ポトスは、観葉植物のなかでも特に人気があります。ポトスを自宅で育てる場合、具体的にどのようなポイントに気を付けたらいいのでしょうか。この記事では、ポトスを育てたいと考えている人に向けて、ポトスの種類や育て方を徹底解説します。ポトスの栽培に興味がある人はぜひ参考にしてください。

ポトスってどんな植物?

ポトスの葉

ポトスは、サトイモ科ハブカズラ属(エピプレムヌム属)の植物です。南太平洋のソロモン諸島原産で、熱帯雨林で他の木に絡みつきながら自生しています。かつてはポトス属(Pothos属)に分類され、学名も Pothos aureus とされていましたが、現在は Epipremnum aureum に分類されています。日本では引き続き「ポトス」の名前で親しまれています。

つる性の植物で、自生地では木を這い上って成長します。日本では支柱を立てて誘引し、上に伸ばす仕立てで流通することもあります。

日本のほとんどの地域では通年戸外で育てることができませんが、一年を通じて温暖な沖縄では野生化したポトスを見かけることがあります。

ポトスの花言葉

ポトスはめったに花が咲かないため、一般的な花言葉は定着していません。ただし、東南アジアの一部の地域などでは、ポトスは富の象徴と考えられており、「マネープラント」(Money plant)と呼ばれることがあります。なお、この呼び名は国や地域によって他の植物を指すこともあります。

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ポトスの種類

ポトスの種類

ポトスにはさまざまな種類があります。ここでは、ポトスの具体的な種類について、代表的なものを解説します。

ライムポトス

ライムポトス

ライムポトスは、葉の色がライム色をしているのが特徴的です。しっかり日に当てながら育てると明るくて鮮やかなライムグリーンの葉をつけます。あまり光に当てないで育てていると、葉色がくすんでしまい、鮮やかなライムグリーンが保てなくなります。ライムポトスの美しい色を引き出すためには、明るい場所で育てましょう。

エンジョイ

ポトスエンジョイ

エンジョイは、葉に白やアイボリー色の斑が入る品種です。2007年にインドで生まれた品種ですが、瞬く間に世界中で人気になり、今やポトスの定番品種になりました。白やアイボリー色の斑が入っているので、置いておくとその一角を明るく演出することができます。

マーブルクイーン

マーブルクイーン

マーブルクイーンは、マーブル模様のような、白やクリーム色に近い斑が入る品種です。斑入りのため光合成効率が低く生育が遅いので大きく育てるには時間がかかりますが、株姿が長く安定しやすいというメリットもあります。あまり強い光に当てると葉が日焼けしてしまうので、直射日光が当たる場所に置くのは避けましょう。

ポトスを育てるのに適した環境

日当たりの良い場所

ポトスを育てるときはどのような環境を選ぶとよいのでしょうか。ここでは、ポトスを育てる際の環境について解説します。

ポトスに適した日当たり

一年を通して直射日光が当たらない明るい場所で育てます。品種によって強い光にどのくらい耐えられるかは異なりますが、葉模様が入った品種(斑(ふ)入り品種)は直射日光が当たると葉焼けしやすいため、明るい日陰などやわらかな光の当たる場所が適しています。

ただし、光が不足すると模様が薄くなることもあるので注意が必要です。秋から冬にかけての柔らかい光であれば多少直射日光が当たっても葉焼けの心配は少なく、比較的安心です。明るいけれど直射日光が避けられる場所、夏の西日が避けられる窓辺などが最適です。

あまり光が無い場所で育てると、茎がヒョロヒョロと間延びする「徒長(とちょう)」という状態になってしまいます。株姿が乱れると同時に病気にもかかりやすくなるので、あまり暗い場所で育てるのはおすすめできません。

ポトスに適した気温

ポトスの栽培に適している気温は、15〜25℃程度です。しっかり成長させるためには、15℃以上をキープしましょう。ポトスを育てるのにある程度の明るさは必要ですが、冬に窓辺に置くと窓からの冷気でポトスが傷んでしまうことがあります。冬の間はちょっと窓から離れた場所に置いたり、ハンギング仕立てにして高い位置に吊っておくようにしましょう。

那部智史さんプロフィール画像

那部さん

暖かい場所に置くのはよいのですが、暖房器具の風が直接当たると乾燥によって葉が丸まったり、チリチリに傷んだりすることがあるで気をつけましょう。

春〜秋は戸外で、冬は室内でポトスを育ててみよう

屋外のポトス

ポトスは室内で楽しむ観葉植物として人気ですが、温かい時期であれば戸外で育てることもできます。4月ごろに最低気温が12〜15℃を上回るようになったら、戸外の直射日光が当たらない場所に出してみましょう。秋はやはり、最低気温が15℃を下回るようになったら室内に取り込みます。

那部智史さんプロフィール画像

那部さん

植物は風に吹かれていると枝が引き締まった健康的な株姿になります。徒長の防止のためにも、春〜秋は戸外で育ててみてはどうでしょう?

ポトスの育て方

葉水

ポトスを育てるうえでは水やりや肥料などにもポイントがあります。ここでは、ポトスの育て方について具体的に解説します。

ポトスの水やり

鉢の土が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水を与えます。直射日光を避けて育てていると、戸外に出していても雨が当たらない場所になってしまうことがあります。空気が乾燥した状態が続くと、葉や茎にハダニという害虫が発生し、葉がかすれたように傷んでしまうことがあります。

ハダニは水が苦手なので、水やりとは別に、目安として週に2回ほどポトス全体に霧吹きで水をかける「葉水(はみず)」をすると予防になります。春〜秋に戸外に出して育てる場合は、水やりが必要ない時でも、ほかの植物の水やりのついでにポトスに水をかけてあげるのがおすすめです。

冬も、鉢の土の表面が乾いてから水を与えます。寒い時期に土が過湿な状態が長く続くと、根が傷んでしまうことがあるので、水のやり過ぎにはくれぐれも注意しましょう。水やりをする場合は、土の表面を湿らせるだけではなく、鉢底から流れ出るまでしっかり水を与えて下さいね。

ポトスの肥料

それほどたくさんの肥料は必要ありませんが、与えるのであれば2か月に1回緩効性化成肥料(ゆっくり効く粒状肥料)を与えるか、水やり代わりに2週間に1回ほど液体肥料を与えます。それほど肥料が必要ないとはいえ、肥料が足りない状態、要するに栄養が足りない状態が続くと、根元寄りの葉が黄ばんでくることがあります。以前より葉が黄色っぽくなってきたかも?と思ったら、肥料を与えてみましょう。

気温が低い時期はあまり生育しないので肥料は与えませんが、冬でも室内の気温が18℃以上ある場合は成長が続くので、葉が黄ばんできたりしているようであれば肥料を与えてもよいでしょう。

植え替え

ポトスは根の成長が早いため、1~2年に1回は植え替えが必要です。それまでよりもひと回り大きな鉢を用意し、株を植え替えましょう。植え替えに適している時期は、5月中旬~8月頃です。

植えかえはまず、鉢を叩いたり揉んだりして鉢から根鉢をゆるめ、株を傷めないように丁寧に鉢を外します。一回りから二回り大きな鉢(直径でいうと3〜6cmほど大きな鉢)に鉢底網と鉢底石を入れ、市販の観葉植物用の培養土で植えつけます。植え替え後は7〜10日ほどは明るい場所を避けて置き、その後、栽培場所に移動させましょう。

支柱を使った育て方

ポトスは鉢に植えつけたままだと鉢の縁から枝垂れて育っていきますが、支柱を立てることで上に伸ばしていくこともできます。支柱にはヘゴ棒やアサガオ用の行灯(あんどん)を使います。

ヘゴ棒はヒカゲヘゴというシダの根を加工した角棒で、メッシュ状になった資材です。植え付けの際にこれを鉢の中心に刺しておき、ポトスをグルグルと巻きつけるように誘引してビニールタイなどで固定します。水やりの際にはヘゴ棒の上から水をかけるようにしていると、巻きつけたツルから根が出て、ヘゴ棒に着生していきます。

アサガオ用の行灯は支柱とリングがセットになったもので、サイズさえ合えばすでに育てているポトスの鉢にも設置できます。ポトスのツルが支柱の外をまわるように誘引し、ビニールタイで固定していきます。

ポトスを大きく育てる方法

白い天井のライティングレールからポトスが垂れ下がる明るいオフィスのエントランス

ポトスを大きく育てたい時は、常に葉焼けしない程度の明るさと気温20℃以上の環境に置き、水切れをさせないように水を与えましょう。また、十分な肥料を常に与えることも重要です。ただし、肥料を与えすぎると根が傷んで枯れてしまいます。

ポトスの葉を増やして大きくしたい場合は、春のうちに緩効性肥料を与えましょう。遅くとも5月頃までに与えるのが目安です。ポトスの成長が進んできたら、さらに液肥を追肥します。月に1回の頻度で観葉植物用の置き肥を与えるとより効果的です。

春~秋にかけての時期は、水を多めに与えて鉢土の湿り気を保つとともに、乾燥しすぎないよう葉水も活用し湿度が高い状態を維持します。冬は耐寒性を高めるため、水の量を控えてなるべく乾燥させましょう。

ポトスを小さく育てる方法

レンガ壁の前に吊るされた白い鉢のポトスが、緑の葉を伸ばすおしゃれな室内

ポトスの葉を増やさずなるべく小さめに育てたい場合は、葉先が下に垂れ下がるようにして栽培しましょう。ポトスは巻き付くものを探すように伸びていく性質があります。そのため、垂れ下げて栽培すると、長く伸びるために葉が小さく育っていきます。

小さく育てたいなら、肥料も基本的には与えなくて構いませんが、まったく与えないと栄養不足で葉の色が薄くなる可能性もあります。適度に水や最小限の栄養を与えながら育てましょう。

ポトスをこんもり育てるには

ポトスはそのままにしておくとどんどんツルを伸ばしてしまい、こんもりと茂りません。こんもりと茂らせたい時は、一度つるの先端を長さ20cmくらいに切り戻しましょう。切ったところから新しいつるが伸びてくるので、これも葉が3〜4枚になったら先端を摘み取ります。

短く切ったり芽を摘んだりすることで枝分かれし、こんもりとした株姿になります。切ったツルは挿し木しておいて、その後、根がしっかりと張ったら植え換えの際に同じ鉢に寄せ植えにすると、より密度高くこんもりするはずです。

ポトスを増やす方法

挿し木

ポトスは増やして楽しむ方法もあります。気根がついているツルを選び、葉が2〜3枚ついている部分を切ると、より発根しやすくなります。切ったツルは湿らせた挿し木用の土に挿して、風がなどでツルが揺れない場所で、水切れさせないように管理しましょう。一ヶ月ほどすると根が張って、鉢に植えつけられる状態になります。

ポトスの水挿し(みずざし)

ポトスはツルを切って、水を入れたコップなどに入れておくと、水の中で根を伸ばしてくる強い性質があります。このように水に入れて挿し木することを「水挿し」といいます。グラスなどに飾りながら増やすことができ、とてもお手軽なのでおすすめです。

ポトスの増やし方を水挿し・挿し木・株分けに分けて解説ポトスの増やし方を水挿し・挿し木・株分けに分けて解説

ポトスを育てるときに注意するポイント

黄色くなった葉

ポトスを育てるときはどのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。ここでは、具体的なポイントを解説します。

水はけのよい用土を選ぶ

ポトスは基本的に高温多湿を好む植物ですが、極端に水はけが悪いと根腐れにつながるため、できるだけ水はけのよい土を使ってください。市販されている観葉植物用の培養土を使用すれば問題はありません。自分で土をブレンドする場合は「小粒の赤玉:腐葉土:川砂=6:3:1」の割合で混ぜましょう。

炭そ病にかかることがある

春~秋にかけての時期は、ポトスが炭そ病にかかる可能性もあります。炭そ病はカビにより引き起こされる病気で、葉や茎に灰白色や黒色の斑点ができるのが特徴です。炭そ病を防ぐためには定期的にポトスを剪定し、風通しをよくする必要があります。また、炭そ病を予防するためには、湿気が多い時期は水やりを控えめにし、土の表面が乾いてから水を与えるようにしましょう。

カイガラムシやハダニがつきやすい

ポトスには、年間を通してカイガラムシやハダニがつきやすいです。基本的には、葉水を与えているとカイガラムシやハダニを予防できます。万が一、カイガラムシが発生した場合はこそぎ落として駆除しましょう。ハダニが発生した場合は、殺虫剤をを使って対処するのが効果的です。害虫がつくとポトスの成長を妨げるため、早期にしっかり対処しましょう。

まとめ

ポトスの栽培ポイントまとめ

ポトスは鮮やかな葉色や斑点模様を楽しめる植物です。屋内と屋外のどちらでも育てられます。育て方によって大きく育てたり、コンパクトに保ったりと、さまざまな楽しみ方が可能です。病気や害虫への対策もしっかり取り入れましょう。

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