大切に育てた野菜や草花の葉が、なんだかサビたようなオレンジ色の斑点ができてしまった……!
それはもしかしたら「さび病」かもしれません。
さび病はさまざまな植物に発生しやすい病気で、拡大を防ぐためにも早期に適切な対応が必要です。
この記事ではさび病の基礎知識や対策、予防方法などについて解説します。
さび病とは、主に葉の表面にやや隆起したサビのような楕円形の病斑ができる病気です。その表皮が破れると、オレンジの鉄サビのような粉末(胞子)が飛び散るようになります。飛び散った胞子によって周囲の植物に二次感染する原因となるので、注意が必要です。
病斑の色は白色、黒色、褐色、橙色など、感染して発症する植物によって異なります。さび病が進行すると生育が阻害され、細胞の組織が異常を来して、葉や茎などの形がゆがんだり、葉がねじれた状態になり、枯れてしまうこともあります。
「葉や茎にサビのような病斑ができた」「病斑が粉っぽい」という症状を確認したら、さび病を疑いましょう。
さび病はカビの一種である糸状菌(しじょうきん)が原因で発症する病気です。
この糸状菌には多くの種類があり、植物ごとに感染する菌が異なります。菌は、特定の植物のみに寄生する「同種寄生菌」と、2種類の植物を行き来して寄生する「異種寄生菌」に分けられます。胞子は風で飛散したり、水によって運ばれたりして病害を引き起こします。
さび病は人体には感染しません。そのため、発症初期の葉や実であれば食用にしても問題ありませんが、病状が進行すると抗菌目的のファイトアレキシンという有害な物質が生成されるため、葉や実の食用は避けてください。
さび病は気温が9~18℃で発生し、24℃以上では増殖しません。そのため、真夏を除く4~11月に発生しやすくなります。低温で雨や曇り空が多い時期に被害が目立つので、春や秋の雨が続く時期には特に注意が必要です。
さび病は草花や野菜などさまざまな植物に感染する病気です。さび病が発症しやすい植物をご紹介します。
さび病は、栽培環境の管理によって感染を未然に防ぐことや、農薬の散布で病原菌の侵入を防ぐことで防除できます。ここでは、育てた植物にさび病が発生しないようにするための効果的な予防方法を解説します。
さび病の病原菌は、生きた植物上で胞子の形態で越冬や越夏します。周囲にあった雑草が感染し、胞子が飛んできて野菜や草花などに伝染してしまう恐れもあるので、植え付け前に周囲を除草しておきましょう。
さび病は、湿度が高くなると胞子が成長し、母体が形成されることで、さらに多くの胞子がつくられ感染が広がります。水はけのよい栽培環境を整えることで、胞子の滞留を防ぐことができます。
畝をつくったり、腐植土やバーミキュライトなどを投入して土壌改良をするのも効果的です。
窒素過多になると株の抵抗力が軟弱になり、病原菌に感染しやすくなります。バランスの良い肥料を適切なタイミングと量を守って与えましょう。
風通しが良くなるように、間引きや剪定をするようにしましょう。古い葉や傷んだ葉は摘み取り、枯れた株も早めに抜きとっておくことをおすすめします。
とうもろこしとカタバミのように、異種寄生菌が寄生する組み合わせを近くで栽培すると感染が広がりやすくなってしまいます。混植しないように気を付けてくださいね。
もしさび病に感染した葉を見つけたとしても、症状が進行する前に、速やかに被害箇所を処分することで感染を広げずに済むかもしれません。
胞子が飛び散らないように気を付けて、鉢植えの植物は、栽培場所から離れた場所で処分するようにしてください。
定期的に農薬を散布することでさび病の予防効果を高めることができます。複数の農薬をローテーションして使用することで薬剤への耐性が付きにくくなるのでおすすめです。
農薬を使用する際は、使用する植物に対応しているか事前に確認してから使用しましょう。
しっかりと予防していても、さび病の感染を完全に防げない場合があります。万が一、被害が発生してしまったときの対処法について解説します。
何よりも早期の対応が二次感染の防止につながりますので、さび病を見つけたらすぐに植木鉢を他の場所に移すようにしてくださいね。
さび病の病斑を見つけたり、胞子が散ってしまっているのを見つけたら、ただちに被害部分を除去してください。
除去した部分は、胞子が飛び散らないようにビニール袋などに入れて持ち出し、離れた場所で焼却などをして処理しましょう。
周囲の葉にも感染しているところがないかよく確認してみてください。
発生初期の段階で薬剤を散布することは、感染の拡大を防ぐだけでなく、治療にもつながります。
さび病に効果のある薬剤はさまざまありますが、使用する際は、対象となる植物と薬剤の使用条件が適合しているかを必ず確認しましょう。
さび病の病原菌は生きた植物にだけ感染します。胞子を飛び散らせないように対処したり、事前に予防することも可能です。
もし感染してしまっても、早期に対処することで治療することもできますので、よく観察し、感染を広げないようにしましょう。