この記事では人気のシンボルツリーであるシマトネリコの育て方に興味がある人に向けて、育て方のチェックポイントをお伝えします。シマトネリコを育てるにあたって、剪定の時期や鉢植えの植え替えの方法など注意点を解説していきます。
シマトネリコは、熱帯や亜熱帯の山間に自生するモクセイ科トネリコ属の常緑樹。「とても丈夫で育てやすい」「空間を爽やかで涼しげな雰囲気に仕上げてくれる」などの理由から、お庭や室内のシンボルツリーとして人気があります。
まずは、シマトネリコの人気の秘密を深掘りしていきましょう。
シマトネリコは、常緑樹特有の陰鬱な雰囲気がない樹木と言われています。その理由は、小さくツヤのある柔らかな葉が風になびいたときの爽やかで涼しげな印象にあるでしょう。規則的に並ぶ小さな葉は奇数羽状複葉という形状で、光沢のある濃緑色が爽やかさを一層引き立てます。
シマトネリコは暑さや日差しに強い耐暑性のある樹木です。日向を好みますが、日陰でも育てられます。
葉や樹姿が美しいシマトネリコですが、初夏の5〜6月には枝先に大きさ3mmほどの小さな白い花をたくさん咲かせます。この白い花々は綿が付いているようにも見えてよく目立ち、シマトネリコが見せる貴重な華やかさを感じられることでしょう。また、シマトネリコは金木犀と同じくモクセイ科の分類なので、シマトネリコの花は金木犀のように良い香りがします。
病害虫への耐性もあるシマトネリコ。そのため、枯れる心配はほとんどありません。病害虫に強いということは、薬剤など をまく必要もないのでペットやお子さんのいるご家庭にも安心です。
シンボルツリーとして人気のシマトネリコですが、実は「カブトムシの木」としても知られています。カブトムシが好む樹液を出すので、カブトムシが集まりやすいそうですよ。
次に、シマトネリコの育て方について紹介します。置き場所や温度などシマトネリコが好む生育環境をはじめ、病害虫や植え付け・植え替えの対応方法まで、基本的な育てから見ていきましょう。
シマトネリコは日向を好み、日陰では枝葉が間延びするなど生育が悪い樹木です。できるだけ日当たりが良く、風通しの良い場所で育てるようにしてください。
シマトネリコは夏の暑さに大変強い樹木でもあります。冬場の気温マイナス3度までは耐えられますが、本来は暖かい気候が得意。シマトネリコが過ごしやすいよう比較的暖かい地域であれば地面に直接植え付けられる一方で、寒い地域の場合は鉢植えにして室内で観葉植物として育てることをおすすめします。
シマトネリコは水はけのよい土を好みます。市販されている観葉植物専用の培養土を使ったり、自分で作る場合は赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使ってください。
シマトネリコの庭植えなら早春に寒肥(元肥)として有機質肥料を、鉢植えなら初夏に化成肥料を与えましょう。ただし、肥料を与えずともすくすくと育っているようなら無理に肥料を与える必要はありません。
シマトネリコの庭植えの場合、根付くまでは水やりが必要ですが根付いてからの水やりは基本的に必要ありません。鉢植えの場合は、鉢の表面の土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
シマトネリコは特筆すべき注意点のない比較的病害虫に強い木です。強いていうなら新芽を食べるイモムシやハマキムシにはご注意を。
シマトネリコの植え付けや植え替えは春が適期。庭植えの場合、シマトネリコが大きく広がっても構わないように植え付けたい空間にはゆとりを持たせましょう。初夏に咲く白くて小さな花は開花後、地面に花がらを落とします。この花柄は大量に地面に落ちるほか新しく芽を出す可能性があるので掃除の行き届く場所で植え付け、植え替えることをおすすめします。
また、庭植えの場合も鉢植えの場合も、根が張るまでは風で倒れやすいので支柱や添え木で転倒を防ぐようにしてください。
シマトネリコは枝の伸びが良く、庭植えの場合、放っておくと高さ10メートル以上になるので剪定が不可欠です。枝葉が大きく広がりすぎないように必要に応じて剪定を行います。シマトネリコの剪定の基本は、枝の生えぎわから切り落とすこと。古い枝はざくざくと切って量を減らし、新しい枝に高さをそろえましょう。
例えば、初夏までに伸びた枝を花が咲き終わった後に毎年剪定すれば、開花を楽しみながら樹形樹形をコンパクトに保つという1年単位のルーティーンが完成します。あまりにも葉っぱの量が多いと、風通しが悪く病害虫の被害に遭いやすくなるので注意してくださいね。
シマトネリコは基本的に育てやすい樹木ですが、地植えで育てる場合は枝葉を広げるその生育力を煩わしいと感じてしまうケースも。そんな場合はプランターを使った鉢植え栽培を検討ください。鉢植えであれば、地植えのようにシマトネリコの根が成長しにくくなり生育力がいくらか緩やかになるのです。ただし、1〜2年に1度は植え替えをしてください。持ち前の生育力の影響で鉢の中が根で満杯になり、根詰まりを起こしてしまうため。
また、シマトネリコは暖かい気候が得意な樹木なので、お住まいの地域が寒冷地の場合も鉢植えにして室内で観葉植物として楽しむと良いでしょう。
涼しげで爽やかな見た目から、シンボルツリーとして注目を集めるシマトネリコの育て方について解説してきました。水やりや肥料が特段必要なく鉢植えにすれば屋内でも育てられ、たいへん育てやすい樹木。初めてのシンボルツリーをお探しの方にぴったりです。魅力の詰まった常緑樹シマトネリコの育て方をマスターして、すくすくと伸びやかにシマトネリコを育ててあげてくださいね。