こぶしは、日本で古くから親しまれている植物です。育てやすいため、ポイントを押さえれば園芸の初心者でも上手に育てられます。
この記事では、こぶしの購入を考えている人に向けて、こぶしの花の特徴や種類などについて解説します。育て方やモクレンとの違いについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
こぶしは、日本の野山でよくみられる植物です。田植えの時期を知らせる花として活用されてきました。4月上旬になると、白い花を咲かせます。育てやすいですが、大きくなるため屋外で育てるのがおすすめです。
こぶしについて特徴をまとめると、以下のとおりです。
こぶしは暑さと寒さの両方に耐えられるため、初心者でも比較的育てやすいです。
こぶしは、人々に田植えの時期を知らせていたため、田打桜や種蒔桜という呼び名もあります。昔から日本各地で親しまれてきたことから、地域によって異なる名前で呼ばれていまいた。
たとえば、北海道のアイヌ族は、こぶしをオプケニやオマウクシニなどと呼んでいました。これらは「放屁する木」や「良い匂いを出す木」という意味です。
こぶしは春に花を咲かせるため、「歓迎」や「友情」という花言葉がつけられています。
こぶしにはさまざまな種類があります。具体的な種類について解説します。
シデこぶし(ヒメこぶし)は、日本でよくみられるこぶしの種類です。シデこぶし(ヒメこぶし)は、さらに品種が細かくわかれています。比較的、樹高が低く、庭でも育てやすいです。
以前は絶滅危惧Ⅱ類とされていましたが、現在では準絶滅危惧になっています。
キタこぶしは、主に東北や北海道でみられるこぶしの種類です。一般的なこぶしよりも開花時期が遅く、5月頃に花を咲かせます。花や葉が大きく、樹高は20m程度になります。
こぶしは単に美しい花を楽しめるだけでなく、さまざまな用途のために活用されています。たとえば、こぶしは漢方薬としても重宝されています。花はいい香りがするため、香水の原料として使用される場合も多いです。こぶしの種を使った果実酒もあります。
また、俳句においては、こぶしは春を表す季語として使用されています。
こぶしを育てるときは、さまざまなポイントを意識する必要があります。ここでは、こぶしの育て方を解説します。
こぶしを植え付けるときは、植える場所に完熟堆肥や腐葉土などを混ぜ込みましょう。こぶしは大きく成長するため、広めのスペースを確保する必要があります。
こぶしは基本的に植え替えを好みません。将来的にどの程度大きく成長するか考慮し、長く育てられる場所を選んで植えましょう。こぶしの種類によっても成長後にどの程度の大きさになるかは異なるため、注意が必要です。
植え付けをした直後は、土がしっかり乾いているのを確認しながら水やりをします。そのため、特に最初のうちは、こぶしの様子をよく観察しておくことが大切です。
ただし、植え付けをしてしばらく経てば、こぶしに水やりをする必要はありません。これは、こぶしの根が水をしっかり吸う力をもっており、わざわざ水やりをしなくても雨などの水分を土から十分に吸収できるからです。
若木のうちは肥料を年3回与えます。休眠期の1月、成長期の5月、充実期の9月に骨粉が含まれている油かすや緩効性化成肥料を与えましょう。ただし、9月に与えるときは、チッ素が少ない肥料を選ぶ必要があります。
木が成長した後は、肥料を与えなくて構いません。与えるとしても、冬に少量の肥料を株元にまく程度にしましょう。
こぶしの植え付けに適しているのは、2月下旬から3月にかけての時期です。ただし、根が張っていない状況で気温が下がると枯れる恐れがあります。寒い地域でこぶしを育てる場合は、暖かくなる4月以降に植え付けましょう。
深植えにならないよう、根鉢を軽く崩して浅めに植えるのがポイントです。根の3分の1程度を目安にして、崩すと良いでしょう。
基本的に植え替えはしないようにしてください。どうしても植え替えが必要な場合は、植え付けるときと同じポイントを意識しましょう。
こぶしを増やしたい場合は種をとりましょう。こぶしの花が咲くと、赤い実ができます。実は秋になると裂け、種が出てきます。実が裂け始めたら、まだ裂けていない実をとって陰干ししてください。数日程度そのままにしておくと、種が出てきます。果肉部分を取り除いて洗い、乾かさないようにしましょう。そのまま種をまけば、こぶしを増やせます。
こぶしには、うどんこ病という病気がつく場合があるため注意が必要です。うどんこ病になると、こぶしの葉が白い粉で覆われたような見た目になります。梅雨や夏の初めに発病しやすいため、あらかじめ薬剤をまいて予防しましょう。
また、カイガラムシやカミキリムシが発生する場合もあります。いずれも枝や幹から栄養を奪うため、こぶしを弱らせる原因になります。見つけ次第、薬剤で駆除しましょう。
こぶしによく似た植物として、モクレンがあります。モクレンのうちハクモクレンはこぶしに似た白い花を咲かせる樹木であるため、間違えやすいです。基本的には、こぶしよりもモクレンのほうが大きい花を咲かせます。以下では、モクレンの特徴を解説します。
ハクモクレンは、樹高20mになる大きな木です。花の大きさが8~10cm程度になり、花びらは9枚あります。花はすべて上を向いて咲くのが特徴的です。花が咲き終わった後に葉が出てきます。
サラサモクレンは、モクレンとハクモクレンをかけあわせてできた品種です。花は淡いピンク色をしており、桜のように華やかな印象があります。サラサモクレンはさらにさまざまな品種にわかれており、さまざまな花の姿を楽しめます。
こぶしとモクレンの違いをまとめると、以下のとおりです。
こぶしとモクレンは混同されやすいですが、実際にはさまざまな違いがあります。違いをよく理解したうえで、こぶしの栽培に挑戦しましょう。
こぶしとモクレンは実にも違いがあります。ここでは、それぞれの実の特徴付いて解説します。
こぶしの実は、花が咲き終わった後にできます。実は、最初は黄色ですが次第に赤になっていきます。見た目がゴツゴツしているのが特徴的です。白い糸を引いて実から種がぶらさがる場合もあり、この白い糸は珠柄や種糸などと呼ばれます。
モクレンの実は、膨らみ始めると地面に落ちます。膨らむ位置は一定ではなく、袋果の真ん中が膨らむ場合もあれば、先端が膨らむ場合もあります。
こぶしはひとつの実に種が1~2個しか入っていません。それに対してモクレンは、ひとつの実に種が10個程度も入っています。
こぶしは初心者でも育てやすく、春には美しい花が楽しめます。古くから日本で親しまれてきた植物であるため、自宅で育ててみるのもおすすめです。ポイントを押さえて丁寧に育てましょう。
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