホテルや動物病院(病院や病気によっては使用できない場合もあります)に入院する際にも使えて安心ですが、布をかじって食べてしまう場合は使用をやめてください。
歯を削るためというよりも、ストレス発散のために使用しましょう。金網のケージをかじってしまう子の場合は、金網をかじり木で覆うと良いです。壊れたら買い換えてあげましょう。
毎日の散歩は不要ですが、お世話は毎日必要です。モルモットが健康に暮らせるよう、基本の飼い方を身につけましょう。
お家に迎えしても、残念ながらモルモットは、まだ飼い主さんのことを「飼い主」として認めたわけではありません。たくさん抱っこをする、触りすぎる、見すぎることが大きなストレスになるので、人間側からアプローチをしすぎないようにしましょう。モルモットがこちらに興味を示し、見てくれているようなら、相手をしてあげます。良い距離感を保ちながら、徐々に距離を縮めていくことが大切です。
「お迎えして1週間は、臭いを変えないためにケージの掃除をしないようにする」という説がありますが、掃除は毎日してあげてください。排泄物による汚染によって呼吸器感染症や皮膚疾患を引き起こすことも多く、モルモットが緊張のため排便できていないことに気づけないなどの弊害もあるためです。掃除する際は、手際よく、短時間で終わらせます。床材などをすべて交換せず、少し残しておけば自分の臭いが残るので、モルモットも安心しやすいでしょう。
モルモットにストレスを与えないよう、徐々に仲良くなりましょう。毎日のお世話も必須です
チモシー(牧草)はいつでも食べられる状態にしておきましょう。ペレットは体重に合わせた量をあげるようにします。朝よりも、夕方のお世話の時に多く与えるのが良いでしょう。1日のペレット量はモルモットの体重の6%、10~20g程度が目安です。
水は、可能であれば毎日2回交換しましょう。ボトルタイプの場合は先端部分を必ず洗い、ノズル先端のボールが可動し、水がちゃんと出ることを確認します。ボトル内にぬめりが出てしまうことが多いので、定期的に中もしっかり洗いましょう。モルモットは1日に80~150mlほどの水を飲むと言われています。毎回入れる量を決めておくと、飲んだ水の量の多い少ないがわかるので、異常に早く気づくことができます。
モルモットは排泄物が多くケージが不衛生になりやすいため、換気の良い環境での飼育が重要です。換気が悪くなるため、ケージを覆っての温度管理はできません。温度や湿度が大きく変化しないところに置きましょう。
窓辺は直射日光で暑くなり、明け方の冷気で気温が下がりやすくなるので、注意が必要です。また、人の往来が多く騒がしい場所では、モルモットはなかなか落ち着くことができません。なるべく静かな場所に置きましょう。ケージの4辺のうち、最低1辺を壁につけて置くと、安心感が増します。
日々のお世話は、モルモットが健康に過ごすために欠かせません
モルモットはトイレトレーニングが比較的難しく、決まったトイレでの排泄習慣をつけるのは困難です。ですが、トイレで排泄できるようになれば、衛生管理が容易になります。できれば時間をかけて教えていきたいところです。
尿をする場所が決まっているようなら、そこにトイレを設置すると良いかもしれません。また、ご飯を食べながらも排便排尿をよくするので、食事の際、自然とトイレの上にいるようにするのも良い方法かもしれません。
モルモットは排泄する量が多いので、巣箱や床材はこまめに掃除・交換しましょう。普段と違う場所で排泄していないか、尿がまとまって出ず、至るところで少しずつ出していないかなどは、大事な観察ポイントです。特に体調不良時には、日頃はしない巣箱の中で排泄してしまうこともあるので、定期的にチェックしましょう。
モルモット飼育の温度は18~24度、湿度は40~60%が良いとされています。それより暑いと息が速くなったり、体を伸ばして寝ていたりします。体を触って熱くなっているようなら、少し温度を下げてみましょう。お腹の調子が悪かったり、痛みを抱えていたりする時も体を伸ばして寝ていることがあるので、混同しないようにしましょう。
あくまでも温度は目安です。その子によって暑がり、寒がりの特徴があるので、日頃からよく観察し、体質を理解しておきましょう。
モルモットにとって心地良い空間を作ってあげましょう
生き物は寒暖差に弱いので、1日の最低気温と最高気温が記録できる温度計を用いて温度変化を把握し、適切な温度調節を心掛けましょう。特に暑かったり寒かったりする季節には、さらなる対策が必要です。
暑くならないよう、空調設備でしっかり温度管理をしましょう。その際、風が直接ケージに当たらないよう気を付けます。熱を逃がしてくれる大理石やアルミ板なども使用してみると良いでしょう。梅雨時期など、湿度が高い時期は雑菌が繁殖しやすいので、よりこまめな掃除・換気が重要です。
冷えないよう、空調設備でしっかり温度管理をします。特に明け方は冷えやすくなります。人間が就寝している時間帯の温度も注意深くチェックし、冷えすぎる場合はペット用ヒーターなども試してみましょう。また、布製の袋を入れておくことで、暖が取りやすくなります。ホットマットは空気を温めることが難しいので、使用には注意が必要です。
モルモットは1日に必要な運動量が少なく、犬のような散歩を必要としませんが、定期的に部屋を歩かせるなどの運動をさせましょう。ケージから出している時間が長くても、動いていなければ運動にはなりません。ケージの外にいる時は、体を踏まないよう気をつけてください。
モルモットにチモシー(牧草)は必須
チモシーを中心に、モルモット専用フードと新鮮な野菜を与えましょう。
モルモットは歯が生涯伸び続ける動物なので、歯を擦り合わせながら咀嚼を多くすることが必要。牧草は歯を健康に保つのに最適なご飯です。カルシウム含有量が適度で咀嚼に向き、手に入れやすい牧草として、チモシーが推奨されています。硬いペレットタイプのエサは、一見、歯を多く使いそうに思えますが、実は咀嚼量が少なく、歯をうまく削ることができません。
モルモットはビタミンCを自分の体内で作ることができないため、チモシーでは補えないビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれたペレットが不可欠です。ペレットは、高温高湿の場所や日光の当たるところに保管したり、空気に触れさせたままにすると栄養素が壊れてしまうので気を付けましょう。
水分の摂取とビタミン補充ができるため、新鮮な野菜もおすすめです。
モルモットに与えると健康被害が起きる可能性がある食べ物です。与えないように注意しましょう。
腸内細菌の乱れを起こす危険性があります。
うさぎなど、ビタミンCを体内で作ることができるほかの動物用のフードには、ビタミンCが含まれていません。ビタミンDの量も必要以上に多く入っているなど、見た目は似ていても含まれる栄養素は大きく異なるので、必ずモルモット専用フードを与えてください。
カルシウムが多く、尿路結石の原因となり得ます。
毒物ではないですが、シュウ酸と呼ばれる尿路結石の原因となり得る成分が多く含まれているので、多く与えないほうが良いでしょう。
中毒を起こす危険性があります。
警戒心が強く怖がりなので、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。ただし、食べものを媒介にするなど、コミュニケーションをしっかりとっていけば、しっかり懐いてくれます。
モルモットの体が安定する場所で、なでるところから始めましょう
基本的にモルモットは、抱っこされるのが好きではありません。触れ合いは、膝の上に乗せるところから始めると良いでしょう。最初から胸に抱きしめるような持ち方をするのは難しく、モルモットに与えるストレスも大きくなります。床に座った状態で抱き方を練習すると、落下事故による怪我も起きづらくなります。モルモットのお腹を人間の体につけるように持ち、体が安定するよう、必ずお尻を支えてあげましょう。
どの動物も共通ですが、乱暴に扱ったり、叩くなどの暴力を振るってはしてはいけません。また、急に抱き上げたり、追いかけ回したりするのもストレスになるので控えましょう。大きな音を立てたり、脅かすこともしてはいけません。また、モルモット以外の動物との接触は、怪我の危険性が高いので注意が必要です。
仕草からモルモットの気持ちがわかります
モルモットは感情表現が豊かで、ボディランゲージにはそれぞれ意味があります。よくある仕草をしている時のモルモットの気持ちをご説明します。
モルモットの仕草 | モルモットの気持ち |
人の手をなめる | リラックスした気分で、親しみを込めた行為です。なでられて気持ちが良い時、嬉しい時、楽しい気分で甘えている時にすることが多いです。 |
人の足や体に寄り添う | 仲良くなれた証拠で、ゆったりくつろいでいます。なでてあげると喜んでくれるかもしれません。 |
人になでられて頭を差し出す | もっとなでてほしい時の行動です。手に体を押しつけるようにしてきた場所は、特に撫でたり掻いたりしてほしいところです。 |
頭で人の手を押しやる | 機嫌が悪かったり、嫌なことをされた時に「ほっといて!」と意思表示しています。この仕草をした時は、なるべくそっとしてあげましょう。 |
歯をカツカツ鳴らす | 怒ってイライラしている、齧歯類全般に見られる仕草です。モルモットは温和なのでめったに噛みつきませんが、さらに怒らせると噛むことも。 |
小さくジャンプする | 興奮している時の仕草で、幼い頃によく見られます。大人になっても、怒ったり気に食わないことをアピールしたりする時にはジャンプすることがあります。 |
モルモットはよく鳴く動物で、その時の感情によっていろんな鳴き方をします。モルモットの鳴き声と、鳴き声からわかる気持ちをご紹介します。
モルモットの鳴き声 | モルモットの気持ち |
キュイー、キュイー! | 興奮や強い感情を表します。喜び、怒り、強いおねだりなど、感情の内容はさまざまです。顔つきやシチュエーションを考えて判断しましょう。 |
クイックイッ | 構ってほしい時の鳴き声です。1匹で飼っている場合は、寂しがっている証拠です。 |
プイプイプイ または ホニョホニョ |
小さい声でつぶやいていたら、ご機嫌で楽しい気分です。ケージの外に出してほしい時、遊んでほしい時にも、大きな声で「プイプイ」と鳴くことがあります。 |
ルルルルル~ | オスがメスに求愛する鳴き声です。食事をしている時、なでられている時、心地良く嬉しい時にも発します。 |
キーキー! | 怖い時、怒っている時に大きくあげる悲鳴です。そのままでは強いストレスを感じてパニックを起こす恐れがあるので、原因を取り除いてあげてください。 |
ドゥルルル… | 警戒している時に喉を鳴らす音です。特に変わりのない時に発した場合は、人間には聞こえない音に反応しているかもしれません。 |
排泄物の臭いには注意が必要です
モルモットには独特な体臭がありますが、そこまで強いものではありません。ただし、排泄する量が多いため、ケージ内に排泄物が放置されたままだと雑菌が繁殖し、臭いを発します。モルモットが臭いと感じた場合は、どちらの臭いなのか確かめましょう。雑菌の臭いは、日々のお掃除で大きく改善できます。
メスが発情期になり、オスとの相性が良ければ交尾をします。メスは生後7~8ヵ月を過ぎると出産時に恥骨が開きづらく難産になることから、初産はそれより前が良いとされています。モルモットの妊娠期間は59~72日(平均68日)と比較的長く、平均2~4匹を産みます。妊娠中は食欲が落ちて妊娠中毒症と呼ばれる体調不良を起こしやすくなるので、注意が必要です。
すべての動物病院で、モルモットを診てもらえるとは限りません。モルモットなどのエキゾチックアニマルを診療対象として受け入れてくれるかどうかは、病院のホームページの記載を見たり、電話で問い合せたりして確認しましょう。モルモットの専門知識の有無がわからない場合は、病気になる前に健康診断を受診し、獣医師のモルモットの扱い方や会話を参考に病院を選ぶのがおすすめです。
健康な時との反応の違いや体型の変化も、動物にとっての重要な情報です。獣医師側も、健康な状態を知っておけば、その後の診断がいくらか容易になります。病気になってから動物病院を探して転々とするのでは、大切な我が子の体力を奪いかねません。元気な時に、信頼できる動物病院を探しておきましょう。
モルモットが診察可能かどうか、事前に調べておくと安心です
モルモットがかかりやすい病気には、歯が伸びて噛み合わせが悪くなることから起きるものが多いです。
生涯すべての歯が伸びることから、モルモットがもっともかりやすい病気です。麻酔をかけて歯を削る処置が必要になることも多いので、日頃から牧草をしっかり与えましょう。不正咬合は牧草の消化不良を起こし、「胃腸うっ帯」「下痢」「皮膚炎」の原因にもなり得ます。
モルモットには、消化不良やストレスなどが原因で胃腸の動きが悪くなることがよくあります。食欲が落ちたり、排泄物(便)が小さくなったり便秘になったりします。
食事内容や消化不良、ストレスなど、さまざまな原因によって起きます。
皮膚のフケやかゆみなどの皮膚疾患も起こりやすい病気です。消化不良や、排泄物を掃除しない不衛生な環境などが原因になります。
膀胱、尿道、副生殖腺、尿管など、さまざまなところに結石ができます。小さい時には内科治療で排出できることも多いですが、手術が必要となるケースも多々あります。
メスだけでなく、オスでもかかるのが特徴です。必要に応じて、血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを行います。投薬以外に手術を行う場合もありますが、犬や猫と比べてモルモットは体が小さいので、検査方法や治療法にも制限があります。主治医と相談しながら、最適な方法を検討していきましょう。
モルモットはあまり高くジャンプできる動物ではないため、ある程度の高さの囲いを作ることで、脱走を防ぐことができます。ただし、モルモットは押す力が強いので、隙間を作って逃げられないように注意しましょう。
モルモットの爪は伸びると巻き爪を起こし、歩行の邪魔になるので、定期的に切りましょう。その際、血管の通っている部分で切ると出血するので注意してください。黒い爪の子は、血管が見えないのでより注意が必要です。1~2ヵ月に一度は爪を切りましょう。
歯を自宅で切るのは、おすすめできません。ニッパーなどで切ると歯が割れてしまうので、必ず動物病院で切ってもらいましょう。また、前歯が伸びている時は自宅では確認の難しい奥歯にも問題が起こっていることが多いので、必ず動物病院を受診しましょう。
短毛種であれば、1・2週に1回程度のブラッシングで十分です。換毛期など、毛がよく抜ける時期はこまめに行いましょう。長毛種は毛玉ができたり、排泄物が毛に絡まってしまったりするので、毎日のブラッシングが必要です。
最初に手でゴミなどを取りながら毛をすき、その後、毛の流れに逆らうようにブラッシングをします。そこで浮いた毛は、毛の流れに沿ってブラッシングすることで取り除きましょう。長毛種はお尻の周りの毛を切って、短くすることも必要になります。体に傷をつけないよう、気をつけて行ってください。
我が子としっかり向き合い、愛情と責任を持って接しましょう
今回ご紹介したモルモットの飼い方は、あくまで飼育の目安です。特に最近では、SNSや動画配信サイトなどにも多くの情報があり、それが適切かどうかわからないまま、安易に真似をして、大切な我が子を傷つけてしまう例も見られます。情報に惑わされず、飼い主さんが我が子をしっかり観察し、その子にとって何が良いことなのか考え、愛情を込めてお世話してあげることが何よりも大切でしょう。