魚料理に添えられていることの多いタイム。お料理に使うだけならスーパーマーケットで手に入りますが、実は、あまり手間をかけずに自分で育てることもできるんです。タイムは強い植物で、庭に植えっぱなしでも冬を越してくれます。
ここでは、人気のハーブであるタイムの育て方をご紹介。育てる場所や、土や肥料の選び方、さらに、タイムの増やし方などを詳しく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
タイムはシソ科イブキジャコウソウ属のハーブの総称で、その数はおよそ350種類もあります。強い抗菌作用があり、清涼感のある独特の香りから魚や肉料理の匂い消しに使われます。「コモンタイム」が料理用として一般的です。
タイムの生長の仕方は「立性」と「ほふく性」の二種類があります。立性のタイムは立ち上がるように成長し、30センチ以上の高さに育ちます。ほふく性のタイムは土や花壇のふちなどに沿って育ち、丈は10センチ程度です。
タイムは日当たりと風通しの良い場所を好みます。また、寒さに強く、越冬させるために防寒の必要がありません。
地植えの場合、雪の降る地方では地上部の葉は枯れてしまいますが、根は生きているので、暖かくなるとまた新しい芽が出てきます。
また、ベランダに置いたプランターなどに鉢植えして育てることもできます。そのときは、10センチくらい間隔を開けて植え付けるようにしましょう。
地植えで育てている場合、水やりは必要ありません。
鉢植えで育てている場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。冬場は生長が遅くなっているので、土が乾いた状態で1~2日程度経ってから水をあげるくらいがちょうどいいでしょう。
タイムは水はけのよい土を好みます。市販の用土で育てる場合は、ハーブ用や、山野草用の土を選びましょう。
タイムは丈夫な植物で、肥料は特に必要ありません。もし、生育状況がよくない場合は、4月から6月頃に緩効性の肥料を与えるとよいでしょう。
春か秋に枝を5~10センチほどの長さに切り、下のほうの葉を取り除いて切り口を斜めに切ります。
枝を1~2時間ほど水につけ、給水させたらバーミキュライトを入れた鉢に挿し、明るい日陰に置いて発根するのを待ちましょう。葉が育ってきた頃に庭や鉢に植え替えます。
圧条法とは、伸びた枝を折り曲げて枝先を土中に固定し、発根させてから切り離す方法です。こちらの方が、挿し木より簡単です。
圧条法で増やす時は、曲げた枝が戻ってしまわないよう、U字にした針金などで枝を固定しましょう。針金を外しても枝が持ち上がらなければ発根しているので、元の株から枝を切り離して大丈夫です。
タイムの種をまきには、「春まき」と「秋まき」があり、4~5月頃もしくは9~10月頃が種まきに適しています。小さめのポットに土を入れ、種が小さいので重ならないように気をつけながらまきましょう。
種をまいたら土を薄めかぶせ、種が流れないように、きり吹きで水を与えます。じょうろは使わないようにしましょう。
発芽までは乾燥しないように気を付け、土が乾いたら水をあげます。芽が出たら日当たりのよい場所に置いて、本葉が3~4枚出たら生育の悪い芽を間引きます。
草の高さが5~6センチになったら、庭や大きな鉢に植え替えましょう。
タイムは生長が早いので、鉢植えの場合は年に一度は植え替えを行いましょう。植え替えは3~4月、もしくは9~10月に行います。
まず、タイムを鉢から取り出して、固まった土を優しく取り除きます。鉢に新しい土と苗を入れて、植え替えた後はたっぷり水をあげましょう。タイムの根はよく伸びるので、多少傷ついても問題ありません。初心者でもチャレンジしてみましょう。
タイムの葉は一年中収穫できますが、生長の遅くなる冬は控えめにしましょう。
収穫するときは、枝の根元から切るようにします。一度にすべての葉を収穫してしまうと生長が止まってしまうことがあるので、一回に収穫する量は全体の三分の一程度までにしましょう。
タイムは特に魚料理と相性がよく、調理の際にタイムの葉を加えることで、臭みを消して、爽やかな香りを与えてくれます。生魚だけでなく缶詰の魚とも相性がいいので、缶詰を調理する際に、タイムを添えるのもおすすめです。
効能で有名なのは殺菌作用です。ハーブティーにしたり、うがい薬にしたりすると、口腔内の殺菌や消毒の効果があります。免疫力を高める効果もあると言われているので、体が弱っているときにタイムのハーブティーを飲むのもおすすめです。
タイムは丈夫なため、病気にかかることがほとんどありません。また、ハーブには虫を寄せ付けない効果があることから、害虫もほとんどつきません。
ただ、風通しの悪いところが苦手なので、葉が蒸れて株が弱らないように注意しましょう。