観葉植物を元気に育てるためには、適切なタイミングと方法で植え替えなければなりません。この記事では、観葉植物の植え替えはいつ行えばいいか触れたうえで、植え替えの方法について解説します。押さえておきたいポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
観葉植物の植え替えが必要な理由は、成長すると鉢の大きさがあわなくなるからです。観葉植物は、水分や栄養をしっかり吸収するために根を鉢のなかにどんどん伸ばしていきます。鉢いっぱいに根が広がると、根が伸びるスペースがなくなります。そのままにしておくと観葉植物の成長を妨げる原因になるため、一回り大きな鉢への植え替えが必要です。
また、時間が経って土が古くなると、植物が土からの養分を吸収できなくなり枯れたり弱ったりする原因となります。。植え替えのタイミングで土も新しくしましょう。
観葉植物はどのタイミングで植え替えればいいのでしょうか。ここでは、具体的に解説します。
観葉植物の根が伸びすぎると鉢のなかに収まりきらず、鉢の底や土の表面から出てきます。これは根詰まりしている証拠です。根が鉢いっぱいに広がっており、観葉植物の成長に必要な水分や養分をうまく吸収できなくなっています。鉢の底や土の表面から根が出ているのをみつけたら、なるべく早めに一回り大きな鉢へ植え替えましょう。
土が古くなると、観葉植物に必要な栄養も不足します。観葉植物の葉の色が黄色くなってきたときは、土の栄養が少なくなっている合図です。以前と比べて色つやが悪くなってきたと感じる場合も、土に原因がある可能性があります。
ただし、直射日光の刺激による葉焼けで葉が変色しているケースもあるため、根の状態や置いてる場所の環境から原因を判断しましょう。
観葉植物が大きく育つと鉢とのバランスが悪くなり、倒れやすくなります。たとえば、弱い風が吹いたり人が少し触れたりするだけで倒れる場合は、観葉植物と鉢のバランスに問題がある可能性が高いです。観葉植物が倒れるとダメージを受ける恐れもあるため、植え替えにより適切な大きさの鉢に植え替えましょう。
通常は水やりをすれば、土に染み込んだ水を根が吸収します。しかし、観葉植物が育って鉢のなかに根が広がりすぎると、土のなかで水が染み込むスペースが少なくなるため要注意です。水が染み込むスピードも遅くなり、水やり後に土の表面に水が残る時間が長くなります。残った水が乾燥すると根に届きにくくなるため、根腐れや枯れる原因となり観葉植物の成長にも悪影響を及ぼします。
観葉植物を植え替えるときは、あらかじめ知っておいたほうがいいことがあります。ここでは、植え替えの際に必要なものや注意点を具体的に解説します。
観葉植物を植え替えるためには、複数の道具を用意する必要があります。以下のものをあらかじめ用意しておきましょう。
支柱が必要なのは、背丈が1mを超える大きな観葉植物の場合です。
土、肥料、鉢の選び方については後述するため、そちらもあわせて参考にしてください。
観葉植物の種類によって、植え替えに適した時期は微妙に異なります。基本的には、冬を避けて暖かい時期に植え替えをするようにしましょう。観葉植物はもともと熱帯に生息しているものが多く、寒さに弱い場合がほとんどだからです。植え替えると観葉植物を取り巻く環境も大きく変化するため、観葉植物にとってできるだけ刺激の少ない時期に行いましょう。
観葉植物の種類によって、最適な土は異なります。植物の特性によって土の配合を変えて、適切にお世話をすれば、植物の生長を促し、観葉植物を長く楽しむことができます。ただし、市販の観葉植物用の土でも植え替えできるので、初めての方は観葉植物用の土を使うことをおすすめします。
以下の表を参考に、植え替え前に土を準備しておきましょう。
植物の種類 | 土の種類 | 比率 |
一般的な観葉植物 | 赤玉土(小粒):腐葉土 | 7:3 |
保水性のある土 (ヤシやモンステラなど) |
赤玉土(小粒):ビートモス:バーミキュライト | 5:4:1 |
水はけがよい土 (ユッカやゴムの木) |
赤玉土(小粒):腐葉土:パーライト | 6:3:1 |
水はけと通気性のある土 (サボテンや多肉植物など) |
赤玉土(小粒):腐葉土:パーライト | 5:1:4 |
一般的な観葉植物の配合比率は、赤玉土(小粒)7:腐葉土3です。乾燥に弱い植物(ヤシやモンステラなど)には、保水性のある土が適しています。赤玉土5:ピートモス4:バーミキュライト1。
乾燥を好む植物(多肉植物やサボテン、サンスベリアなど)には、水はけと通気性のある土が適しています。赤玉土5:腐葉土1:パーライト4。また、春から秋の生長期と冬場の水やりに差が必要な植物(ユッカやゴムの木)には、水はけの良い土が適しています。
那部さん
根っこの太さによって、土の配合を変えることもあります。太い根っこは、乾燥に強い植物が多いため、水はけの良い土の配合が良く、細い根っこは、水を好む植物が多いのため、しっかりと保水力のある土の配合を好みます。
観葉植物を植え替えるときは、一回り大きな鉢を選びます。鉢の大きさは1寸や1号と表現されており、3cm刻みでサイズがわかれています。いま使用している鉢よりも1サイズ上の鉢を選び、3cm程度大きくなるようにしましょう。
観葉植物を大きく育てたい場合も、急に大きすぎる鉢へ植え替えてはいけません。大きすぎる鉢に植え替えると、水やりの際に根が吸収しきれない余分な水分が土に残ります。その結果、根腐れにつながる恐れがあります。
観葉植物を植え替えるときに肥料を与える際、土のなかにあらかじめ肥料を混ぜ込む方法があります。この方法は元肥(もとごえ、もとひ)とよばれています。
元肥を与える場合は、ゆっくり効果のあらわれる遅効性や緩効性の肥料を選びましょう。肥料を多く与えすぎたり、肥料の種類によっては根に触れると肥料焼けが生じる恐れがあります。
ここでは、観葉植物をどのように植え替えればいいかについて、順を追って解説します。
もともと植えていた鉢から観葉植物を丁寧に抜き取ります。なかなか抜けない場合は無理に引き抜いたりはせず、手やスコップなどで鉢の外側から優しく叩きましょう。隙間ができると鉢から抜き取りやすくなります。観葉植物の根が鉢の底から出ている場合は、あらかじめハサミで切ったうえで作業するとスムーズです。
抜き取った観葉植物は、下から3分の1程度まで軽く根をほぐしましょう。古い土を多く落としてみて自然に落ちる余分な根を取り除きます。
新しい鉢を用意し、底に鉢底ネットを敷きます。鉢底ネットのうえに軽石を2~3cm程度重ね、3cm程度土を入れます。取り出しておいた観葉植物を置き、根の間にも土が入るように鉢を軽く揺すったり、細い棒などで土をつついて根と土がしっかり馴染むようにしてください。さらに、水やりをした時に水があふれないように鉢の縁から2~4cm程度下のあたりまで土を追加します。
植え替えの最後に水やりをします。まんべんなく水を与えながら幹を優しくゆするのがポイントです。このようにすると、根の隙間に入りきっていない土が、水とともにしっかり密着し、水が全体に行き渡るようになります。土の量が入れたときより下がっていたら土を足して再び水を注ぎましょう。
鉢底からでてくる水が透明で土の高さも変わらなければ水やり完了です。
ここでは、観葉植物を植え替える際に理解しておきたいポイントを具体的に解説します。
普段、根は土のなかに埋まっていて保護されていますが、植え替えの際に触れて傷がつかないように注意しましょう。観葉植物の根が傷むということは、人間にたとえるとケガをした状態と同じです。根だけでなく全体的に元気がなくなる恐れもあります。万が一、根に傷がついたときは直射日光を避けた明るい半日陰に置き、水の吸い上げを助けるため観葉植物用の活力剤を与えましょう。
観葉植物の植え替え時に用意した土が余ったときは、適切な方法で管理しましょう。袋の口を開けたまま放置していると、乾燥して質が低下したり、虫が入ったりする可能性があります。袋の口にテープを貼ってしっかり閉め、直射日光や雨に当たらないできれば涼しい場所で保管してください。植え替えは定期的に行うため、土も正しく保管しておきましょう。
観葉植物を植え替えたら、どのように世話をすればいいのでしょうか。ここでは、具体的な世話の仕方を解説します。
植え替えは観葉植物にとって環境が大きく変化するため、とてもデリケートな状態になります。植え替え後の観葉植物は、直射日光を避けられる場所に置きましょう。カーテン越しの日陰に1週間程度置き、強い風にも当たらないようにしてください。
植え替えをしたばかりの観葉植物の根は、水分をうまく吸収できません。土にも水分が残りやすく、根腐れしやすい状態であるため、土がしっかり乾燥したことを確認したうえで水やりしましょう。乾燥が心配な場合は、霧吹きを使って葉に水をかけるようにするのがおすすめです。1~2週間程度が経過すれば、以前と同様に水やりできるようになります。
観葉植物を植え替えたばかりの時期に肥料を与えると、最悪の場合、肥料焼けや枯れる恐れがあります。最低2週間は肥料を与えないようにしてください。
どうしても肥料が必要なときは、種類に注意しつつ、植え替えの際に土に混ぜて元肥として与えましょう。
観葉植物が大きくなってきたら植え替えが必要です。新しい鉢や土を用意し、観葉植物に適した環境へ植え替えましょう。鉢底ネットや軽石なども必要なため、あらかじめきちんと用意しておいてください。
那部さん
古く固くなってしまった土は、空気の通り道(通気性)や水はけ(排水性)が悪く、根腐れが起きやすくなります。いわば栄養失調の状態なので、植物がよく育つフカフカの土を作りましょう。