冬でも元気に花を咲かせるパンジー・ビオラですが、実はきちんとお手入れをすれば6月頃まで咲いてくれることも。そこで大事になってくるのが、終わった花を摘む「花がら摘み」と伸びた茎を剪定する「切り戻し」という作業です。

この記事ではパンジー・ビオラの花を長く楽しむために、花がら摘みと切り戻しの方法について解説していきます。

札埜高志さんプロフィール画像

札埜さん

花がら摘みも切り戻しも茎をカットする作業ですが、カットする位置など具体的な方法には違いがあります。それぞれ目的や注意点、コツも合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

花がら摘みとは:すでに終わった花を摘むこと

花がら摘みとは:すでに終わった花を摘むこと

そもそも花がら摘みとは、花が終わっても散らずに残っている花を手で摘んだり園芸用のハサミで取り除く作業のこと。枯れた花をそのまま放置すると、カビや病害虫が発生してしまったり見栄えも悪くなってしまうため、タネを採取する場合を除いて、花が終わったタイミングで行うのがおすすめです。パンジーやビオラのタネを採取したい場合は、花が枯れてもそのままにしておきましょう。

莢の裂開とタネ

ビオラの裂開した莢とタネ

花がら摘みの3つの目的

花がら摘みの3つの目的

花がら摘みの目的として、次の3つが挙げられます。

  1. 花を長く多く咲かせるため
  2. カビや病害虫の発生を予防するため
  3. 花壇や寄せ植えの見栄えを良くするため

花がら摘みの目的1.花を長く多く咲かせるため

花がら摘みの効果

左が放置した株,右が毎週1回花がら摘みを行った株

花がらをそのまま放置するとやがてタネを作ります。タネ作りにはたくさんの栄養とエネルギーを使うため、花がらを摘むことでその分のエネルギーを株全体やこれから咲く花へ使うことができます。そのため、花がら摘みを行うと株全体の寿命が伸び、花を長く多く咲かせることができるんです。

花がら摘みの目的2.カビや病害虫の発生を予防するため

アブラムシとアザミウマ

ビオラにアブラムシ(茶色)やアザミウマ(白色)が発生している様子

花がらを残しておくと、雨水が溜まりやすくなるため湿度が上がり、株が弱ってしまうことも。風通しも悪くなり、カビが生えたり病害虫が発生してしまうことがあるため注意しましょう。

花がら摘みの目的3.花壇や寄せ植えの見栄えを良くするため

せっかくキレイに花壇や寄せ植えを整えていても、枯れたりしおれたりした花をそのままにしておくと見栄えも悪くなってしまいます。手入れの行き届いた庭づくりをするために、気づいたときにサッと摘んでしまうのがおすすめです。

花がら摘みのタイミング

花がら摘みは、基本的には花が枯れてきたり色があせてきたタイミングで行いましょう。タネをつける前であればいつでも大丈夫ですが、病害虫予防のためにも気づいたときに早めに行うのがおすすめです。

また、よりたくさんの花を咲かせるために少し早いタイミングで行うこともできます。花がしおれる前に摘んだ場合は、切り花として室内に飾って楽しむのも良いでしょう。

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花がら摘みの方法

花がら摘みの方法

花がら摘みの方法は簡単で、花がらがついた茎(花がつき葉がついていない茎を花茎と言います)の付け根に近いところからカットするだけ。手で取っても大丈夫ですが、なるべく他の花や茎を傷つけないように園芸用のハサミを使うのがおすすめです。

花がら摘みと切り戻しのカット位置

花がら摘みでのカット位置(赤矢印)と切り戻しのカット位置(青矢印)

花茎の付け根ではなく途中からカットしてしまうと、見栄えが悪くなってしまうため注意しましょう。

花がら摘みのコツ・ポイント

上手に花がら摘みするポイント

花がら摘みを行うときは、次のポイントに注意しながら行ってください。

  1. 水やりの後の株が元気な状態で行う
  2. 花がらと蕾をしっかり見分ける

ポイント1.花がら摘みは水やりの後の株が元気な状態で行う

花がら摘みを行うときは、水やり後の花が元気な状態にするのがおすすめです。水分が不足していると株全体がしおれているため、残しておく茎や葉なども間違って一緒にカットしてしまったり傷つけてしまうことも。病気のもとになるカビや細菌は傷ついた茎などからも入り込むため注意が必要です。

ポイント2.花がらと蕾をしっかり見分ける

花がらと蕾

花がら(左:花びらの先端が内側に丸まっている)と蕾(右:花びらの色が濃い)

花がらと蕾は形が似ているため、花がら摘みを行うときはしっかり見分ける必要があります。花がらは花びらにシワがあったりクルッと丸まっている特徴があるため、間違って蕾を摘んでしまわないようにしましょう。

切り戻しとは:伸びた茎を剪定すること

切り戻しとは:伸びた茎を剪定すること

切り戻しとはパンジーやビオラの伸びた茎を剪定し、風通しを良くすることで病害虫の発生を防ぐなどの効果があります。花をより長く楽しむために、タイミングを見ながら花がら摘みだけではなく切り戻しも行ってください。

切り戻しの2つの目的

切り戻しの3つの目的

切り戻しには次の2つの目的があります。

  1. 風通しを良くしてカビや病害虫の発生を予防する
  2. 株の大きさを整えて見栄えを良くする

1.風通しを良くしてカビや病害虫の発生を予防するため

伸びた茎を切り戻すと風通しが良くなり、カビや病害虫の発生の予防につながります。もし病害虫が発生してしまうと花が咲かなかったり最悪の場合枯れてしまうため、株が大きくなりすぎたら切り戻しましょう。

2.株の大きさを整えて見栄えを良くするため

切り戻しには病害虫の発生を予防したり、これから成長する新芽に栄養をまわしたりする他にも、株全体の見栄えを良くする効果もあります。花壇や鉢植えに伸びすぎた茎があると、どうしても手入れが行き届いていない印象を与えてしまいます。キレイな庭づくりをするためにも、忘れずに切り戻しを行いましょう。

切り戻しのタイミング

切り戻しは、基本的には株が大きくなりすぎたタイミングで行うようにしてください。茎や葉が枯れたり傷んでいても切り戻しを行います。一度切り戻した株をさらに切り戻しを行う場合は、2〜3週間ほど時間をあけるようにしましょう。

また、パンジーやビオラは冬の寒さには強いですが、夏の暑さには弱い特徴があります。春以降の気温や湿度が高い時期に切り戻しを行うと失敗してしまうことがあるため注意が必要です。なるべく気温や湿度が低い涼しい日に行うようにしてください。

切り戻しの方法

切り戻しの方法

パンジーやビオラの切り戻しは、地面から数えて3つ目の節のすぐ上をカットしましょう(前の画像の青矢印を参考にしてください)。節は茎から出るわき芽を1として数えます。もし株全体が伸び切っている場合は、草丈が1/2〜1/3ぐらいになるように切り戻してください。この時、変色したり枯れている花がらがあれば一緒に摘み取りましょう。

切り戻しのコツ・ポイント

切り戻しのポイント

切り戻しを行う際は、次のポイントに注意しながら行ってください。

  1. 伸びている茎以外にも、折れたり茂りすぎたりしている茎も切り戻しを行う
  2. カビや病気の茎を切り戻す際、使ったハサミは洗って清潔にしておく

ポイント1.伸びている茎以外にも、折れたり茂りすぎたりしている茎も切り戻しを行う

伸びている茎以外にも、風などで折れたり茂りすぎている茎や葉があれば同じように切り戻しを行ってください。切り戻しに慣れていないと切るべきか悩んでしまう方もいると思いますが、そのままにしているとパンジーやビオラの生育を邪魔してしまいます。花を長く楽しむためにも必要なお手入れですので、不要な茎は思い切って切るようにしましょう。

ポイント2.カビや病気の茎を切り戻す際、使ったハサミは洗って清潔にしておく

切り戻しをした茎や葉にカビが生えていたり、病気が発生している場合、ハサミは必ず洗って清潔にしておきます。もし洗わずに別の植物の剪定などに使ってしまうと、カビや病気が伝染ることがあるため注意が必要です。基本的には水洗いして水気を取った後にオイルを塗るだけで大丈夫ですが、念入りにキレイにしたい場合は消毒用のエタノールを使って拭き取るのもおすすめです。

まとめ:花がら摘み・切り戻しをしてパンジー・ビオラを長く楽しもう

まとめ:花がら摘み・切り戻しをしてパンジー・ビオラを長く楽しもう

札埜高志さんプロフィール画像

札埜さん

最後に、花がら摘みと切り戻しの違いを確認しておきましょう。

花がら摘み 切り戻し
主な目的 花がら(しおれたり、枯れた花)を取り除いて、新しい花を多く咲かせる 株全体の大きさを小さくして、形を整え、新芽の発生を促す
カット位置 花茎の付け根でカットする 株元から3~4節の位置で(株の高さを基準とすると1/2〜1/3の高さになるように)カットする
時期 開花中、定期的に行う 株が大きくなりすぎたり,株全体の形が崩れたときに行う

花がら摘みも切り戻しも病害虫の発生を予防したり、見栄えを良くするために必要なお手入れになります。こまめに花や株全体をチェックして、花がら摘みや切り戻しを良いタイミングで行うようにしましょう。パンジーやビオラを少しでも長く楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。

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